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『恋のドレスと薔薇のデビュタント ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

恋のドレスと薔薇のデビュタント ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (あ16-11))恋のドレスと薔薇のデビュタント ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (あ16-11))
(2006/06/30)
青木 祐子

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『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、再読第3作目。
結婚をひかえた男爵令嬢・ファニーが、イアンの紹介で「薔薇色」を訪れる。両親に決められた相手との結婚を前にして、初恋の思い出・今となっては幻のような人に逢ってみたいというファニー。けれどもどうやらファニーの思い出の人とは、クリスがひそかに好意をよせている青年貴族・シャーロックのようで。
ファニーのことでちょっとしたすれ違いを起こしたクリスとシャーロック。それと時を同じくして、ファニーがメイドとこっそり面倒をみていた野良猫が、彼女に思いがけない出逢いをもたらすことに。

再読3冊目です。「薔薇のデビュタント」というタイトルがぴったりな、初々しいロマンスを楽しむことができました。
ラスト、薔薇のつぼみがついに花開いたような初恋の言葉が、印象的な巻でもありました。

この巻は、とにかく、パメラが格好良かったです!パメラ素敵(笑)!シャーロック、負けてるんじゃ…
私がこの巻で、ロマンス的要素以外で一番印象に残っていたのは、何と言っても、パメラがシャーロックの頬を打った、あのシーンでした(笑)。読み返してみてもやっぱり面白いなー。
イラストがまた効果的すぎます。パメラの険しい表情と、驚きのあまりに、言葉の通りに目をまんまるに見開いているクリスとシャーロックのふたりとの、対比がとってもおかしい。

後、イアン先生がパメラに本格的に思いを寄せ始めたのは、この巻辺りからでしょうね。その点からも記念すべき巻です(笑)。
抜けているようでいざというときには頼りになるイアン先生の本領が、いかんなく発揮されたラストでもありました。最終的にバルトの正体を明かすための証拠をつかんだ、お医者様のネットワークはすごいです。
それでいて、エピローグではやっぱり決まらないのが、まあイアン先生ですよね(笑)。

今回のお客さまの、男爵令嬢ファニーと、シャーロックの先輩でもある弁護士ケネスのふたりは、このシリーズのゲストキャラクターの中でも特にお気に入りのカップルです。
ふたりがちょっとしたきっかけで知り合い、しだいに想いを寄せ合うようになっていく展開は、劇的なものはさほどないのですけれども、素直にうっとりと憧れてしまうような、すてきな恋の物語。恋するファニーは、それまでが嘘のようにしあわせそうに輝いていますし、好青年なケネスも良いです。
ファニーの気持ちのかたちのドレス・「空の涙」の描写も、うっとりするほどきれい。このシリーズはどこでも、水に関連した描写がとりわけ美しい気がします。
バルトは本当に嫌な人間で、闇のドレスもからんできて、話はとうとう決闘にまでもつれこんでしまいましたが…、ラストがあんな感じで収束して、心からほっとしました。

ファニーとペアで、垢ぬけないけれど、素朴な忠誠心でファニーを守り通したメイド・ノラもお気に入りなキャラクターです。
闇のドレスの嫌な雰囲気に自分で気づいて、ファニーから遠ざけたのが、本当にすごい。
パメラがノラに、あれこれファッションのアドバイスをしていたりするのも、好きな場所だったりします。

クリスとシャーロックのふたりは…次第に心の距離を縮めていって、同時にここら辺からだんだん、間に横たわる階級差に、ふたりして縛られ始めた感じでしょうか。
気持ちが盛り上がったところで、身分差を思いだして、また身を引いてしまう…じれったい。でもそれがたまらない(笑)。
この時点からあきらかに、お互い好意を寄せ合っているのになー。クリスもシャーロックも、常にお互いのことばかり考えていて、気持ちをそばにいる人にかくすこともできていなくて、もう、かわいらしいったらありません。
本当、先は長いよ。がんばってください…(主にシャーロック。)


以下、お気に入りのシーンをセレクト。


シャーロックはいっとき、クリスの顔にみとれた。
かわいらしい目、かわいらしい鼻、かわいらしい唇。おだやかで優しい眉、小さな耳―
こんなに小さくて、かわいらしくて、美しい女性の顔を見たことがなかった。
これまで彼女のドレスを着た客の中で、ミス・クリスティン自身がこんなに美しいと気づいているものがどれだけいるだろうか。(162頁)

―この辺りは、できれば全部抜き出したいなあ。心ときめくお気に入りの場面です。
クリスにはっきりと惹かれているのに、彼女を「仕立て屋」と見下して自分の気持ちを必死にごまかそうとしているシャーリーは、正直ちょっといらいらもするのですが(笑)。
でもこんな風にして、クリスの美しさやかわいらしさを誰よりも早く見いだした男性という点では、かなりの高評価です、やっぱり。


「あたしは、悪いけど、ファニール嬢よりもあんたのほうが大事なのよ。あんたさえ無事なら、シャーロックだろうが、ファニール嬢だろうが、女王さまだろうが、知ったこっちゃないの。行くなら止めないけれど、それは忘れないでほしいわ」
クリスはパメラのいうことを聞いていたが、やがてパメラにちかづき、首に抱きついた。
「どうせあたしは冷たい女よ」
「ううん。…わかってるわ、パメラ」(168頁)

―ああ、このふたりの友情が、本当に大好きです!
パメラ、やっぱり格好良くて惚れ惚れします…(笑)。パメラの気持ちをしっかりと受け止めた、クリスの最後の台詞も大好き。


「あなたが好きです」

―ふたりの素敵な娘さんの、シンプルだけれども心のこもった、愛の告白。どちらのシーンも印象的でした。


後、この場面も。

ファニーは、ね、と同意を求めてクリスを見る。
「…それは、馬が嫌いだったからじゃないかしら」
クリスはファニーの視線を受けとめながら、妙に現実的な意見を言った。(50頁)

―真剣なファニーには悪いのですが、この辺の思い出話には、思わず吹き出してしまいます(笑)。



以下、個人的簡易メモ。(注:本当に適当なメモですので。あまり完全なものは求めないでくださいね…笑。)
ファニール・イシュタトン、ノラ、メルヴィン・バルト、イレーネ・オランド、ファーガソン卿、ロデリック卿、初登場。
ファニー視点の中でですが、バーンズ家の令嬢・アリスも登場しています。晩餐会の彼女のドレスは、もしかするとクリスのドレスでしょうか。
後、クリスは、ファーガソン夫人のドレスも作っています。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

テーマ: 少女小説 - ジャンル: 小説・文学

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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