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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ちどり亭にようこそ4 彗星の夜と幸福な日』十三 湊 




ちどり亭の店主・花柚と総一郎の結婚式まで、ついにあと数カ月。
そんなときになって、総一郎の祖母・咲子が突然ちどり亭を訪れる。
彼女はちどり亭を継ぐという彗太を試すような条件をつけてきて、それを受けて彗太は、一週間咲子のために弁当を作ることになる——。

『ちどり亭にようこそ』シリーズ第四弾にして完結巻。
もしかして前の巻で完結だったのかな?とか実はちょっと思っていたので、こうして四巻目が無事にでて読むことができて、とても嬉しく思います。

京都のちいさなお弁当屋さんを舞台につづられる、最後まで、幸福な日常のものがたりでした。
この作品世界の丁寧にきりりと暮らしを営む人たちの醸し出す雰囲気が、やはりとてもここちよい。じんわり癒されました。
季節の言葉の一つ一つも風流で響きも美しくて良きものです。
日本の伝統や年配者の知恵が随所に織り込まれる物語ですが、語り手が彗太君または花柚さんメインなので、読み手に取っては構えずにすんですんなり親しみやすいんですよね。
無邪気で育ちの良いお嬢様で若者たち(いや花柚さんも若者だけど)を家庭料理で優しく柔らかく導く花柚さんも、花柚さんの元で修業を重ねてまた着実に成長を遂げている彗太くんも、やっぱりとても好きだなあ!
姉弟のようなちどり亭のスタッフふたりに再び会えて嬉しいです。
ヒロインとヒーローのふたりそれぞれの恋愛の行方も読みどころ。
特に花柚さんと総一郎さんはすったもんだのあげくの結婚式直前。
ここまで、ようやく、辿り着いて……!!
と安心するにはまだ早く、この期に及んでまた横やりが入るところから、物語ははじまりました。

「冷や飯食い」と彗星の夜
本当に、花柚さんと総一郎さんの家族が店にやってきて、いいことがあったためしなんてないな……。いいところのおうちってすごいなとしみじみ。本当に苦労しますね。
その分受難を共に乗り越えて、このカップルの絆は一層深まっていっている、彗太君は成長していってる、ちどり亭はより素敵なお店になっていってる、とは思いますけどね。
冬のお弁当における冷たいご飯はやはり永遠の課題ですよね……!!私もお昼にレンジを使えなかった学生時代はお弁当の冷たいご飯がとても苦手だったので、良くわかります。あたたかスープ弁当のありがたみがつたわってきます。
私、夫の事嫌いなのよね!という咲子さんの爆弾発言には、花柚さんと彗太君共々あっけにとられましたが(苦笑)、なんだかんだ言ってこのふたりの間にも、確かな温かい情を感じたのも、確かです。
大根餅やおあげがじゅわっとした衣笠丼や鶏団子のほこほこお鍋がおいしそう。
彗太君の名前、私も前々から素敵だなと思っていたんですよね。
素敵なエピソードがまたひとつ追加。
いつの間にか進路が決まった形になっている彗太君に、菜月ちゃんが焦るのは、ちょっと分かる気が。
実際成長しましたよね彗太君。
咲子さんにも冷静に自分で意見を言って自分の意志でお弁当作りを決めていましたし。
あの総一郎さんも褒めていたし!

松風焼きと年の暮れ
台湾土産のパイナップルケーキに縁起物クッキー、学生さん達のふわふわパンケーキ研究会が、楽しそう&おいしそう。
私も幸福を呼ぶ……にあやかったお菓子を食べたくなってきました。あとパンケーキも食べたい。
野乃香ちゃんと康介君、つんけんしているけれど微笑ましいですねえ。ふふふ。
松園さんと安藤さんふたりの関係も微笑ましいというか、なんというか、最後まで読んでほっこりしました。
なんだかんだ世話焼きで年配者にも可愛がられている(?)美津彦さんも微笑ましい。
松風焼きの「うらさびし」と「うらがない」の解釈の違いも面白いなと思いました。

「よいお年を」
一年に交わす言葉の中で、いちばん美しい挨拶だと思った。
新しい年は、だれのもとにも訪れる。
あなたの新しい一年がよいものでありますように。
人の幸福を願っても、自分の何かが減るわけじゃないのだから、たくさんたくさん願えばいい。  (136頁)

季節柄もあって、ここの辺りの言葉が今回特に心に染み入りました。

脅迫状と味卵
今度は味がしみしみの味たまごを食べたい……!!
脅迫状は穏やかならなかったですが、幸いにして今回の犯人は、まあ可愛らしくてほっと胸をなでおろしました。
永谷氏の「弁当の中身が前もってわかったら、楽しみが減るじゃないか」が、こんな場面なのに可愛くてうっかりときめきました(笑)。美津彦さんへの人でなし発言も、花柚さんへの愛も同時に感じて、いっそうときめきました。
さて莉緒ちゃんあれから上手くいったのかしら。
五種類のおにぎりもチキンの梅しそ照り焼きも、おいしそうなお弁当だなあ。
花柚さんが莉緒ちゃんに親身になったのには、また理由がありまして……というのが番外編に続く。

サムシングパープルと幸福な日
ついに花柚さんと総一郎さんの結婚お披露目パーティー。
「サムシングパープル」とはあまり聞いたことがないなと思いましたが、なるほど、そういうことね。
彗太君のとっさの機転のブルーベリー餡のひとこまがとても良かった。彼の成長と花柚さんへの思いを改めて実感しました。
美津彦さん意外に(失礼)やるときはやるひとなんですよねえ。
麻里依さんの祝電も、良かった。
最後の場面の春の天丼弁当もものすごく美味しそうです。

番外編 十年後の弁当 ウィークエンドにいちごシロップ
『赤毛のアン』シリーズを彷彿とさせる甘くロマンティックなタイトルの番外編は、なんと総一郎さん視点のおはなしでした。
高校時代の彼の母親とのバトル生活が、彼も普通の男子高校生だったんだなと、微笑ましくなりつつ。
花柚さんのことはまあそんなに距離が近い訳ではなく、それでも彼女の人生に責任を感じてちゃんとデートをしてあげるあたりが、真面目な総一郎さんらしい。素敵だなと思いました。
お弁当本当に十年後で良かったですよね……!!神様に感謝しなくてはいけないレベルでこれで良かったのでしょう。
何より最後の花柚さんへのお手紙が、彼女への愛情がひしひしと伝わってきて、思わず目頭が熱くなりました。
本当は総一郎さんだって何度も手紙書き直してたんだなーと種明かしされると、余計になんというか、愛情を実感します。

これにて完結ということで、欲を言えば彗太君がちどり亭の店主になった未来のお話もちょっと読んでみたかったなとか、花柚さん達の子供も見てみたかったなとか、色々思いはしますが、きれいにまとまったシリーズでした。
私も一応毎日お弁当作りをしているわけで、すべてはとても無理ですが一寸取り入れてみたいアイデアが満載で、そういう意味でも良いシリーズでした。
美味しいものが好きな方、京都ものが好きな方、お弁当作りに興味がある方には、特におすすめなシリーズです。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 十三湊 

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