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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『コメットさんにも華がある』川原 泉 

コメットさんにも華がある (ジェッツコミックス)コメットさんにも華がある (ジェッツコミックス)
(2011/06/28)
川原泉

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川原泉さんの久しぶりの新作。
全国でも指折りの超・進学校の彰英高校に通う高校生たちが繰り広げる、川原さん流の味付けがきいた、ほのぼの学園日常生活を描いた四つのお話。ほんのりラブコメ(笑)。


昔から大好きな川原泉さんの、久しぶりの新作です。
初期と比べると『ブレーメン』辺りから絵が変わってしまった作家さんで、どんな感じかなあ…とどきどきしつつも、購入して読んでみることに。

―結果。
これは、とっても楽しい少女漫画でした!どうして発売日直後に買ってなかったんだろう…?と後悔するくらいに(笑)。
確かに昔と比べて絵は変わっていますが(実はそのせいで、前作の『レナード現象には理由がある』が発売されたときはあまりきちんと読んでいなかったんですよね…。)、いったん慣れてしまうと、普通に読めました。
川原さんの漫画独特のユーモアやセンス、ヒロインやヒーローの性格や設定、そして蘊蓄…そういうものはしっかり健在で、読んでいる内に、懐かしくて嬉しくて、胸がいっぱいに。
時折挿入される、作者さんの語りというかつっこみもいちいち的確で、くすりと笑ってしまうものでした。このつっこみは昔より思いきりがよくなったような気も。

そうそう、昔と変わっていないなあと素直に思ったのは、登場人物たちがごはんを食べている場面。雰囲気や表情が、懐かしくてとても和みました。
私、川原さんの漫画のごはんのシーンがすごく好きなんですよね…。もぎゅもぎゅ(笑)。

加えて少女漫画の王道的な学園ラブコメ(…未満?)は、やっぱり楽しいのです!(笑)
特に一番最初のお話の楽しさといったら、読みながらおふとんをばしばしと…(笑)。川原さん流の味付けがまたたまりませんねえ。

登場人物の格好や制服の着こなしは、他の少女漫画のきらきらした絵に比べると地味でレトロなように思いましたが、作品の舞台設定が超がつく進学校だからなのか、読んでいて違和感など感じませんでした。私自身、ここには及びませんが一応進学校と呼ばれる学校に通っていたので、この雰囲気は懐かしい(笑)。
それに絵が変わったとはいえ、少し慣れてくると、この絵はこの絵で好きだなあと思えてきました。線がすっきりきれいになった分、女の子が美人になったと思います(笑)。
女の子たちの真面目っぽい髪型も私的には好みです。


以下、各話別に感想を語ってみます。


「その理屈には無理がある」
女子生徒の佐倉水樹さんは、身体測定で身長・体重が同じだったことがきっかけで、クラスメートの男子生徒・花村瑞紀君と友人になる。
ある日不慮の出来事で制服を水浸しにしてしまった佐倉さんは、やむを得ずの緊急措置として、花村君の制服を借りることに。
たまたまその姿の佐倉さんを、生徒会長の不破先輩が目撃して…。

この話、本当に楽しすぎるんですけれどどうしましょう(笑)!
男装の少女と、そうとは知らずに彼女と出会った少年のラブロマンス、王道の設定が川原さん独特のひなびたユーモアで料理されていて、とっても美味しい…。

花村君という人は男子生徒ながらに子リス系で、男の先輩たちにひそかに狙われていると評判なくらいにかわいい子。その評判だけを知っていた不破先輩が、そうと知らずに佐倉さんに出会って、話と違うなとは思いつつ「アヒル」系にかわいい佐倉さんにオタク趣味で懐かれて、知らずにうっかりときめいたり、やきもちを焼いて「自分はホモなのでは…」とこっそり悩んだり、読んでいてにまにまして仕方がなかったです(笑)。
―いや、ニセ花村くんは女の子ですから!ただの海産物問屋の娘ですから!(笑)
悩みつつも花村君の危機ときけばためらわずにすっとんでいく姿も良い人でしたし、正体がばれても「自分はホモじゃなかった」とひそかに安心している姿もかわいかったです…。ラストで、趣味のアイテムで佐倉さんを釣って、今後とも関係を持ち続けようとする彼もかわいかった(笑)。
ヒロインとヒーローの個性やレトロな絵の雰囲気から、これまた大好きな『ざ・ちぇんじ!』を思い浮かべるようなお話でした。


「その科白には嘘がある」
格安の家賃だけれど霊が出ると評判のアパートの部屋にすむ月島水音さんは、霊たちとそれなりにコミュニケーションをとりつつマイペースに生活をおくっていた。
ある日隣に越してきた、水音さんのクラスの代理の化学の先生になった神城理人さんの背後に水音さんは、まぶしいほどに格が高い守護霊を見る。
なのに当の本人の様子はどことなく沈みがちで、料理の失敗のがっくり具合に見ていられなくなった水音さんは、隣人のよしみで思わずさしいれを…。

まずは、実害もあるというのにマイペースに気にせず受け入れてしまい、マイペースに霊たちと仲良くしている水音さんが、読んでいて楽しくてなりませんでした。湿っぽいユキエさんともいつの間にか友情をはぐくんでいるし…(笑)。(ユキエさんと水音さんのお別れのシーンは結構ほろりときました。)
ヒーロー役の理人さんは、年上でそこはかとなく不幸で真面目で優秀な男性…うわあ、川原さん作品のヒーローの定番パターン!(←大好きなので嬉しい。笑)
マイペースに何の疑問ももたずに一緒に食卓を囲んでいる水音さんと理人さんの姿が、どきどき感は全くないけれども馴染んだ若夫婦のようで、読んでいて楽しくて仕方がないです(笑)。不思議だけれど、川原さん作品だと普通なんですよね…。
どこまでもタッパーひとつにこだわる水音さんも楽しいな…。一応ヒロインとして、気にするところはそこじゃないでしょ(笑)!
ペプチドの蘊蓄も、お話のほのぼの感にひと役買っていて、川原さん作品を読める喜びに胸がいっぱいになりました…。
ラストの会話もほんわか幸せ感いっぱい。


「グレシャムには罠がある」
両親が借金をこしらえて夜逃げし、アルバイトして切り詰めた生活をしている山吹みちるさんは、とにかく貧乏で、お金がなくて腹をすかせていた。
そんな彼女に声をかけてきたのが、有名大企業のオーナー会長の孫息子の陣内君。
みちるさんは彼にうさんくささを感じるが、高級弁当を差し出されてその誘惑にあらがえず…。

わあ、貧乏でかつかつの生活をしつつも、本人はさほど悲壮感なくそれなりに楽しく頑張って生きているヒロイン。川原さん作品の定番パターンのヒロイン!(←これも大好きなので嬉しい!笑)
経済関係の蘊蓄がたいそう充実していて、ためになりました。グレシャムの法則とかジニ係数とか…。なるほどこそういうものがあるのね…知りませんでした(笑)。
最初は優位な立場にたっていたはずが、みちるさんが病気をして、世話をしているうちにどちらがボスでどちらが部下だか分からないようになってきたのが面白かったです(笑)。
ラストのまろ君と参謀君、結構脱力…(苦笑)。
陣内君とみちるさん、せっかく出会えて仲良くなれたのだから、将来もずっと仲良くやっていけるといいね!


「コメットさんにも華がある」
高校生ながら若手俳優として活躍している彬良航君と、黒髪ストレートの無愛想な女の子(ゾンビ好き)の真島紗矢さんは、隣同士の席になる。ところがある日、紗矢さんの精いっぱいの愛想が、ふたりの関係をなぜか気まずいものにしてしまい…。

紗矢さんがなんというか、健気で良い子で好きです。
愛想よくふるまえないって、私もかつてそんな学生だったのでよく分かります。しんどいですよね…。ましてそれで不愉快なあだ名をつけられて無視された過去があるなんて。(紗矢さんほど徹底的ではなかったけれども、私も似たような状況になった過去がありました。今となっては思い出話ですが。笑)
どうしてゾンビ…と最初はちょっとひいてしまったのですが(笑)、なぜ彼女がゾンビ好きになったか理由を読むと、なんだか心あたたまる良いお話でした。
紗矢さんの精いっぱいの仲直りの努力も、頑張ったね。えらい!
彬良君も芸能人?にしては苦労性の真面目な良い子で、やっぱり好きです。
ラストも、あんまり華やかではないかもしれないけれど…うん、良かったね。
このコミックスの表紙の意味が分かりました、とりあえず(笑)。
紗矢さんの瞳の描かれ方も違いが感じられて良かったです。普通に瞳がキレイな子だなあ。


―なんだか予想以上に長々とした感想になってしまいました(笑)。
うーん、私の好みとしては、ラブコメ的には「その理屈には無理がある」がやはりとても楽しくて良かったです!
「その科白には嘘がある」もかなり好み。

実はこのコミックスがあまりに楽しくて、本棚から『レナード現象には理由がある』も引っ張り出してきて、再読したところだったりします(笑)。
『コメットさん』を読んだ後に読むと、自然にとても楽しく読めました。やっぱり名作だったんだなあ…。
登場人物のつながりがあったのも面白かったです。
こちらもまた、感想に書けたら良いなと思います♪

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カテゴリ: 漫画・白泉社

タグ: 川原泉 

この記事に対するコメント

川原泉さんですか、懐かしい・・!

fallcloverさんこんばんわ。
ちょっと、バタバタしているうちに、たくさんの記事がアップされていて、
今さらになってしまいましたが、コメントへの返信もありがとうございました!

川原泉さんの漫画、fallcloverさんもご愛読なんですねー。
私も学生のころ、この方の漫画が大好きでよく読んでました!
妙に印象に残っているのが、「バビロンまで何マイル?」という作品で、
たしか日本の高校生の男の子と女の子が、魔法?の指輪でルネッサンス時代のバチカンへタイムスリップして、チェーザレ・ボルジアとその妹のルクレツィアに係わっていく話しだったと思います。

川原さんの哲学的な思考と、癒し系・・といっていいのか、ほんわりした画風がなんとも上手くミックスされて、小難しいことをわかりやすく、面白く伝える技量に感動します。
他の作家さんが書いたら、長編連載になりそうなストーリーをすっきり短編にまとめてしまうところも好きでした!
長編で思いつくのは、「笑うミカエル」とか「メイプル戦記」くらいでしょうか・・?
私はしばらく川原さんの作品とご無沙汰しているので、最近のものはわからないのですが・・・
でも、今回ご紹介いただいたこの作品はぜひ読んでみたいと思います!

ご紹介ありがとうございました!

URL | かのん #-
2011/07/22 23:38 * 編集 *

Re: 川原泉さんですか、懐かしい・・!

>かのんさん
コメントありがとうございます。

いえいえ、そんなのお気づかいなく(笑)。
お時間に余裕のあるときにさらーっと読み流してくださるだけでも、私としては本当に嬉しいです♪
もちろんこうしてコメントいただけると、より嬉しくて舞い上がってしまいますが!(笑)
ヴィクロテの秋は、なんだか色々充実していそうで、今からそわそわですね…。

かのんさんも川原泉さんお好きなんですねー。ね、いいですよね!
私も学生のころ「森には真理が落ちている」をきっかけに出会ってすっかりはまりました(笑)。
『バビロンまで何マイル?』よく覚えています!
ルクレツィアさんとチェーザレ・ボルジアの兄妹は印象的でしたね…。
この話を読まなければ、チェーザレ・ボルジアのことなどずっと知らないままだったんじゃないかと…(笑)。
できればもっと色々な時代にタイムスリップするお話も読んでみたかったなと思ったりもしました♪

そうそう、川原さんの魅力はかのんさんのおっしゃる通りなんです!
確かに長編なら『笑う大天使』と『メイプル戦記』ですよね。といってもどちらも文庫で全2巻ですが…。
『メイプル戦記』の2巻目に同時収録されている「ヴァンデミエール―葡萄月の反動」がまた好きな読み切りだったりします(笑)。

今回紹介した『コメットさん』など最近の漫画も、予想以上にはまりました(笑)。
絵に最初はとまどわれるかもしれませんが、お話はしっかりカーラ教授ですので(笑)。楽しんで読めると良いですね♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2011/07/24 21:40 * 編集 *

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