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『伯爵と妖精~愛しき人へ十二夜の祈りを ~』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 愛しき人へ十二夜の祈りを (コバルト文庫) (伯爵と妖精シリーズ)伯爵と妖精 愛しき人へ十二夜の祈りを (コバルト文庫) (伯爵と妖精シリーズ)
(2010/04/27)
谷 瑞恵

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『伯爵と妖精』シリーズ、全て合わせて第22作目。今回は短編集でした。

今回の短編集に収録されているお話は、最後の書き下ろし「愛しき人へ十二夜の祈りを」をのぞいて、私はすでに雑誌で読書済みでした。
雑誌で順番に読んでいくたびにどれも良いお話で、「短編集になると良いな」と願っていたので、実現して嬉しいです。(いや、Cobaltって、シリーズものでも雑誌掲載だけで終わってしまう短編がたまにありますし…)
お気に入りのお話は、寝る前に読むと幸せな夢が見られるような気がして、重宝したものです(笑)。

とりあえず、書き下ろしが気になったので一番先に読んで、後から読み飛ばした短編も読みました。
短編は、加筆されているお話もありました。

「日だまりの小悪魔」
お話のはじまりに載っている少年時代のエドガーのイラストが、とっても可愛らしくって、それでいて、いかにも「エドガー」らしい雰囲気です。
エドガーの天使の微笑みにだまされているお母さまと、彼の本性にうすうす気づいている教育係が、なんだかおかしい。
気楽に読める、ほのぼの可愛らしいお話でした。

「ミニアチュールの恋人」
私はこのお話が、雑誌に掲載された短編で、一番目か二番目に好きでした。
結婚直前のエドガーが回想する、彼の初恋の思い出のエピソードかと思いきや、実は、エドガーの叔父さん、フィリップの恋物語がメインでした。
ませていて女好きで、自分の魅力を自分で熟知している王子様で、でも実はどこか詰めが甘い少年時代のエドガー。何だか、変わっていないなあ…(笑)。
フィリップ叔父さんの恋の結末は、かなり切ない余韻が残りました。
そんな過去のエピソードと、現在のエドガーが見出したたったひとりの女性・リディアに対する想いが、ダイヤモンドのきらめきつながりで上手にからめられていて、とっても良かったです。

「約束がかなうときまで」
エドガーとポールの出会いのお話。これは、最初と終わりの部分が加筆されていました。
このお話だけだと、エドガーは、完璧に理想的な公爵家の跡取り息子…という風に読めます(笑)。まあ確かに、それはそれで事実なんですが。
加筆されていたラストのエドガーの言葉は、シリーズ中でもかなりの名言だと思いました。
「ポール、リディアの魅力の半分は、妖精の存在を疑う人間には見えないものなんだ」

「おかえり、花が香る間に」
「ミニアチュールの恋人」と、一番目か二番目かを争うくらいに好きなお話でした。
結婚4日目にして、使用人も妖精も、全員が奥さまの味方をしているアシェンバート家のメンバーが、おかしすぎる…(笑)。旦那さまの日頃の行いが分かろうというものですね。
「勝手にでかけたらどうだ?」というニコに対し「家出じゃないんだから」と返すリディアには、これまでのふたりの関係がすっかり変わったのだというのが読みとれて、微笑ましくなりました。
サフランの花畑のシーンは、ため息がもれるほど美しくて、様々な愛おしい思いがこめられていて、素敵でした。
少し加筆されていたので、私的な解釈が違ってきたかも。
でも「会いたくなったの…」と涙をこぼすリディアのラストは、やっぱり短編ならではの名シーンです。
ふたりのお互い想いあう気持ちが、とってもよく伝わってくるお話でした。

「かわいい愛玩動物にご用心」
これは、前にちょっとだけ記事にしましたね、確か。
ローデン三姉妹初登場。彼女たちのエピソードを、もっと読んでみたい気がします。
弟ケルピーとルースと再会が叶って、私も嬉しかったです。

「指ぬきは純潔の誓い」
ケリーとレイヴン大活躍!のお話でした。でもケリーは、純潔は疑われるし「ニコさん優先」のとばっちりを受けているし、なんだかかわいそうだなあ。彼女の頑張りも、個人的にはもう少し報われてほしかった…
リディアとエドガーのディナーの部分で、加筆がありました。
うーん、色々とごちそうさまでした…人目のないところでは、エドガーに素直に甘えられているリディアが可愛いな。

「愛しき人へ十二夜の祈りを」
これだけ今回が初読でした。
伯爵夫妻と親しい人々がマナーン島で過ごす、クリスマス~十二夜のお話。

シルヴァンフォードの過去の悲劇の真相が、明かされました。
エドガーのお父さまとお母さまが、典型的な貴族ではあってもそれでも思っていたより良い人達だったので、かなり救われました。
ラスト近くで、お父さまが意識のないエドガーに語りかけている内容には、涙が出そうになりました…これが真相だったなら、大分楽になれますよね、エドガーは。
夫婦がきちんとお互い愛し合っていたのも、確認できて良かったです。

一方で、トゥエルフス・ケーキの空豆をリディアが引き当てられるのか否か、最後までどきどきして読んでいました。
この結果は…ハッピーエンドには違いないけれど、ちょっと引っかかるというか、意味深ですね。

それにしても、ポールとロタは、一体どうなるのでしょう?大公さままで登場してきましたし。

今回のお話は、すれ違いもなく、ふたりは本当にラブラブでした。エドガーの惚れ込みようがすごいですね…(笑)。
前年のクリスマスのお話を思い起こすと(「きみに届く魔法」でしたっけ)、もう本当に、無事に結婚できて良かったねー、幸せになれて良かったねーと心底思います。エドガーもリディアも。

ああ、良い短編集でした。甘くあたたかく優しい愛情で、私の方まで満ち足りてしまいました。
エドガーが、かつて確かに持っていたけれど辛い経験の中で見失ってしまった部分を、リディアが救って取り戻してあげたんだなあ…というのが、短編集にまとめられたことで読んでいて実感できるようになって、とても良かったです。

本編の続きも、もちろん気になります。
いつ出るのかなあ。

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

テーマ: 少女小説 - ジャンル: 小説・文学

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

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