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『なくしてしまった魔法の時間 (安房直子コレクション)』安房 直子 

なくしてしまった魔法の時間 (安房直子コレクション)なくしてしまった魔法の時間 (安房直子コレクション)
(2004/03)
安房 直子

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安房直子コレクション、全7巻の内1冊目。
前回図書館で貸し出し中だったので、予約して借りてきました。
このシリーズ、ちょくちょく貸し出されていますね…やっぱり人気があるみたい。

この本に収録されているのは、以下の11編&エッセイ。

さんしょっ子/きつねの窓/空色のゆりいす
鳥/夕日の国/だれも知らない時間
雪窓/てまり./赤いばらの橋
小さいやさしい右手/北風の忘れたハンカチ

「さんしょっ子」…このお話は、小学生のころ図書室から借りてきて読んだ覚えがあります。当時は「すずな」という名前の響きがとっても気に入り、立派な花嫁行列がどんなものなのか空想をめぐらしました。
今読むと、三太郎とさんしょっ子(さんしょうの木の精の女の子)それぞれの淡い片恋が、切なく胸に広がります。でもさんしょっ子はどうあっても三太郎とは結ばれない訳で、彼女にはあのラストが一番だったと思います。
そして私は、すずなちゃんがお嫁入り先で苦労していないかどうかが心配…

「きつねの窓」…このお話は、小学生の図工の教科書の「物語を絵にしよう」みたいなページでとりあげられていたのが出会いでした。私も影響され、「そめもの、ききょう屋」のお絵かきしました。そうそう、紺の前かけしていましたね。
昔花びらをいっぱい集めて、汁をしぼって色水をこしらえて遊んでいたことを思い出しました。あれって本当ちょっぴりしかできないから、すごく貴重なものに思えたっけ。

「空色のゆりいす」…虹から色を抽出していくシーンにうっとり。すみれ、矢車草、りんどう、つゆくさ、わすれなぐさ、ききょう、あじさい…みんな別々のきれいな色なんでしょうね。
おかみさんや女の子がこしらえるシチューが美味しそうです。

「鳥」…このお話も、確かに読んだ覚えがあります。
話の作りがとてもお上手。報われないお話かと思いきや、あらびっくり…のラストでした。潮の香りのする、素敵なロマンスです。

「夕日の国」…昔読んだ夕焼けのお話って、これだったのかなあ?うーん、そうかもしれないし違うかもしれない。
孤独なラクダに惹かれていく主人公、「夕日の国」の住人にならなくて、良かった…のか…?うん、夢の中だけでは暮らせないものね。

「だれも知らない時間」…さち子がお母さんが亡くなった月夜、カメの夢の中に落ちていく下りが、水面のきらめきにも似て幻想的でした。
「そんならいっそおれも、おまえの夢の中に入れておくれ。百年間でられなくてもかまわない。」と言いきった良太の若くて真っ直ぐな想いが、まぶしかったです。

「赤いばらの橋」…小鬼が出会ったのは、外見が可愛い女の子ではなくてみっともない魔女の娘。でも小鬼は、ちゃんと彼女の心映えの良さみたいなものに気付きます。小鬼が「小枝ちゃん」と名前を呼ぶシーンが好き。それにしても可愛い名前ですね。

「小さいやさしい右手」…ああ、すごく良いお話ですね…
魔物と大人になった妹娘が再会し、心を通わすシーンが、とっても優しく胸に染みいります。
「ゆるす」ということを「分かりたい」と思い、「涙」を知った、魔物失格の彼。
この魔物君より、継母の方がよほど腹黒く思えるな…
でも少なくとも、まま子のお嫁入りはきちんとさせてあげたんですね。彼女は今幸せみたいだし、良かったです。

巻末のエッセイで、やはり安房直子さんは、色彩を大切にお話を書かれていたんだなあ…と思いました。
お料理のエッセイの中から、お話が浮かんでくることもあるのか…うーん、素敵です。今改めて読むと、安房直子さんの作品の食べ物って、「美味しい」ということが文章を読んでいるだけで強烈に伝わってくる感じです。

子ども向け小説だと思って馬鹿にしてはいけないお話ばかりでした。(もちろん子どもが読んでも十分楽しめるでしょうが。)
なんとなく安房直子さんの本は、図書館のイメージです。真っさらというよりは、読み込まれてかすかに黄ばんだ紙が似合う感じ。

『恋人たちの冒険(安房直子コレクション5)』の記事は、こちら

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

テーマ: 児童文学・童話 - ジャンル: 小説・文学

タグ: 安房直子 

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