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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『かくりよの宿飯九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。』友麻 碧 




『かくりよの宿飯』シリーズ第九弾。
黄金童子様に導かれて北西・文門の地でようやく大旦那様と再会を果たした葵。
大旦那様は拍子抜けするほど普段通りの様子で、つかの間の穏やかな日々をすごすふたり。
「お弁当と引き換えに、真実を、一つずつ教えよう——」大旦那様の提案により、大旦那様の過去、祖父との関係、そしてかつて自分を救ってくれたあやかしの正体等、葵は真実を手にしてゆく——。


『かくりよの宿飯』シリーズ最新刊。
サブタイトルがシリーズの核心をついてきていて発売前から色々内容が気になるところでした。
そして今回の表紙!なんというか、ここ最近の「大旦那様を探せ」的な、キャラがにぎやかに勢ぞろいな表紙と、全然違う!
どこからどうみても完全な、大旦那様と葵ちゃんのツーショット!微笑み合って幸せそうなふたり。
しかもさりげなくペアルック……とかどきどきときめきながら、ふたりが穏やかに幸せそうに寄り添っている姿が、とても貴重なものに思えて、あまり茶化したら悪いな、という気持ちになるといいますか、じーんと浸ってしまいました。

さて今回のお話、大旦那様の正体から史郎おじいちゃんと大旦那様の馴れ初めから、葵ちゃんと大旦那様の過去にいったい何があったのかまで、これまでのシリーズの根幹をなしていた謎の数々が、葵のお弁当と引き換えに、どんどん明らかになってゆく一冊でした。
怒涛の大旦那様ターンです。
すっごく読み応えがあって、すっごく面白かったです~!!!
とにかく最初から最後まで大旦那様と葵ちゃんがラブラブで仲睦まじくて、今までシリーズを読んでいて、大旦那様派として若干物足りなく思っていた部分が、すっかり満たされてしまいました。しあわせ。

さて今回の感想はネタばれ含みということで、続きは追記に収納いたします。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

隠世中のお尋ね者になってしまい弱らされた大旦那様ですが、この本の中盤くらいまでは、ちょっと拍子抜けするほどいつもの飄々とした大旦那様で、穏やかな日常パートでした。
さりげなく葵ちゃんを妻扱いしている大旦那様は相変わらずですが、照れながらも、お嫁さん扱いをスルーしたり嫌がったりせずに受け止めている葵ちゃんの初々しい感じが、ほんと、微笑ましい……!!
とはいえ本当に「つかの間の」平穏という空気がずっと漂っていて、大旦那様も葵ちゃんも、言葉にはっきり出さなくてもそれを分かっていて、そのうえで寄り添っている感じが、またなんというか、ね。

現世のマンモス大学の学園都市みたいな、文門のお土地柄も、また面白く読みました。
というか大旦那様に学生時代があったとは!(笑)
過去をひとつひとつ辿ってゆく舞台が、かつての自分が過ごした懐かしの地というのも、イメージが重なるものがあってお上手だなと思いました。
夏葉さん、格好良くてさばけていていかにもやり手の女性という感じで、好きでした。院長ばば様って呼び名がなんだかいいな。
あと親族にあたる千秋さんも、相変わらずの腰の低い親しみやすさでそこかしこで活躍していました。
千秋さんの結婚というさりげないサプライズもあったりして。お嫁さんもいかにもこの地のひとというかんじで、お似合いだと思います(笑)。
スーパーで食材よりお惣菜の方が売れるってお土地柄それぞれで面白い。

さてさて葵ちゃんが大旦那様のためにこしらえるお弁当と引き換えに、少しずつ明かされていく、謎の数々。
まず葵の両親と史郎おじいちゃんのこと。
大旦那様の回想で語られる史郎おじいちゃんは、やっぱりシリーズ中ぶっちぎりで一番の滅茶苦茶な人でしたが、呪いを受けた経緯は、けして史郎さんが悪い訳ではなかった。なんというか、むごい。どうしようもないのがむごすぎる。
あやかしの愛情の一途さが、反転してしまうと、ここまで強い呪いになってしまうのだな。
葵の父親と大旦那様、面識があったんだな~。良いお父さんだ。
そしてお母さんも本来普通に愛情深い素敵な女性だったんでしょうに……、つまりこれが、史郎さんとつながりが濃いほど顕著にあらわれるという呪いだなんて、やりきれない。
そうかあ、やはり葵の借金のかたにお嫁入り云々……は、孫娘を守るための、史郎さんの願いだったんだな。
(というか、借金自体は別の宝を天神屋に寄贈することによって実質チャラにしていたとかいう史郎さん、只者じゃない)
そんな友人の史郎さんの思いを胸に、幼い葵ちゃんと言葉を交わし、彼女を呪いから救った大旦那様。
彼自身の凄惨な過去を経ての優しさ、葵ちゃんへの深い愛情に、胸が詰まりました。泣ける……。

そして大旦那様自身の過去も、色々ヘビーで衝撃的。
そして千年の平安時代の昔からというと、『浅草鬼嫁日記』とのつながりが、また新たに。
現世の友人とは酒呑童子のことなのでしょうね。
邪鬼が、現在の隠世で言われているような邪悪な存在ではないと分かって、なんというか、ほっとしたと言いますか。
侵略者が歴史を作るとは、まさにこういうことか。
あの南の地の悲しい存在……そういうつながりか。切ないなあ。
黄金童子様と大旦那様の絆も納得。
確かに、最初のうち葵にちょっと優しくなかった黄金童子様、気持ちも分かるなと思ってしまいました。
とにかく大旦那様のとことん損な役回りと、それでも心をひねくれさせることなく弱いものに手を差し伸べ続けて天神屋を育て上げてきた優しさ懐深さ、愛情深さが、ひしひしと伝わってきて、これまたもう、泣けてきます。

自分の気持ちを上手く伝えきれないまま別れてしまった葵ちゃんの胸の内のもどかしさもせまってくる……。
それでもこの巻でようやく、大旦那様のお嫁さんになることを本当に決意した葵ちゃん。
ようやくです!!ラストにじーんとしてしまいました……。
久しぶりに帰ってきた天神屋の面々が変わらず揺るぎなく大旦那様の味方で、今は葵ちゃんの味方でもあるのが、また嬉しく心にじんわりきました。
本当に、暁もお涼さんも、今では完全に葵ちゃんの味方、というか身内で、変われば変わるものです。

ところで今回のごはんネタはお弁当がメイン。
私お弁当ネタ大好物なんですよね~。相変わらず美味しそうで読んでいてとても楽しかったです!!
鳥の照り焼き重は王道の美味しさですね。
和風サンドイッチも心惹かれます。たまごサンドに刻んだたくあんをまぜるって、昔母の料理雑誌で読んだことがあるものの「たまごサンドにたくあん~??」とどうにもおいしそうに思えなくて作ろうとしたこともなく……なんてのがあったなと思い出しました。
あれですよね、ピクルスだと思えば、いいんですよね。
カツサンドも和風ツナもいいな……。
子供達と一緒に盛りつけよう!!イベントのお節の数々も美味しそうでしたし。(羽多子さんと反之介達のエピソードもまた違った婚約者同士のエピソードで印象的でした。あとあっちゃん結構好きでした)
一番印象的だったのは、おじいちゃんの思い出・中華弁当かな。
黒酢入りの炒飯一度作ってみたい。芙蓉蛋も美味しそう。
大旦那様の好物がこれ、だとは、言われてみれば確かに、とうなずけるものがあったかな。
相変わらず料理を作る葵ちゃんのまわりをちょこまかしてかいがいしく食料を調達してきたりお手伝いしたりする大旦那様、和みました。
肉じゃがも白和えもゴマサバも、栗きんとんのパンケーキも、みんなおいしそうでやっぱりおなかが減ってきます!!
お蝶ちゃんとお弁当の味見する場面も可愛らしかった。

終盤ではやはりピンチな大旦那様ですが、腹をくくった葵ちゃんと、天神屋の面々、その他味方達が、きっと乗り切ってくれると信じています。
今回ほとんど出てこなかった天神屋の皆も、今もきっと、自分にできることを頑張っている最中なのでしょう。
銀次さん……特に今回ほぼ出番がなかったのだけれど、彼も幸薄い境遇で葵ちゃんをずっと支え続けて頑張ってきた人で、彼も幸せになってほしいなあ。ほんと。
そして次巻がシリーズ完結とのこと。
正直寂しいですが、読めるのをとっても楽しみにしています~♪

(ところで「津場木史郎の呪い」が何たるかがようやく明らかになって、『浅草鬼嫁日記』の茜君達の方にも、思いをはせてしまった。
あっちの方は徐々に血は薄まっていくにつれ、呪いの効果は薄くなっていく、という認識でいいのかな。
とくに茜君はすごくいいこなので、あまり嫌な思いはしてほしくないのね。)

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

この記事に対するコメント

久しぶりにコメントお邪魔させて頂きます
かくりよの宿飯9新刊出るが待ち遠しく
10月15日の発売日に早速買いに出掛けたのですが
ツタヤに行ったのですがツタヤには入荷してないらしく
どうしても読みたかったので
何軒か本屋さんを周りようやく手に入れました(笑)
ゆっくり数日かけて読もうと思ってたのですが
先が気になって結局一気読みしてしまいました(笑)
葵と大旦那様ようやく再会出来て良かったです
今回の出てくるお弁当がどれも美味しそうで
読みながらご飯食べた後だというのに
つい喉をごくりとしてしまいました(笑)
浅草鬼嫁日記でもそうでしたが
浅草鬼嫁日記の方ではあやかし達は
人間側の偉いさんの都合の良い様に塗り替えられ
かくりよの宿飯の方ではアヤカシの
偉いさんの都合の良い様に塗り替えられ
なんとも言えないですね
今回の9巻で本来なら感謝されるはずの邪気の存在が
どうして悪にされるのか雷神の方がよっぽど悪だと
思うのですが
久々の再会も束の間また離れ離れに
なってしまった葵と大旦那さま
葵が泣き崩れる所は思わず読みながら泣いてしまいました
次の10巻がかくりよの宿飯最終巻になるのは
寂しいですが10巻では是非とも葵と大旦那様には
幸せにラブラブ夫婦になって欲しいです
葵と大旦那様が夫婦になったらなったで
物語を読んでいて大旦那様は葵に
甲斐甲斐しく葵の為なら主義なので
きっと大旦那様は葵の尻にしかれそうな
気がします(笑)

URL | Y,s #-
2018/10/19 00:28 * 編集 *

Re: タイトルなし

>Y,sさん
コメントありがとうございます。

またお越しいただきまして、どうもありがとうございます~♪
かくりよの宿飯、新刊出ましたねー!!!
私もいざ読みはじめたら、一気に読んでしまいました。
今回のお話はそれほど本の厚みはなかったものの、とにかく読み応えが抜群で、本当に面白かったです!!
葵と大旦那様、無事に再会できて、本当に良かったですよね!
そして葵ちゃんのお弁当、みんなおいしそうでした。
私も読んでいておなかが減ってきました……。

確かに、邪鬼が隠世の歴史の中で忌まれる存在になっていった経緯は、理不尽ですよね。
雷獣の方がよほど悪にうつります……次巻では戦いは避けられないでしょうね。
なんとか天神屋の皆に頑張ってほしい!
そして早く大旦那様と葵ちゃんには、ラブラブ幸せ夫婦になってほしいですよね(笑)。
確かに結婚したら、大旦那様は絶対に葵ちゃんの尻に敷かれそうですよね。
むしろ喜んで堂々と、葵ちゃんのために尽くしていそうです。

次巻で完結とは寂しいですが、早く続きを読みたいです……♪

URL | ゆり #SvKcs0as
2018/10/21 17:50 * 編集 *

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