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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙』古宮 九時 




オスカーの呪いをついに解いたティナーシャ。
彼女はトゥルダールに戻り、女王として即位する。
別々の道を歩きはじめたふたり。しかし思いがけない形でふたりの決意は交差する。
そして幼き日のオスカーに呪いをかけた張本人である「沈黙の魔女」がついに現れ——。


『Unnamed Memory』第二幕の中の巻。
同時発売の『Babel』一巻目とあわせると、いや単体でも驚きの分厚さです。ずっしり。
読んでも読んでも長い間大好きな物語に浸っていられる、素晴らしい仕様になっています。
私はUMのこの巻を、約一週間かけて少しずつ読んでいきました。
あっという間に読了してしまったら勿体なくないですか??(←ファン心理)

まずは表紙イラストの、ティナーシャを見つめるオスカーの表情に撃沈しました……。
深い、あまりに深い愛情に満ち満ちた、穏やかな眼差し。
安心しきって彼の膝で眠るティナーシャの姿も良きです。
ここは、ファルサスの部屋かな?トゥルダール?部屋の調度品も品が良くて雰囲気がとても良いです。ふたりがそれぞれ大国の主なのを象徴しているお部屋だな。
窓から差し込む光の加減も素敵。そこにオスカーの表情がぼんやり浮かび上がっているのも。
お花をまとった黒猫の置物が可愛くて意味深。

カラー口絵をめくったらいきなりこのやりとりなの、たまらないですね。
オスカー正統派王子様!(いや、王様か!)青と白の豪華なドレスのティナーシャの「は?」という表情も良いです。
そして目次部分のこれはラヴィニアのイラストですね?クールビューティーでイメージぴったりで素敵!!

相変わらず魔法や禁呪絡みの不穏な戦いは数あれど、確かに「束の間の平穏」ではあるかな、という第五巻。
いやティナーシャは血みどろで戦い死にかけてるのは相変わらずなのですが、魔女やら最上位魔族やらぽんぽん登場してくるのですが、でもオスカーとティナーシャふたりそろっていればなんとかのりきれるでしょ、という信頼が、読者の私にもすでに生まれていますので。
『約束の折り返し』は何度読んでも好きです。うふふ。
書籍版はここの辺り結構加筆があるのかな。オスカーの心情が丁寧に書かれていてより一層ときめいて読むことができました。
ふたりの心情やこの時点でのささやかな日常の描写が増えているからか、Web版より確かにふたりの初々しいラブラブを安心して読むことができた気がします。
オスカーもティナーシャも、想いの重さではいい勝負ですよ。


では追記以下にネタばれ感想をつぶやいていきますね。

『貝殻の抱く追憶』
これは書きおろしエピソードかな?
表紙イラストの膝枕逆バージョンのイラストもあり、二粒分美味しかったです。町娘姿のティナーシャも可愛い。
どちらかというとchibi先生のイラストは、第二幕版のティナーシャの方が私のイメージには合っています。
シルヴィア怖い者知らずすぎて楽しい。

『月晶~約束の折り返し~硝子球の眠り』
ティナーシャの解呪の場面は、第一幕でも第二幕でも美しいです。
精霊継承の儀式を経て、ティナーシャとレジス、そう来たか!という感じですよね。
オスカーの求婚の場面がやっぱりいいな~ここからオスカーが第一幕と似た感じの愛を隠さないモードになるのでちょっとほっとします。やっぱり書籍版の方が、オスカーの愛情が端々でストレートに感じられる気がする。
ティナーシャの400年越しの想いが報われて、本当に良かったです。
その割には、ティナーシャ自身は自分がオスカーに求婚されるなんて欠片も思っていなかったのが面白いというか、幸せ慣れしていないティナーシャらしくて胸がきゅうっとします。
うだうだと悩みリリアに冷たく突っ込まれているティナーシャが可愛い……。
暗黒時代では人を裏切って一人前って、何その怖い時代。ラナクの乱心のあの事件も、暗黒時代においては案外わりとあるタイプの謀事だったんですかね。うわあ。
でもそんな時代に女王として生きてきた血塗られた人間だからこそ、彼の真直ぐで真摯な求婚をためらってしまう、というティナーシャの煩悶もちょっと理解できました。
「苗床事件」のあの装置?、不気味ですよね~。
オスカーとアカーシア最強。そこには理由もちゃんとあるのですが。
レジスの高潔さと、私情を完璧に切り離して在れる姿が、また彼も得難い人物だなあと思えます。何度読んでも。

『感染する願い』
第一幕の「玉座になき女王」だったティナーシャとは違い、第二幕の彼女は正真正銘トゥルダールの「女王陛下」。
怜悧な女王陛下かつ擦れてない乙女なティナーシャと、トゥルダールの家臣&精霊達と繰り広げる日常のあれこれも、読んでいて楽しかったです。(そういう意味ではこのパターン貴重ですね。改めて)
魔法大国トゥルダールの「魔法学院」ってワクワクする設定です。
レナートの知り合いがパミラで、パミラが魔法学院の案内役ですか。なるほど。やっぱりトゥルダールが存在しているとパミラやレナートの境遇はだいぶ変わるのですね。
子供達の事件の顛末は、読んでいて胸が痛くなりました。
ティナーシャでもあの球に縋ってしまうんだなあ。むしろ身をもって知っているからこそかしら。
揺れ動いた気持ちでオスカーを訪ねていくティナーシャ、なんかいいなと思いました。距離感をまるで感じさせない婚約者だな……。

『無血の傷跡』
まさかまるごとシミラのイラストがあるとは!
位階を抜けていくティナーシャの場面が印象的でした。ここで属性がはじめて出てくるのですね。
そしてヴァルトの暗躍がついにおもてにも出てきました。この時点では彼が一番得体が知れない悪役という感じがします。
カルとミラは精霊の中でもわりと出てくる頻度が高くて、彼らの掛け合いがなかなか面白いです。
ミラは本当にティナーシャ様大好きで微笑ましいですよ。

『幸せな悲しみ』
「沈黙の魔女」ラヴィニアが第二幕にしてようやく登場。
彼女が呪いをかけた理由がついに明らかになりました。
なんというか、切ないですね。彼女は孫に情があるからこそ「呪い」というかたちでしばって、彼の精神も守ったということで。
クールビューティーなラヴィニアの不器用な愛情にちょっとほろっときてしまいました。
ラヴィニアとオスカーとの戦いの場面にティナーシャが救いの手を差し伸べるのが好きです。過去の夢が辛い。
オスカーの父王とロザリア様の恋物語もちょっと気になりますね。このひともまた城から抜け出して伴侶に出会ったのか。本当にファルサスの王族の血は争えないな……。
オスカーが母親への気持ちを吐露する場面がとても遣り切れなかったです。
戦いのあとエルテリアについて情報交換するティナーシャとラヴィニア。
魔女達ですら理解不能なエルテリア、不気味……そしてヴァルト暗躍しすぎ。
自分の呪いを解きあかしてしまったティナーシャのことを結構評価しているラヴィニアが好きです。
このふたりは魔女の中でも比較的まともに話が通じるしストイックな姿勢が共通している分、相性がいい気がします。

『種子に出会う~未来から想われる今日』
ティナーシャの着せ替えにかけるシルヴィアの意気込みが重い……まさか「初めてお目にかかったときから」だったとは、そこまでは思ってませんでした。
前巻の感想でも書きましたが、第二幕においてはティナーシャの対等な友人はルクレツィアではなくシルヴィアで、その分だからか彼女はことあるごとに大分強気で色々暴走しているのが、可愛いんですよね~。大好きですシルヴィア。(なぜシルヴィアよりシミラのイラストの方が先に登場しているんだろう……そこだけが正直残念です)
不幸な境遇でも自分一人で立ち上がって懸命に前を見るオーレリアの強さに、トラヴィスが魅入られたのもなんかちょっと分かる。
第二幕で彼らの事情もより深く知ることができたのが、嬉しかったです。

ティナーシャ巻き込まれすぎ!と思いつつ、ティナーシャとファイドラの戦いの場面は読み応えがありました。
ティナーシャとトゥルダールの精霊達の絆も、会話の端々から感じてちょっと心和みました。
ティナーシャの頭脳戦というか、戦いにおいてとことん思考を研ぎ澄ませていくスタイルが格好いいです。
シミラの魔力も得て最上位魔族に勝利して、第二幕の彼女も「魔女」と言っても差し支えないくらいにパワーアップしていっている気がします。
でもまあ精神の幼さというか揺れが、大きいんですよね。ヴァルトもそこを狙っているんですよね。
ファルサスのお城に現れた赤ん坊はすっごくホラーでした。

『永遠の半分』
トラヴィスにオーレリアが切った啖呵が格好良すぎて泣ける……。
このふたりはふたりだけでメインの長編の物語が読めそうなので、色々気になるんですよねえ。トラヴィスはオーレリアの想いを将来本当に理解できて寄り添えるのだろうか。
ティナーシャとオスカーの語らいにようやくほっとできましたが、色々種がまかれていて不穏です。
安定した愛情で結ばれた婚約者同士でありつつも、実は結婚のからくりを理解できていない、この時点でのふたり。
「内部者」「属性」少しずつ核心に迫るキーワードも出てきて、最終話。今からどきどきします。
実は第二幕の後半もまた、読んでいて辛いものが多々あって、読み返し率が低いんですよね。
新鮮な気持ちで書籍最終巻を待ちたいと思います。

サイト様の購入者SS、ラザル視点に私もしみじみ感じ入ってしまいました。いいお式にしたいですよね。

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カテゴリ: Memoriae シリーズ

タグ: 古宮九時 

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