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『伯爵と妖精 愛の輝石を忘れないで』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 愛の輝石を忘れないで (コバルト文庫)伯爵と妖精 愛の輝石を忘れないで (コバルト文庫)
(2010/12/01)
谷 瑞恵

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『伯爵と妖精』、本編、番外編合わせて第24作目。
プリンスの組織からリディアを守るために、なによりふたりの将来のために、彼女の元を離れて、アーミンとともに組織に入り込むことになったエドガー。組織の中でプリンスのふりを続ける重苦しい日々の中、リディアへの変わらぬ愛情が、彼のよすがとなっていた。
一方のリディアは、当初の予定通りに、伯爵家の仲間たちとともに、妖精国の船に乗り込む。けれどもプリンスの組織のひとりの策略によって、恐ろしい罠が船に仕掛けられることに…

まあ、予想はしていましたが…終始、重い展開の一冊でした。ラストは……。
これまで謎だった様々なことが明かされていき、緊迫感ただよう展開に、どきどき引き込まれながら、必死に頁を繰って読んでいく感じ。そんな中でもほのぼの和みシーンがしっかりあるのがすごいですけれど(笑)。
そして、離れ離れになっていても、分かちがたくしっかりと結ばれた主役二人の夫婦のきずなが、ただただ素晴らしかったです。

以下、ネタばれの感想です。ご希望の方は、追記よりどうぞ。


序盤、フランシスとアーミンの話で、これまで謎だったことが、大分と明らかになりましたね。
ずっと謎だったアーミンの真意が、ようやくつかめました…彼女はいつでもひたすらに、エドガーの味方だったのね。安心すると同時に、彼女の愛情の行方を思うとなんだか切ない。
フランシスの方も、まだ完全には正体がつかめませんが、今回分かったことだけでも、かなりの衝撃。
まさか、呪いをうけて長く生き続けてきた身の上だったとは。恋人であったダイアナの正体も、いまいちよく分からないままですし、色々と気になります。

それにしてもプリンスの組織は、本当に読んでいて重苦しいです。
特にテランは、たちが悪すぎます…ユリシスも、プリンスですら、テランに比べるとまだ理解できなくもないし、まともに思えてしまいますよ。
彼が今回リディアたちに放った罠、読んでいてものすごくえげつなかったです。
最初にエンマにした仕打ちも、お、おそろしい…
ちょっと思いましたが、『花嫁修業は薔薇迷宮で』で、エドガーがアニーを脅していたシーンにあそこまですごみがあったのは、エドガー自身、似たような体験をずっとしてきた(あるいは見せつけられていた)からなんでしょうね。よく心が折れなかったものですよ。

そんな組織に身を投じているエドガーでしたが、リディアが与えてくれた大きな愛情が、彼の確かな支えになっていて。そこがしっかりしていたので、まだ安心して読むことができました。

一方のリディアは、最初の方の辛さや不安がリアルに伝わってきて、船が出発してからも、大丈夫だろうか…とちょっと心配だったのでした。(エドガーが彼女にのこしていた遺言とか、奥さんへの愛情を改めて見せつけられる思いで、読んでいると私も泣きたくなりました…)
けれども、女妖鬼のたくらみで疑心暗鬼になりかけていた皆の中で、とっさに「あたしから殺しなさい!」と啖呵をきったシーンのリディアは、まぎれなく、皆をまとめる伯爵夫人の威厳と強さを身につけていて、格好良くて惚れ惚れしました。
ラスト、ムーンストーンの力を使って危機を脱した思いきりの良さも、素敵でした…

このままふたり、この巻では逢えないのだろうか…とも思いましたが、つかの間ではありましたが、きちんと再会できました。それだけでも良かったー。
「あたし、あなたのキスが好きみたい」というリディアの言葉に、無邪気なはじけるような笑顔をむけたエドガーのシーンが、特に印象的でした。

それにしても、離れ離れのときに、ふたりが回想していたありし日のピクニックや舟遊びのシーンが、本当に幸福すぎて、この展開の中ではもう、何とも言えないものがありました。
言っても詮無いことですが、どうしてこんなに幸せな新婚夫婦が、こんな辛い事態に追い込まれなきゃいけないんでしょ…(涙)。

辛い展開の中で、和ませてもらったのは、ポールとロタ、それとレイヴンとケリーとニコでした。
ポールとロタ、今回は、結構進展がありました…よね?ロタの方の心境にも変化の兆しがあるようで、嬉しくなりました。
このふたりの場合、結ばれるとして、どういうかたちで結ばれるのかいまいちよく分からないのですが、とりあえず、がんばってね、ポール(笑)。

レイヴンとケリーも、今回ほのぼさせてもらえました。
「大好きなニコさん」にもらったチョコレートをケリーにさし出したレイヴン、そして受け取ったチョコレートを半分こして美味しく味わっていたケリーのシーンが、かなりお気に入りです!ほんわかします。私もチョコレートを食べたくなりました。
「かわいい」なんて言葉も、レイヴンが口にすると、たとえその後台無しな台詞を吐いたとしても、どきどきです(笑)。

後、クローゼットの中に男を見つけたら、半殺しにしてもいいとエドガーに命じられていると真面目に言うレイヴンに対し、「そんなバカげたことを命令するなんて、どれだけ奥さまが心配なのよ!」と、思わず心の中でエドガーに突っ込みを入れているケリー、思わず吹き出してしまいました…(笑)。
ケリーの常識的な視点は、ときどき色々と非常識な伯爵家のあれこれに、またとないスパイスになっていて、とても楽しい。

そうそう、話が前後しますが、はじめの方にあった、レイヴンがニコに向けた「みんな、リディアさんを心配したいんです。だからちょうどいいんじゃないかと思います。」という台詞も、お気に入り。よく分かっているなー、レイヴン。


そしてそして、ラスト。
ついにエドガー、プリンスの力を、完全に解き放ちました。
ええっ、もう、一体どうなるのー…!
…読み終えてしばらく、呆然としてしまいました。

スタールビーの暗い赤と、リディアのムーンストーンの月の光が、同時に放たれてお互いを引き立て合っているラストシーンの情景が、この上なく鮮やかに、イメージとして浮かびました。
こんなときですら、エドガーとリディアは、お互いに通じ合えて助け合うことができる、分かちがたい絆で結ばれた青騎士伯爵夫妻で、胸が痛くなりました…

「急いで、リディア。
僕が追いつけないように。」

このエドガーの最後の心の声が…切なすぎて(涙)。

ああ、これから一体、どんな展開が待ち受けているんでしょう…読みたくて仕方がありませんが、正直、エドガーがこの後どうなるのか、読むのが恐ろしくもあります。
でも、まだまだ良く分かっていない伏線もいくつかありますし、何よりリディアもエドガーも、伯爵家のメンバーや仲間たちも、あきらめていませんから!
最後には、皆笑って過ごせる日が、再びやってくると、信じたいです。

どうでもいいことですが、スワンの妖精国の船、今回のような危機せまる航海ではなしに、普通に観光気分で乗ってみたら、たいそう楽しいだろうなー、とかちらりと思いました(笑)。

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

テーマ: 少女小説 - ジャンル: 小説・文学

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

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