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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『はれのち、ブーケ』瀧羽 麻子 

はれのち、ブーケはれのち、ブーケ
(2010/11/19)
瀧羽 麻子

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今日は大学のゼミで同期だったカップル、理香子と裕人の「いよいよ」の結婚式。
かつてのゼミ仲間が式のために久しぶりに神戸に集い、それぞれの視点から、ふたりの結婚式の一日が語られていく。


去年読んだ『うさぎパン』の作者さん、瀧羽麻子さんの作品です。
『活字倶楽部』のインタビュー記事でどの作品も面白そう…と興味を持ったところに、ちょうど身内に結婚式があり、タイミング的にこれから読み始めようかなと思いついて、借りてきて読みました。

とにかくほんわりしていた『うさぎパン』に比べると、地に足がしっかりついているお話だったように思います。
登場人物の年相応というか、ほろ苦い現実も、適度に混ぜ込まれていて。
けれどもやっぱり、全体としては、優しいイメージのお話でした。読んでいてほとんど嫌な気持ちにならない。
ああやっぱり同じ作者さんの作品だなあ…と読んでいて感じました。
なんというか、女性的な優しさが心地よいです。

皆の年齢が『うさぎパン』の優子ちゃんよりも私の方に近かったせいもあるでしょうが、こちらの方が読んでいて共感しやすかったです。
今の生活に加え、学生生活も色々とリアルでしたし。
皆が関西弁でしゃべっているのも(でもそういうのは割と控えめだった…ような気がする)、私としては親しみを持って読むことができました。

それぞれの登場人物の視点のお話で語られる連作短編集みたいなスタイルで、私がちらりと思い浮かべたのは、谷川史子さんの漫画。
私には絶対に真似できなさそうな、女の人たちのお洒落な雰囲気も似ているかも(笑)。


6人とも、それぞれ立場や性格が異なり全く別の人生を歩んでいて…けれどもどの人も、本当に愛おしかった。
それぞれが仲間のひとりひとりを見つめるまなざしが、読んでいてとても心地よかったです。
欠点もまあ確かにあるけれども、それをもひっくるめてそのひとと縁を持ち続けていたい。
ああ、良い仲間を持つってこんなに素晴らしいことなのね…としみじみしました。

そして6人それぞれのロマンスが適度に混じってくるところが、またたまらなく素敵でした(笑)。
花嫁さん花婿さんの物語、確かに理香子さんはいらいらしただろうな…(苦笑)。でもプロポーズ、そこに至るまでのストーリとかとても良かったです。

内気で自信なさげな奈緒さんのロマンス、最初は怪しげだとちょっと誤解していたのですが(笑)、最後まで読むとほろりと胸に染みいりました。
そうだよね、年をとったからこそめぐりあえた人なんだよね…。

亮と鈴子さんは、「がんばって!」と素直に応援したい。

最後をしめくくる章太郎の若夫婦の物語も、皆とは違う「家族」というものを感じ取ることができて、なんというか、また一段と満ち足りた気分で頁を閉じることができました。
章太郎がプロポーズを決意した瞬間の回想とかすごく好きです。
それまでの話でほとんど書かれていなくて気になっていたゆかりのこともしっかりフォローされていて、安心しました。

お話の至るところに挿入される学生時代のエピソード、どれもきらきらしていて読んでいて心地よかったです。
フィールドワークって、私の学生時代の専攻とは無縁だったので、今こうして読んでいるとないものねだりでうらやましくなってきます(笑)。
学生時代ならではの馬鹿なこともやったりして。ケロコのエピソードはしみじみおかしかった(笑)。裕人の迷惑そうな表情が思い浮かびます…。
原口教授も素敵な先生ね。

最後の章太郎夫妻のお話にちらりと出てきた地震のエピソード、今読むとかなりぐっときて考え込んでしまいました…。


以下、私の特にお気に入りの部分。

鈴子はひとをほめるのがうまいのだった。
一度、理香子とその話で盛り上がったことがあり、わざとらしくならへんのよね、なんでやろなあ、とふたりで考えた結果、鈴子が一連のほめ言葉を本気で口に出しているからだろうという結論に至った。
たぶん鈴子は美しいものに対して敏感なのだ。
それが人間の長所であれ目の前の風景であれ、日頃は見過ごしてしまっている、世界の中に埋もれた小さな宝石を、そっと拾い上げて周囲に見せてくれる。 (194頁)

―鈴子さんのような人は、「こうありたい」という私の理想です。


一昨日、昨日とそれぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 瀧羽麻子 

この記事に対するコメント

こんばんは。

この連休中やっと暖かくなりはじめましたね。

お心遣いありがとうございます。
fallclover様もぜひ体調にはお気をつけくださいね。

鹿児島へ行かれたんですね。しかも車で・・・すごいですね!
旅館での披露宴も素敵そうです。

私も連休中、家族で奈良へ行ってきました。

話は変わりますが、今日紹介されいた本も面白そうですね。
なんとなくこの作家さん、気になります。
手に取るなら、『うさぎパン』からにしようかなと思ってます。
最近は購入量が多くて・・・それでもなんとか半分以上は読んでいるのですが、やはりなかなか過去のものまで減りません(苦笑)。お互い様ですね。

小市民シリーズも読んでみたいのですが積まれていまして、北村薫さんの『円紫と私』シリーズと『ベッキーさん』シリーズも読みたいのですがいまだに積まれています。いいかげんに読み始めたいなと思うこの頃です。

先日、リンク先にあるしまこゆず様のサイトで発見した『森崎書店の日々』、読んでみたら、好きな感じのお話でよかったです。
(ご本人様のサイトに書き込みもせずここに記載してよいものか迷ったのですが・・・部分的にも読書傾向が似ているみたいでお邪魔させてもらってます。)

話がそれてしまいました
今度本屋さんに行ったら、『うさぎパン』見て見ますね。
ではまた。

URL | かすみ草 #-
2011/05/06 23:05 * 編集 *

Re: タイトルなし

>かすみ草さん
コメントありがとうございます。

こんばんは♪
ですよね。大分あたたかくなってきたように思う今日この頃です。
今日などは、外を歩いていたら暑くなってきて、上着を脱いで七分袖ブラウスでした(笑)。

そうなのです、鹿児島へ行ってきたんです。
私も父に「ずっと車で行く」と言われた時には「えっ本気だろうか…」と疑問だったんですが(笑)、なんとか一日で到着しました。
結婚式も披露宴も、とても素敵でした♪

かすみ草さんも、奈良に行かれたのですね。
奈良はお隣の県ですが、去年以降行っていないですねそういえば…。私もずっと行きたいなと思っています。

はい、この『はれのち、ブーケ』も、素敵なお話でしたよ!
『うさぎパン』は、文庫化にあたって書き下ろしも収録されたみたいなので(今日本屋さんでちらりと確認してきました。)、またいずれ読んでみようかなと思っています。

そうですね…私もいつまでも積本が減らなくって…(笑)。
それでも読書はなさっているのですね!少しずつでも、読書できるってそれだけで幸せだなあと(いったん全く読めなくなってしまった時期を経た身としては特に)思います。

わあ、しまさんのブログにも行かれていたのですね!
素敵なブログですよね。ご本人も、コメントのやりとり等お付き合いするごとに素敵な方で、なんとなく、かすみ草さんとイメージが似ている気がします、言われてみれば(笑)。
また話題がありましたら、しまさんのブログの方にも、気軽にコメントか拍手メッセージ残されても良いと思います。きっととても喜ばれますよ(笑)。

はい、またいつでもいらしてください♪
かすみ草さんの方も、体調にはお気をつけて。

URL | fallclover #SvKcs0as
2011/05/07 19:04 * 編集 *

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