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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『秋期限定栗きんとん事件』上下 米澤 穂信 

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信

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秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
(2009/03/05)
米澤 穂信

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新聞部一年生の瓜野君は、学内新聞でも学外の話題を積極的に取り入れるべきだと主張するが、堂島部長の反論の前に敗北を繰り返していた。そんなある日彼は、木良市で頻発する小規模な放火事件にある共通項を見つけ、事件を追いかけていくことに。彼女の小佐内さんに、なんとかして良いところを見せたいがために…。
一方小鳩君の方は、突然告白してきた同級生の仲丸さんと、お付き合いを楽しむ日々。けれどもふと気がつけば、彼女そっちのけで謎ときに熱中してしまう毎日で。


以下、上下巻含めてのネタばれ感想です。ご注意ください。


前作『夏期限定トロピカルパフェ事件』の衝撃のラストを読んだ後だったので、どきどきしながらまずは上巻を読んでみました。
そうしたらまた良いところでお話が切れているので、さらに続きが気になって仕方がなくなり、下巻もほとんど一気に読み切ってしまいました…。
私は一気読みできたから良かったけれど、リアルタイムで読んでいたらさぞかしやきもきしただろうな。

ちらちらあらすじを読んでいてうっすら分かってはいましたが、小鳩君と小佐内さん、いつの間にかそれぞれ恋人ができていて、私的にはがーん…(笑)。
今回のお話は、これまでの小鳩君視点と並行して、小佐内さんの年下の彼の瓜野君視点からも進行していくのですが。この瓜野君が正直…好きになれなくって、上巻の最初の内は、読んでいてそこまで楽しくなかった(笑)。
小鳩君が放火事件(というか果てしなくあやしい小佐内さんの影)に本格的に関わりだしてきてからは、それはもう楽しくなりました。なので良いです。

瓜野君は、下巻になってもますます好きになれないキャラクターになっていきましたが…(部活の地味な作業を放棄するようになってしまったのは私的にはかなりアウトです。笑。)、そんな彼ですら、小佐内さんのあの「復讐」をまともにくらった後では…う、うーん、さすがにこれは気の毒だなあ。
お話の最後まで、結局全然フォローされていなかったけれど、彼、大丈夫なのかしら。

上下巻通しての謎は、割とあっさりしたものだったように思いますが(私でもシンプルに理解できましたから。笑。)、でもそこかしこにちらつく小佐内さんの影がやっぱり不穏で、もしかしたら犯人は彼女かもという疑惑が最後まで完全には消せなくて、それが一番どきどきしました。
でも、まあ多分ないだろうと思ってはいましたけどね。上巻の小鳩君の「小佐内さんのやり方じゃない」云々の断定が、すごく格好良かったから(笑)!
それにしても瓜野君は…つくづく気の毒だよね…(苦笑)。

もうすでにおわかりかもですが、私はこのシリーズ、小鳩君と小佐内さんのもどかしい関係と美味しそうなスイーツを主に愛でて読んでいるので、下巻の後半、ふたりがついに再会してふたたび行動を共にするようになってからの部分が、何より楽しかったです。
ふたりのやりとりがもう、頬がゆるんでくるような甘さとほどよい緊張感で満たされていて、読んでいておなかいっぱいです(笑)。ごちそうさまでした。


そうじゃない。必要なのは、「小市民」の着ぐるみじゃない。
たったひとり、わかってくれるひとがそばにいれば充分なのだ、と。 (212頁)


「瓜野君が『つきあってくれ』の一言で済ませたことを言うために、わたしたちはどれだけ言葉を積み重ねなきゃいけないの?」 (214頁)


「あのね。〈桜庵〉で、秋季限定の栗きんとんがはじまったの。でもあのお店、一人で行くとカウンターに通されるでしょう?わたし、ボックスでゆっくりしたいから…」
お前は数あわせだ、と言われてしまった。
まあ、それも小佐内さんらしい。 (221頁)


―まだあるけれど、とにかく本当にきゅんきゅんします…(笑)。
恋人同士と断定できるかどうかはまあ置いておいて、とにかくこのふたりは、これ以上ないほどのベストカップルであることは、確かでしょうね。いったん離れたことで、余計に実感しました。
(でも私個人的には会話の一部、仲の良い恋人同士にしか思えないんですけどね…。笑。)

そうそう、小鳩君の彼女として登場してきた仲丸さん、まあ彼女自身ひどい女の子だったので恨みっこなしなんですけれど、それにしても小鳩君は薄情な彼氏だったよ…。
最後に小佐内さんと桜庵へ行く際のなにげない彼の言葉、薄情すぎて吹き出してしまいました…。ひどっ。
仲丸さんとのデートでついつい謎ときに熱中してしまう小鳩君の姿は、読んでいて楽しかったです。
トマトの謎ときとか、本当にたわいないけれども面白い。
仕掛け時計の場面も笑ってしまいました…。

そしてラストで明かされた小佐内さんの復讐の動機は…まあ、彼女も女の子だったのねー。みたいな感じ?(笑)
それを明かす相手が小鳩君というのが、またにくいですね。この台詞の後のふたりがかなり気になります。
いや、それにしてもこの復讐は怖いですけどね…。本当にこの子は高校生なのかしら。

小佐内さんと一緒にいて、とんでもない会話を普通に楽しんでしまえる小鳩君は、やっぱりすごいです。
まあ、小鳩君もたいがい普通じゃないのかもしれませんが…。
実際、小鳩君視点から小佐内さんを読んでいると、小佐内さんの行動や思考もかなりソフトに軽いテンポで読めてしまうので、あんまり怖いとか思わないんですよね。

それにしても小佐内さん、その行動で恋人につくしていたんだ…(笑)。うわあ、全然分からなかったよ。

美味しいスイーツは、『夏期限定』のスイーツセレクションの充実具合には足りなくてちょっと残念でしたが、栗きんとんとマロングラッセのたとえにどきどきしたり、かなり楽しませてもらえたので良かったです。
上巻の小佐内さんのアイスクリームを食べつつの台詞、どこまで彼女の本心なんだろう…?
それにしても美味しいごまアイスクリーム、私も食べたいな。
いや、今の季節(5月)だと、美味しい栗きんとんの季節じゃないですからね(笑)。


なんだか、この下巻で完結だと言われても違和感ないくらいにすっきりまとまっているように思いますが…冬季限定も、出るんですよね、きっと。
楽しみに待っていたいと思います。


一昨日、昨日とそれぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

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