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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『京都寺町三条のホームズ11 あの頃の想いと優しい夏休み』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ第十一弾。
大丸京都店での修行を終えて次の修行までの短い夏休みを「蔵」で過ごす清貴と、大学二年生になった葵。
ふたりの元に、清貴の高校時代の先輩が尋ねてくる。共に向かったのは、紅葉で有名な永観堂で。
その他、円生の生い立ちと清貴への複雑な感情、香織の恋の行方など、これまでのシリーズの魅力が多方面から楽しめる一冊。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新作を新年早々読むことができて、うれしいです。ふふふ。
アニメとか各種コラボ企画とか楽しそうと思いつつ乗り切れておらず、どんどん人気作になっていく勢いになんだか自分から遠い存在になったようでほんの少し寂しいような、そんな気持ちも正直あるのですが。
でもでも原作小説版、やっぱり大好きですので!!
それに作品全体が盛り上がっているのは、はたからそっと眺めているだけでも楽しいですし。
そういうエンターテイメント性というか、お祭りめいた雰囲気が、嫌味にならずにばっちりはまる作品だと思うのです。
あれかな、清貴君の京都を背負った究極のおもてなし精神かしら(笑)。

そんな自分でも整理のついていない思いもあるのですが、それはさておき。
今回のお話は、シリーズの本筋はいったん小休止といいますか、まさに「夏休み」。
修行の合間にのんびりお休みを楽しむホームズさんと葵ちゃん、そして今までのシリーズの流れからすくい上げられてきた、各視点からのエピソード集。といったところでした。
はらはらどきどきサスペンス的な展開はひかえめで、サブタイトル通り、終始のんびり優しい雰囲気で読むことができました。
ラブラブの清貴君と葵ちゃんのふたりの姿に、読み終えて幸せ~な気分にひたれました。

円生の過去とか、清貴君と葵ちゃんが出会った場面の清貴君視点からの振り返りとか、シリーズファン的には嬉しい読みどころがいくつもあったのですが、個人的に特に印象的だったのは、やはり香織ちゃんの恋の決着でした。
カラー口絵のふたりにどういう展開になるのかけっこう心配していました。そっか。まあやっぱり、そうだよね~。(ため息)

ではでは、追記以下に、ネタばれあり各話感想を書いてゆきますね。


そしてここ二週間弱の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

序章
あの秋人さんが、気を遣ってくれた……という31頁の葵ちゃんに思わず吹き出してしまった(笑)。
そうそう、いい雰囲気になりかけたところでいつもふたりの間に割り込んでくるのが、秋人さんだったよそういえば!(主に五巻目以前)
柿右衛門やマイセンやそのあたりの葵ちゃんの鑑定眼がすごい!と素直に感心してしまいました。
めきめき実力をつけているな、葵ちゃん。
ホームズさんと葵ちゃんがこうしてふたりで店番をしている姿そのものが、なんだか、平和でなごみますねえ~。
そこにラブラブ成分が追加されているところがまた美味しい。

第一章 天の川と青い星々
彦星の伊勢物語の歌、小野小町の花の色はの歌、そして藤原関雄の歌、それぞれの和歌がストーリーに上手く絡められていて、ほどよい雅な雰囲気にうっとり。小野小町の歌をそういう風に解釈するの、いいな。
日野先輩へホームズさんが贈る言葉がどれも良かった。
確かにプロポーズがむしろ難関ですよね。経験者は語る、でしょうか(笑)。
それにしても「ほぼ婚約者」とか、しれっと言ってるあたりがさすがホームズさん。
Web版とは違いすでに葵ちゃんは二十歳の成人であり周囲の大人達も自然に受け入れており、なんというんでしょう、より正式な印象になったというか、これまたときめきます♪

第二章 月夜の宴
私もお茶屋遊びなんて完全に別世界なので、ちらりとのぞけて楽しかったです!!
「月がきれいですね」の例のやりとり、まさかここで答え合わせが来るとは思いませんでした(笑)。やっぱりホームズさんは意味を込めていたんですねえ。でも葵ちゃんも(あの時点では)分からないですよねえ。

第三章 似て非なるもの
香織ちゃん……切なかったです。
香織ちゃんには申し訳ない、正直に言うと、こういう結末になって私的には大分ほっとしてしまったのですが。それでも彼女の気持ちは本物でしたし、せつない。
香織ちゃんへの葵ちゃんの友情が染み入りました。
店長の対応が完全に良いものだったかどうかはちょっと分からないですが、店長らしい大人の優しさだったな。と思いました。
鋭い清貴君と店長のやりとりも、ほろ苦くて店長の懐の大きさも感じて、うん、上手く言えないけれど良かったです。清貴君があそこで店長をぐさぐさ言ってくれたからこそ香織ちゃんが救われたというのも私の中ではあったので。
『源氏物語』の紫の上のエピソードとも上手く絡められていました。店長の小説、読みたいな。
香織ちゃんと葵ちゃんがコーヒーを飲んでいたカフェが素敵です。

第四章 円生の独白
円生の過去~現在に至るまでの経歴や心情を辿れるお話。
円生って読めば読むほど悪人ではないですね。正直シリーズの途中まで、めちゃくちゃ怖い人だったんですが。
彼が鑑定士としては伸びが遅めなのが、意外だなと思ったのですが、まあそりゃ清貴君のこれまでのまっとうな積み重ねを思えば当然か。
葵ちゃんへの恋心も、難儀な道を行きますねえ……。とことん円生と清貴君は対の存在なのだな。
円生視点から見ていくと、葵ちゃんという女の子、いや女性の資質が、改めてはっきりと実感できます。ホームズさんがいかにここまで惚れ込んだか。
そして利休君と円生の組み合わせ、ホームズさんとはまた別な感じの緊張感が。
なんだかんだ利休君も葵ちゃんとホームズさんの仲を認めるようになっていて、牽制までしてくれていて、ちょっと、良かった。
王妃様の喩えは納得してしまいました。
矢代夫人の絵の謎解きエピソードでふんわり優しい気持ちで締めくくれたのは、とても良かったです。
ああ、あとユキ君もなかなか難儀なので、幸せになってほしい……。

第五章 あの頃の想い
まさかホームズさんが、円生を自分の弟子に(?)と自ら名乗り出る日が来ようとは!夢にも思っていませんでした。
本当にホームズさん、変わったなあ。
そして本当に彼をここまで変えたのが、葵ちゃんの存在なんだよなあ。
いや、すごくない?知ってましたけれど!
という訳で、葵ちゃんとホームズさんの出会いを、ホームズさん視点で。
ホームズさんの鋭さがやはり冴えわたっています。
京都府大を志望校にした理由の一つが、元カノの言葉だったとは……案外ホームズさんかわいいな。かわいかったんだな。
本当にこれはもう、葵ちゃんのお祖父ちゃんがつないでくれた、運命の出会いだったのですねえ。

掌編の北山デートもときめきました。ごちそうさまでした。
植物園去年私も行きましたけれど、確かにとても素敵なところでした。近場にあってうらやましいなあ。
あ、あと北山といえば、私はいつか北山紅茶館に行ってスコーンと紅茶をいただきたいです!

様々な視点から今回お話を振り返って、改めて、葵ちゃんってすごい子だよな。と実感してしまいました。
あくまで普通の女の子でありながら、というのがまたすごい。
本当に葵ちゃんは今や、鑑定士としても、女性としても、まさに清貴君の「パートナー」ですよね。
ああ、なんだか感慨深いです。
と思えばラブラブは未だに初々しいのもこのカップルの良いところで、本当に可愛らしい。きゅんきゅんです。

次のハードボイルドな新刊も、とても楽しみにしています♪

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

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