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『伯爵と妖精 情熱の花は秘せない』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 情熱の花は秘せない (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫 た 16-49)伯爵と妖精 情熱の花は秘せない (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫 た 16-49)
(2011/06/01)
谷 瑞恵

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伯爵と妖精』シリーズ第26作目。
プリンスの組織にとらわれてしまったリディアは身を守るために、エドガーの子どもを妊娠しているととっさに嘘をつく。彼女はプリンスの子の母親として一応あつかわれる身になったけれど、怪しんだテランが産婆を連れてきたりで気が休まらない。何より辛いのは、エドガーの気持ちを実感できないこと…。
そんななか、彼女を邪魔に思う面々の思惑のため、リディアに向けてさらに巧妙に罠が仕掛けられる。そして、エドガーはある行動に出ることに。


前回とても重たくて辛い思いをしたこのシリーズ、ついに新刊が出ましたね!
「情熱の花は秘(かく)せない」なんて、タイトルがいつになく思わせぶりで、発売前から内容を想像してどきどきしていました。

実際に入手して、一気に読み終えて。
…なんだか、いつになく優しくおだやかな気持ちになれました。
前半部分は『あなたへ導く海の鎖』に引き続きとても辛かったですが、なんだかそれももう、ふたりの想いの前には溶かされてしまったような。
和みシーンもちょっとレベルアップしていて印象深かったです(笑)。


という訳で、以下、私が思いのままに書きつづった語り的な感想です。
いつものように、ネタばれありです。長いです(笑)。
よろしければ、追記よりどうぞ。


登場人物紹介、今回もケリーがいないなー。残念です(笑)。(そんなに急には変わらないか…)
まあ今回は、ケリーのかわいいイラストが割とあったので、それで満足です。


さて前のお話の続きで、組織にとらわれの身になったリディア。
エドガーは、やっぱりリディアに愛情をおもてに出して接することはできなくて、目に見えないところで分かりにくい気配りをすることしかできなくて。それがリディアに伝わっていなくて彼女が悲しんでいるのが、やはり読んでいて辛かったです。
前の巻とは違って、読んでいる私はもうエドガーの本心は理解できていたので、まだましだったかもしれませんけどね…。

「今の彼が本当にリディアを見捨てたのだとしても、これまでに注がれた愛情だけでじゅうぶんだとさえリディアは思う。」 (17頁)
―リディアの健気さに泣きそうです…。

後、アーミンの存在が、リディアとエドガーのどちらにとっても、本当に心強かったです。
アーミンがエドガーを裏切ったようにみせて行動していた理由が、ここへきてようやくはっきり書かれていて、彼女はいつでも純粋にエドガーのしもべとして動いていたんだな、と改めて納得しました。
正直今まで疑ってたときも多かったので、一途な彼女にちょっと申し訳なくなりました…ごめんね。
リディアが、アーミンとエドガーの間の関係をようやく正確に理解できていたのも、良かったなと思いました。(実は婚約者同士になって以降も、私はこの辺のリディアの気持ちがいまいち納得できてなかったんです。笑)

アーミンだけでなく、ケリーもリディアの元へ自らやってきてくれて、これも心強かった!
ケリーもまた本当に主思いで勇気がある有能な侍女ですよね…。さすが、レイヴンに信頼されるだけのことはあります。

産婆さんのシーンは…なんとか無事に終わってくれて、良かったー(笑)。
それにしても、リディアは本当の本当に妊娠していない…んですよね?
確率はどんどん低くなってきましたが、それでも本当に決定的には書かれていない気がするのがちょっとね…。
リディアの無知にはさりげなく衝撃ですが(苦笑)、だからこそ、もしかして、とか思ってしまうのかもしれません。
前も書いたかもしれませんが、シリーズの今後、やっぱりいつかはそんな展開になるんじゃないかなあ、と思います。
うーん、気になるなあ…。

そうそう、キャスリーンが再びあらわれたときには、「また出てきたのか…」と正直げんなりしました(苦笑)。
本当に分かりやすい優越感にひたりつつリディアに嫉妬をするレディだなあこの娘は。
そんな彼女ですが、今回は結局、エドガーに抱いていた憧れのような恋心を、これ以上ないほどに徹底的にたたき壊されてしまって。
まあこうなってみると、彼女も気の毒かなあ…と思ってしまいました。

ユリシスに、「死ねと言われれば死ぬ覚悟がなければ殿下の王妃にはなれない」みたいに言われて、「そんなのリディアさんだって無理だわ!」と叫んでいたシーン、私は内心で「いや、リディアならそれも本気でする覚悟あるよ…」と思わず突っ込んでしまったんですが。
毒入りワインの件で、彼女自身も気づいたようですね。(このシーンのリディア、やっぱり本気で良い女だなあ。)
さらにえぐいシーンを見せられて、逃げるように組織をさっていったようですが…。そういえば今の彼女って、帰る場所あるのかしら。養父母の場所は居づらいみたいなこと読んだ覚えがありますが。グランディ卿との婚約もなしになったんでしょうし、今になってみればちょっと心配ではありますね。

前後しますが、晩餐会のシーンは、本当にリディアの気持ちが辛くてたまらなかった。
その後のエドガーの寝室でのシーンも辛かった…けれどリディアのぬくもりに癒されるエドガーは、読んでいてほっとしました。イラストのリディアが妙に色っぽいな(笑)。

それから舞台は娼館へと。
ネッドは、組織と付き合いがあるくらいなので、もっと裏の顔がある悪役だと思っていたんですが…案外そうでもなかったですね(笑)。リディアにあっさり救われてしまったので、ちょっと肩すかし。(いや、リディアが無事で心から良かったですけれど!そしてリディアのお人よしさとふところ深さにあらためて感激…。)
リディアへの想いを段々隠しきれなくなってきたエドガー、ついにリディアへの本心を吐露する言葉を口にして。
読んでいる私的には、ほっとしました…。エドガーの内面的にはますます辛くなったんでしょうけれど。

クローク少佐、というかゴールディン先生へのエドガーの復讐は…黒かったですね(笑)。
レイヴンの「エドガーさま、人でなしに磨きがかかりましたね」との台詞、うわっ身も蓋もない!と思いつつ、まったく本当にその通りです。
でもこんな突っ込み役…というか主思いの従者がそばにいてくれるだけで、プリンスではなく確かにエドガーだということが実感できて、やはりほっとできます。
それに、クローク少佐がこれまでにやってきたことを思えば…自業自得なんですよねきっと。

宝剣とニコと取り戻しにいくために、エドガーとリディアは、ふたり共に行動することに。
色々あってひさしぶりだからか、このふたりにしてはひかえ目…でもふたり寄り添っているだけで、嬉しいです。
そして、花の咲く島の、あばら家で。
読んでいて、本当におだやかで優しい気持ちになれるシーンでした…。
「ここにいるのは、あたしのエドガーよ」…このリディアの台詞で、エドガーは、どれだけ救われたことか(泣)。
エドガーが見ていた夢、少しでも早く正夢になってほしいものです。

ここのシーンで心溶かされてしまったおかげか(笑)、ムリアンの妻のお産を助けに行くラスト一連の冒険は、はらはらしつつもある程度安心して読んでいけました。
妖精の決まりごとってやっぱり良く分からない…(笑)、でも無事にお産がすんで、本当に良かったです。

プリンスが見るという予言者とその許嫁の夢、予言者を目覚めさせるためにエドガーを犠牲にしようとしているマッキール家、予言者の許嫁だというリディアの宿命、そしてまだふたりをつけねらってくるであろうプリンスの組織。
―ああ、不安要素ばっかり…(汗)。
それでもエドガーとリディアの魔力は、肝心のときには、お互いに鎮められて、沈黙していたようで。
スタールビーをサファイアに変えることができたリディアも、色々どういうことなのかはよく分かりませんが…プラスの展開に結びつくことを祈ります。

それにしても謎なのは、フランシスの思惑なんですよね…。
彼の目的って一体何なのかしら。ふたりをどこへ導こうとしているのか。
アーミンがしもべになっていたことを考えると、シリーズのかなり前の方から、フランシスの思惑が絡みつつすべての物事が進んできたということになる…んでしょうね。多分。
今回はフランシスの過去話も少し垣間見れて、切ない気分になったりしたのですが。
というか、ラストのあの行動は、一体何なのー!(笑)訳分からないです。まったく。


さてさて、主役以外の人に目を向けて。
今回本当に素敵だった、レイヴンとケリーのふたりの和みシーン(笑)。
194頁から数頁の、レイヴンとケリーの花をめぐるやりとりが、かなりきゅんきゅんきました。
今回のふたりは、ニコさんを介さなくてもふつうに仲良くやれているじゃないですか。…レイヴン、成長したなあ。しみじみ頬がゆるみました。
花を受け取って、守ると約束されたケリーも、これは嬉しいだろうなあと思います。
後そんなふたりをあたたかく見守っている、エドガーとアーミンも和みました。
アーミンも、弟の成長を感じることができて、嬉しかったんじゃないかと思います。
『女神に捧ぐ鎮魂歌』からアーミンとレイヴンの、めったにおもてにでなくても確かにある姉弟愛が好きなのです私。

あ、最初の方で、ケリーがリディアの元へ行くために準備しているときのやりとりもとても良いです。

「私は他人を理解したことがないのですけれど、あなたのことは、少しだけ理解できそうな気がしたんです。
侍女として、勇気と誇りを持っていて、ニコさんが好きだから」 (48頁)

―本当に、レイヴンに認められて、「何かあったら必ず助けに行きます」と約束されたならば、なんだってできますよね!
うーん、レイヴンとケリーは、ロマンスとか混じらなくても、理解して絆を深めあえる同士として、それで十分に素敵かなあという気がします。だってレイヴンですものね…。(いや、もちろんロマンスがあっても良いんですよ?笑)


後は、ちょっぴりしか出てこなくて残念でしたが、ポールとロタも。
ポール、いちおう考えたりはするんですね…(笑)。
このふたりも、上手くいくと良いなと思うのです。

ラストのアーミンとケルピーも、どうなるのかなあ。


さて、次回はとうとう、妖精国でしょうか。なかなかたどりつかずにもどかしいですが、ようやくでしょうか、ね。
やっぱりエドガーの夢とか色々不安いっぱいですが、ふたり一緒に、何だって乗り越えていってほしいなあ、と思います。心から。

フォックスグローブの花、ジギタリス…どこかで聞いたことはある花の名前です。
実物のお花畑を見てみたくなりました。


…今回も、こんな長々しい記事を最後まで読んでくださったあなたさま、お疲れさまです(笑)。本当にありがとうございました♪

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

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