Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『帝冠の恋』須賀 しのぶ 

帝冠の恋 (コバルト文庫)帝冠の恋 (コバルト文庫)
(2008/04/01)
須賀 しのぶ

商品詳細を見る



19世紀・ウィーン。
オーストリア帝国の大公のもとに、美しく聡明なバイエルンの王女・ゾフィーが嫁いできた。
野心あふれる彼女の前に現れたのは、ナポレオンの血をひく美しい青年フランツ。
帝国の古い体質や夫との不和に気が滅入りそうなときも、彼女にとってフランツは明るい太陽のような存在だった。
そんな二人の関係はいつしか、ある一線を越えて…。


19世紀前半のハプスブルク家が舞台の須賀しのぶさんの少女小説。
『ハプスブルクは婚礼の鐘をならす』を読んでちょうど関連の話が気になっていたところだったので、以前から気になっていたこの作品が目について、読んでみました。

須賀しのぶさんってコバルトの有名作家さんだと思いますが、なぜか私はこれまで機会がなく、作品を読むのははじめてでした。(あ、雑誌ではほんの少しだけ読んだ覚えがあるかな…。)
表紙イラストのイメージからなんとなくかなり昔の作品なのかなあ…と思っていましたが、実際に確認してみたら2008年、割と最近の作品でした(笑)。

『ハプスブルク~』とはまた全然違う雰囲気で、ストーリーもしっかりしていて政治面でも恋愛面でもとても読みごたえがあり、それでいて読みやすい文章で、ぐいぐいとひきこまれていきました。とっても良かったです!
最初から最後まで、ヒロインのゾフィーの頑張りが本当にすごくて読んでいて圧倒され、許されない恋の切なさと喜びにうっとりと酔いしれ…。
ヒロインとヒーローの関係で見ていると、榛名しおりさんの『マゼンタ色の黄昏』に似ているかなあと思いましたが、味わいはまた全然違いました。こういうロマンスも良いものですね。

ゾフィーはなかなかの歴史上有名人のようですが、私はかなり前にエリーザベトの漫画を一冊読んだことがあるきりで、ゾフィーがおっかないお姑さんだったということくらいしか覚えてませんでした(笑)。でも知らないなりにとても楽しめたのでよかったです。世界史の勉強にもなりました(笑)。

政略の嫁ぎ先で、ゾフィーは、最初弟のように思っていた少年フランツに惹かれていき恋を自覚してからも、恋ひとつには生きられなくて。国のため、大切なフランツのために持てる力を捧げつくして頑張り続ける彼女が、読んでいて惚れ惚れしました。輝いているなあ。
それでも女心は常に切なく揺れていて、嫉妬に焦がれたりすれ違う気持ちに悲しんだり、それがまた何とも言えずにぐっときました…。
最終的にこのふたりの関係はどこまで行きつくのか、はらはらして読んでいましたが…、うーん、そうきましたか。「僕はなにがあっても、ゾフィーから離れない」フランツの方の気持ちもまたたまらないです。
最後にふたりでシェーンブルン宮殿に行くことになったのは、私もゾフィーの決意に正直びっくりしましたが…せめてこのひとときでも共に過ごせて、良かったなあと思いました。

ふたりの恋は許されない恋で、そしてあまりに短く散ってしまいましたが…、それでも出会えてよかった、恋をして幸せだった、その気持ちはまぎれもなく確かで。苦しみだけでは決してなく、喜びに明るく輝いている心も確かに感じとれて、良かったです。
短い生を駆け去って行った、フランツの若くまぶしく華やいだ魅力、読み終えてもずっと、私の心の中にも深く残りました。

ゾフィーの夫のカール大公も、最初出てきたときは好きになれない人でしたが、読み進めていくごとに彼は彼で複雑な感情をかかえていたようで…。ゾフィーも気持ちを通じ合わすことができて、次第に分かりあえていけたのが、またとても良かったです。カール、ふところ深くていい人だなあ…。普通の人も辛いんですよね。
なんというか、10代のころに読んでいたらゾフィー達の関係はよく理解できなかったかもしれないけれど…今読んでいると、フランツとカール、ゾフィーのどちらへの気持ちも愛おしいです。

脇役キャラで一番好きだったのは、エステルハーツィ夫人でした。
ゾフィーが恋をなくした夜に彼女がはじめて見せた優しさに、私も最初かなり驚きましたが、思わず目頭があつくなりました…。女の友情って大切ですよね。ゾフィーの有能な味方として最後まで活躍してくれて、かなり心強かったです。彼女の過去の恋ってどんなものだったんだろう。
皇帝陛下もふところ深さが格好良かったし、アウグステお姉さまも好きでした。この夫婦、最初は年まわりがどうこう言っていた気がするけれど、お互いよき伴侶で理解者で、なんだか良いなあと思いました。
ナンディーヌも、ただの若く美しく無邪気な娘かと思えばそうでもなく、人格をていねいに描かれていたので次第にきちんと好きになれました。彼女の気持ちも切ないなあ…。フランツ、罪な人(苦笑)。涙をこぼす横顔の挿絵がとても美しいと思いました。
誠実で頭が切れるプロケシュは普通に好きでしたし(笑)、メッテルニヒも、なんだかんだで完全に憎み切れるキャラではなかったです。むしろマリー・ルイーゼさまよりかは好き(笑)。(←別にこの方も嫌いではないのですが。)

あれこれ読み直してみると、この作品、ゾフィーとフランツのロマンスというメイン部分以外にも読みどころがたくさんあって、魅力的なキャラクターたちのやりとりも色恋沙汰以外の部分もしっかりと書きこまれていて、そういうのがまた、読んでいて面白かったなあ。
もっと世界史に詳しければ色々と突っ込んだことが書けるんでしょうけれど、あいにくうろ覚えの知識以外何も分からないもので、下手なことは書けませんね…。(実際、ハプスブルク家関連で今とっさに思い浮かべられるのが、榛名しおりさんの小説のあれこれくらいしかないんですよね。苦笑)

終章のゾフィーとフランツ・ヨーゼフとシシィのあれこれは、なんともいえない不穏な予感。
それにしてもこうして読んでいると、姉のネネがかわいそうすぎる気が…。


世界史もののしっかりしたラブロマンス、すごく良かったです。
やっぱり歴史ものは、異世界ファンタジーとはまた別な楽しさがあるなあ。(私が高校時代から読んでいたのはほとんど日本史ものでしたが…。)
こういうジャンルの少女小説、もっと出てほしいなあ。と、私は勝手に思っています(笑)。


昨日記事に拍手下さった方、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 須賀しのぶ 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/913-d487bea4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)