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『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵』三川 みり 

シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と青の公爵 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵 (角川ビーンズ文庫)
(2010/07/31)
三川 みり

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『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ、第2作目。
銀砂糖師を目指すがんばりやの少女・アン、口の悪い美貌の戦士妖精・シャル、はた迷惑なほどににぎやかな小妖精・ミスリルの旅の一行は、望み通りの砂糖菓子に破格の報酬を出してくれるという話をききつけて、フィラックスのアルバーン公爵のお城を訪ねることになって…あれこれのお話でした。

このお話、本当に、評判が良いですねえ。
実際丁寧なつくりのとても良い作品だと思うのですが、私のイメージする今どきの少女小説…とは、少々外れているお話という感じがするので(特に「ビーンズ文庫」というイメージとは外れているような気が)、正直、意外な気持ちです(笑)。

表紙のイラスト、夜空の色づかいとアンのお洋服のパステルカラーがとってもきれいです。ここだけでもう、幼いころのときめきを思い出させるような、美しいおとぎ話の世界です。

お話は、前回と似た感じで、序盤の展開が淡々としていてやや入り込み辛くもあったのですが…アンが決意をかためてアルバーンが真に望む砂糖菓子を作ろうとし始めたシーン辺りからは、本当に面白くなってきて、ぐいぐい引き込まれていきました。
アルバーンが言葉にする「クリスティーナ様」の面影を追いかけて、砂糖菓子を作ってゆくアンの姿は、読んでいて本当に素敵でした。ひたむきに努力して、アルバーンにとって至上のものを作り上げようとするアンの姿が、貴い。

とうとう砂糖菓子ができあがったシーンは、望むものができあがった喜びと、それゆえに分かった失ったものへの哀しみ、あらわになった真のアルバーンの孤独な立ち姿…あれこれが入り混じっていて、それでいてすっきりと美しい読み心地でした。
最後にアルバーンがアンに贈った台詞、「おまえは、最高の砂糖菓子職人だ」には、思わずほろりときてしまいました…ああ、よかったね、アン。報酬も無事にもらえてよかったね(笑)。

そして、シャルは…なんというか、可愛いなあ。
アンを大切に想っているのが、なんだかんだ言って行動や態度の端々からうかがえて、微笑ましい気分になりました。
名前で呼ばれると嬉しいから…というアンに「そうなのか!?」と衝撃をうけているシャル、私もびっくりしたよ!ええっ、分かっていなかっただけなのか!(笑)

一方のジョナスくんは、正直、読んでいていらいらしました。
上に書いたように、私がこのお話のはじめの方、いまいち入り込み辛かったのは、もしかしなくても、このジョナスくんにいらいらせずにはいられなかったから…という理由が大きかったんじゃないかと思います。
前作から、何にも成長してないじゃん。イラストの顔立ちが、育ちが良くて優しいおぼっちゃまというイメージなだけに、余計に残念な人だなあ。
キャシーも、アンへの仕打ちを思うと憎たらしいけれど、彼女自身の立場で思ってみれば、あまりに不憫すぎる…。一体どこがいいんだか。

アンとシャル、お互いがお互いを意識しはじめているのが、はっきりと伝わってくる感じになってきたので、ほのぼのときめきます。けれど、進展は遅そう…そもそも、進展といっても人間と妖精、どうすれば良いんでしょう。

アンと今回登場したアルバーン公爵は、立場も性格も全然違うけれど、人が使役する対象である妖精を真に愛した人間と言う意味で、この世界のなかで他の誰よりも、似た魂を持ち合わせていたふたりだったのではないかと思いました。
だからこそラストで、あのふたりは、砂糖菓子を通じてお互いの気持ちを分かりあえたんでしょうかね。
アルバーンの恋物語は、あまりにも短かったけれど…一緒にいられた時間は幸せだったんだろうな。そう信じたい。
アンの恋のゆくえも、幸せなものであると良いな。

本を閉じると、ほんのり優しい気持ちになって、心がすーっと澄みわたるような、不思議な読了感でした。
続きも楽しみです。


昨日「かぼちゃシナモンベーグル」の記事に拍手下さった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーンズ文庫

テーマ: 少女小説 - ジャンル: 小説・文学

タグ: 三川みり 

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