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『伯爵と妖精 あなたへ導く海の鎖』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 あなたへ導く海の鎖 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫 た 16-48)伯爵と妖精 あなたへ導く海の鎖 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫 た 16-48)
(2011/03/01)
谷 瑞恵

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『伯爵と妖精』、シリーズ第25作目。
リディアたちが乗った船が妖精国に出航するのを見届けたエドガーは、覚醒し始めたプリンスの意識をかかえ、組織に君臨しようとする。「プリンス」として目覚め、復讐心をあらわにしてリディアへの愛情も冷たく否定するエドガーは、アーミンですら本心を見抜けない。
一方、妖精国への道のりの中継地点である「リオネス」という幻の国を探し始めたリディアの目の前に、不思議な少女があらわれる。伯爵家の皆には友好的でない彼女は、妖精国へ行くために大切な存在らしいのだけれど…。


読み終わって、とりあえず。
重い…。(沈黙)

私の読了感としては、今回はもう、シリーズ史上で一番、ダークで容赦ないお話でした…。
まあ、一旦これくらいは重い展開にならなければ、プリンス関連は、解決に至らないのでしょうけれど。
少し前までの甘ーい新婚生活に慣れていただけに、予想以上に、きつさが身にこたえました。
それでもやっぱり和みシーンは健在だったり。

普段の私ならば、もう少し読み返して色々整理してから感想を書くのですが、とりあえず、思いを書き散らさないことには私が辛すぎるので、追記以下、ネタばれありのいつも以上に読みにくい感想、書かせていただきました。
明らかになったプリンスや妖精国の新事実とか、まだまださっぱり理解しきれていないので、間違ったことを書いている可能性も十分にあります。その辺りはご了承ください。

ネタばれ語りの前に、少しだけ。
今回作品の中で一番ラブラブしているのは、表紙イラストのふたりなんじゃないでしょうか?(笑)
高星麻子さんのカラーイラストは、本当に、ため息がもれるほどに美しいですね。
ダークな色づかいの深みがたまりません。ふたりの表情も素敵。特にみつめる瞳。

カラーに限らず、今回の高星さんの挿絵は、どれも本当に良かったです。

後、今回は、一番最初の登場人物紹介の頁がようやくリニューアルされたので、嬉しかったです。
個人的には、ケリーが入っていないのがかなり不満ですが…(苦笑)。


さて、内容の語りにうつりましょうか。(勢いにまかせて書いている内に順不同になりました…。)

とうとう「プリンス」として覚醒した(私は以下一応そう解釈することにします)、エドガー。
なるほどねー。エドガーの場合は、こういう「プリンス」になるんだなあ、と、なんだか納得しました。
前のプリンスは、裏世界のボス、みたいな感じでしたからね。
まぎれなく本物の貴族の、冷たい威厳と気品を兼ね備えたプリンス。

エドガーらしさが失われていなかったのは、ある意味良かったですが…リディアへの愛情をしめさない、そればかりか伯爵家の妖精国情報までもらしてしまうとは…いやー、こんなのエドガーじゃないよ(泣)!
途中までは本気で、アーミンに感情移入しつつ読んでいく感じでした。
(というか、アーミン、エドガーへの想いはもう完全に吹っ切れたんだなあ…切ないけれど、彼女自身はもうそのことでは全く苦しんでいなさそうだったので、まあ、良いのかな。今後はむしろ、がんばってもらうのはケルピー?笑。)

そして、キャスリーンが、再登場。
正直忘れかけていましたが(汗)、今回の場合は彼女視点がほとんど出てこなかったせいか、組織に良い気にさせられて利用されている、哀れなお嬢様…みたいな印象でした。
でも、やっぱりエドガーには、キャスリーンなんかと仲良くしてもらいたくないのよ私は。
アーミンがキャスリーンをやりこめていた147頁のシーンでは、本気で良い気味だと思ってしまいました。

一方、伯爵家の皆さま。
エドガーを心配して自分から行動に出ようとしたレイヴンを、リディアが気持ちを理解し、だきしめてなぐさめてあげたシーンが、とても良かったです。イラスト込みで。
なんというか、レイヴンは、エドガーとリディアの大切な家族の一員なのね。
「エドガーさまが、リディアさんに触れたがる理由が分かる気がします」…レイヴンにもやすらぎを与えられるリディア、うーん、やっぱりただものじゃない女性です。

今回は、あとがきで谷先生が書かれていた通り、「リオネス編」。
『恋人は幽霊』以降、ほとんど出てこなくて気になっていたリディアのアクアマリンが、ようやくキーアイテムとして登場!
カテーナはリディアに冷たくて、ただでさえまいっているリディアをこれ以上いじめないでよ!みたいな感じで読んでいましたが…何よりびっくりしたのは、フランシスの正体ですよ、ほんと。まだはっきり書かれていないので確証は持てませんが…。
「怠け者でいいかげんで単純な王子」…71頁の昔語り、後で読み返すと、笑ってしまいました(笑)。やっぱりフランシスなんじゃないかなあ。
ダイアナの正体ともぴたりと一致して、おお、すごい!と。

それにしてもあの牧師さま、最悪にえぐい…(苦笑)。

カテーナの領域に閉じ込められて、ユリシスとフランシスを張り合わせて情報を引き出していたリディアのシーンが、結構楽しかったです(笑)。やるねリディア。
ユリシスは相変わらずでしたが、以前よりは、きらいじゃなくなってきた気がします。葛藤もつめの甘さも、良くも悪くも人間。

辛い状況の中で、まず頑張りが光ったのは、ケルピー。
リディアにキスして、それでもリディアがキスで喜ぶのは伯爵だけだというのも理解していて、リディアのために危険を承知でエドガーに接触して…なんというか、良い奴だよね、ケルピーは(泣)。

ケルピーを馬小屋に…本当に悪趣味なエドガー(苦笑)。
彼がアーミンと言葉を交わしているシーンは、シリーズが進むごとに、お気に入りになっていきます。
最後のアーミンがなんだか切ない。

でもまあ、そんなケルピーのおかげで、エドガーの本音がついにひきだせた!
ああ、やっぱりエドガーは、リディアを愛する人間としての心を失っていた訳ではないのね…本当に安心しました。
けれども、それが分かって安堵する間もなく、彼はプリンスを抑え込むために、再び、誰もかれも、リディアですら、欺く他はなく…。
…うー、読んでいて辛すぎるなあ、これは(涙)。

エドガー視点で語られるのではなくても、ぎりぎりの状況で、リディアや仲間を救おうと必死に頑張っている彼の姿がすけてみえて、安堵すると共に本当に辛かったです。
その頑張りはあっても、本人がそう仕向けているとはいえ、エドガーは変わってしまったのかもしれない…と皆に思われているのが、また余計に辛すぎました。
リディアですら、彼の愛情を実感できないなんて。
それでもリディア、がんばりますね。めげませんね…。泣きそうになって読み進めつつも、本当に彼女は、強くなったなあと思いました。

本当に一場面だけ、本心からリディアを抱擁したエドガーが、印象深かったです。

カテーナと親友の女の子の昔話、真相が明らかになってみると、これまた泣きそうなお話でした。
海に落ちたルーの鎖…悲しみに満ちたシーンだけれども、まぶたに浮かぶ情景が、本当に美しい。
このシリーズは、リディアが一生懸命関わってきた妖精たちが最後に見せてくれる情景が、どの巻も素晴らしいですね。

それにしても、青騎士伯爵家のスタールビーとか、封印とか…私はざっと読んだだけなのでまだまだ理解できていませんが、本当に矛盾に満ちていますね。
青騎士伯爵になりながらもプリンスの記憶を抱え込んでしまったエドガーがこんなに苦しんでいるのも、あらかじめ決められていた運命だったとでもいうの?
だとすれば、なんという残酷な。
マッキールの予言者とその花嫁の謎とか、その辺りまだまだ分からないことだらけなので、先のお話を待ちたいと思います。

そういえば、レイヴンとニコの会話。
そうか、やっぱりリディアは、予言者の許嫁だったのね…そうなのね。
アウローラさんがそういう状況にした訳ではなくて、あのブラッドストーンが決め手だったのでしょうか、やっぱり。
予言者の花嫁ということが確定するとなると、余計に、エドガーが見たプリンスの夢の内容も、不気味ですね。

でも、レイヴンと言えば、今回は特に、彼のゆるぎない信念というか忠誠心が、救いでした。
225頁から226頁までのレイヴンの言葉が真実ならば、本当、救われます。
「そばにいてさえ、何をするか分からない方です」…うん、確かにそうですね。やっぱり良く分かってる(笑)。
エドガーに命じられてもリディアを渡さなかったシーンも、良かったです。レイヴンの成長を実感しました。

で、今回のラストは…(沈黙)。
こ、こんなところで終わるんだ…残り頁が少なくなってきても、お話は全然明るくなってこないので、嫌な予感はしていましたが、それでもね…。
ネクタイをうまく結べなかったエドガーとアーミンのやりとりは、良かったのですが。

リディアの土壇場でのあのはったり、これだけが、彼女の命をつなぎとめている状態ですか。
お、恐ろしい…。

まあ、リディアとエドガーの場合、離れ離れで頑張っているよりも、プリンスの組織だろうと、むしろ同じ場所で一緒にいた方が、良い方向に向かうんじゃないかなあと、根拠なく思いはするんですけどね。
後ですね、私は、未だに「リディアは実は本当に妊娠しているんじゃないか」説を、完全には捨てきれない…。
たとえ今はまだでも、将来的には子ども云々の展開になることが、この物語には必要なのではないか、とこれまた全く根拠なく思っていたりします。

お互いを何よりも愛おしく想い合うがゆえに、今回のような辛いお話になってしまうのは、やり切れないですね、本当に。
それでもエドガーもリディアも、以前よりはずっとずっと強くなって互いの絆を実感しているから、まだ決定的に壊れてはいない。
これまでの甘く幸せな結婚生活で得られたものがあってこそ、なんですよね。きっと。
まあ、いっそ何もかもすっとばして、リディアの無償の愛が、早くエドガーを救ってあげられればいい!とかついつい思ってしまったりもするんですけれど…(笑)。


今回のお話は、終始こんな感じでえぐかったですけれど、和みシーンはやっぱりきちんとありましたね。考えてみればかなりすごいよ(笑)。
「ニコさんのしっぽを追いかけていたのですね?」
「どうしてわかったのですか?」
ケリーとレイヴンのこの会話、重たいお話の中でもうっかり吹き出してしまいました(笑)。
確かにこれは誤解するよ、レイヴン…。
ケリーとレイヴンは、ニコさん大好き同盟でも結んでもっと仲良くすると良いと思います。

後、本当に最初の方で出てきた、パースティとかいう食べ物が、なんだかとても美味しそうで心ひかれる私です。


…ふー。とりあえず、思いのたけを好きなだけ書き散らしたら、大分気がしずまりました。
こんな文章を最後まで読んでくださったあなた様、お疲れさまでした(苦笑)。ありがとうございます!

なんだか、まだしばらくお話は終わらなさそうですが…ハッピーエンドを信じて、とりあえず次の新刊を、少々びくびくしつつ(笑)待ちたいと思います。
(雑誌の方で、甘甘な短編を読みたいなあ、できれば…笑。)

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

この記事に対するコメント

初めまして。

私も伯爵と妖精新巻読みました。
早く続きが見たくてうずうずしています。笑
でも、今回は本当にダークなところが多かったですね^^:
2人が仲むつまじくほほ笑みあっている甘甘なところを早くみたいですw

と、思いつつこのシリーズがまだまだ終わって欲しくないなーと
思っている私です。汗

URL | そら #-
2011/03/09 11:45 * 編集 *

Re: 初めまして。

>そらさん
コメントありがとうございます。

こちらこそ、はじめまして♪
そらさんも、新刊読まれたのですね!
ですよね、ダークな巻でしたよね…。
これでもかと言う程甘かった新婚夫妻のお話が、今となっては、懐かしくてなりません(笑)。
エドガーの甘いささやきを、再び楽しませてほしいです…。

そう、私もそらさんと同じなのですよ。
新刊が気になって仕方がないのですが、シリーズが読めなくなるのは寂しいからまだ終わってほしくないなーとか思ってしまうのも、またほんとう(笑)。

URL | fallclover #SvKcs0as
2011/03/09 22:07 * 編集 *

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