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『フィンスタニス統治記 夢の楽士と炎の精霊』くりたかのこ 

フィンスタニス統治記 夢の楽士と炎の精霊 (B’s‐LOG文庫)フィンスタニス統治記 夢の楽士と炎の精霊 (B’s‐LOG文庫)
(2010/10/15)
くりたかのこ

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伯爵令嬢・ルノアリアは、魔物が徘徊し凶悪な魔法使いが住み着いているといわくつきの場所・フィンスタニスを、父親の代理で一年間治めることになる。これは兄との賭けで、勝たなければ彼女は、親ほどに年の離れた侯爵と結婚させられてしまうのだ。
たった二人の供を連れてフィンスタニスにやってきたルノアリアは、早々に魔物に襲われる。
恐怖に震える彼女の前に現れたのは、炎をまとった美しい魔法使いの青年だった…。


はじめて読む作家さんのお話です。
タイトルが素敵だなあと思って、何気にずっと気になっていたお話でした。今になって読んでみることに。

読んでいて私がとりわけ良いなと思ったのは、やっぱり人物名や土地の名前の、作者さんのセンス。後、世界観。
「フィンスタニス」という地名も、ルノアリアやクレイル、ロゼといった名前も、響きがきれいで良いなあ。ファンタジックだなあ。

「夢まぼろしの谷、フィンスタニス」みたいなイメージも、とても気に入りました。読んでいて、何というか、ほっと安心できる場所でした。
伝説の時代の魔法使いと音楽と、いなかの日なたのにおい、そしてロマンスが、ほどよく調和して、混じり合っていて。
お話が進んで行くごとに、単なるへんてこなのんびりした土地というだけではない一面も次第に分かってきて、それとなく深みも感じられて、よけいにフィンスタニスが好きになれました。

ヒロインのルノアリアは、真面目なお嬢さま。自分に劣等感をかかえつつも、至らぬことばかりで失敗しつつも、常に一生懸命がんばっていて、次第に成長していって、読んでいて素直に好感をいだけて良かったです。
お母さんを敬愛してやまないのも、健気でかわいらしい。ときどきずれているけれど…高笑いとか(笑)。
彼女がフィンタスニスに次第に本当に受け入れられていったのが、嬉しかった。
ヤギ飼いの人とのラストの会話が好き。

お相手のクレイルは…うわあ、うさんくさいなこの人、と思いつつ読んでいましたが、結局私が最初に思っていたよりいいひとで、あれれ、と意外でした(笑)。でもこれはこれで素敵なヒーローです。
ヒロインに常に優しい美貌のヒーローって、読んでいて癒されますね。
異端な境遇と辛い過去をもっていて、それでも日だまりのように優しい人でありつづけているところも好きです。
実は結構女好きらしくて、ルノアリアに割と積極的にアプローチをしている…のですが、天才的に鈍いルノアリア、それをことごとく勘違いしてかわしていく一連のやりとりが、すごく楽しかった(笑)!

脇役たちも魅力的でした。
偏屈魔法使いのロゼも、酒飲み魔女のライアも楽しかったし、侍女のフィーちゃんもすごく好き。
ルノアリアとフィーちゃんの友情は、かなり和みました。なんてかわいらしくて強くて素敵な騎士様(笑)!
ロゼとライア…ラスト近くでルノアリアたちが隠れてみていたシーンのあれは、一体何だったんだろう…。
ライアも底知れない味わい(?)があって好きです。帽子がチャーミング。
オルキアは、後編であまり目立たなくなってしまったのが、ちょっと残念だったかな…。
バリエ卿と父伯爵は…何なんだこの人たち…。まあ小物な悪役ですね(笑)。

リュート弾きのクレイルも、音楽会のシーンも、とても好きです。
リュートもクラブサン(チェンバロ)も、私大好きなのです。(実はどちらの楽器もほんの少しだけ触ったことがあります。)
古風な優しい音色のイメージが、お話によく合っている。

そう、クレイルと王女様の過去の物語は、切なかった…。
ルノアリアとクレイルの恋は、幸せなものになってほしいです。


ちょっとあっさりしているかなあとは思いましたが、読み終えるとほんのり幸せな気持ちになれる、ロマンティックでかわいらしい少女小説でした。中学生か高校生のころに読んでいたら、もっと好きになれたかも。

続きがもう出ているようなので、ぜひ読んでみたいと思います。

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カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: くりたかのこ 

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