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『無音の哀戀歌 ~さようなら、わたしの最愛~』御永 真幸 

無音の哀戀歌 ~さようなら、わたしの最愛~ (コバルト文庫)無音の哀戀歌 ~さようなら、わたしの最愛~ (コバルト文庫)
(2011/07/30)
御永 真幸

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革命前夜のフランス、パリ。
降りしきる雨のなか、自由奔放で美しい高級娼婦のジャンヌと身分をいつわった凛々しき死刑執行人・シャルルは出会った。
けして許されることのない恋に身をゆだねるふたりの未来にあるものは…?
シャルルとジャンヌの恋を描いた表題作の他、動乱のフランス革命期の熱い人間ドラマとひとりの青年の成長、そして一途な愛を描いた「嵐の狂想曲~暁を臨む天上の歌~」も収録。


コバルト文庫の新人さんの作品です。
ここのところ切ない世界史ものロマンスを読みたくてしかたがない気分だった私は、当然この本が目について気になっていたので(笑)、風都ノリさんの美しいイラストにもつられ、購入して読んでみることに。

タイトルがまず気に入りました。『無音の哀戀歌(セレナード) ~さようなら、わたしの最愛~』…漢字の一文字一文字凝っていて響きが美しくて、これはどういう意味なんだろう、と思わずお話の内容が気になってしまう。
表紙もじっくりと眺めていると、ため息がもれるほど美しいですね…。シャルルとジャンヌも非常に絵になるふたりですし(ジャンヌの表情が特に好き!)、色彩のずっしり重厚感もたまりません。

実際に読んでみて。
フランス革命の時代の、「パリの死刑執行人(ムッシュー・ド・パリ)」。
ヒーローのこの設定が、予想以上にずーんと重く苦しいもので…、びっくりしてしまいました。
何度も書いているように、世界史は恥ずかしいほど全然詳しくない私なので、例によって、当時のフランスにこのような人たちが存在していたこと自体、全然知りませんでした。
身分違いの恋といっても、低く見られるのは、こちらの方なのか…。そこからして誤解していました。
何も知らないながらも、歴史、物語の激しい流れに圧倒され…気がつけば一気に読んでしまいました。

前半の表題作はまだ悲恋ものの雰囲気が強かったですが、後半のお話となると、ロマンスというより死刑執行人の生き様に重点が置かれている雰囲気がぐっと強まって、そこが予想外にとても読みごたえがありました。テーマ的にあまり少女小説っぽくなかったですけれど(笑)。
私としては、前半のお話の方が好みだったのですが(ほら、もともと切ないロマンス読みたい目的でしたし。笑)、後半もなかなかのものでした。

各話、順番に簡単に。
(もしかしたらネタばれかもしれないので、一応未読の方はお気を付け下さいね。)

無音の哀戀歌 ~さようなら、わたしの最愛~
…という訳で、悲恋ものとはいえ、私の予想していたタイプのものではありませんでした。
死によって引き裂かれた訳でも分かりやすい権力によって引き裂かれた訳でもなく…、けれどもこの恋の結末は、また別な意味で強烈に切ない。苦い。
恋と立場のはざまでぎりぎりまで追い詰められたシャルルの苦しい感情に、私も息苦しくなってきました…。
湖へふたりお出かけするシーンとか、本当に幸せそうで楽しそうだったんですけどね…。本当、時をとめてしまいたいくらい。
ヴァイオリンを突然弾きだすシャルルが格好良いんですよねまた(笑)。ジャンヌが惹かれるのが良く分かります(笑)。
シャルルのストイックさは、なんだかんだでとても私好みでした。風都ノリさん風味の美貌もまたポイント(笑)。

歴史に詳しくない私は、当然最後までふたりの結末も推測できず、ラストではじめて「ええっ!」とびっくりしました。そういえばこの姓はなんとなく見覚えがありました…。
読み終えてからネットでさっと調べてみて、本当にこのふたりのそういったエピソードを見つけてまたびっくりしました。

嵐の狂想曲~暁を臨む天上の歌~
はじめのうちは、倉本由布さんのコバルト文庫『月の夜舟で』の後半の「夢の柩」の平重衡さまと千手みたいなふたりのお話かと思っていたんですが(たとえが日本史物…。)、それは早い段階であっさりひっくり返されました(笑)。
ええと、アンリ、気持ちはわかるんですが…、私はとにかく前半のヒーローのシャルルが好みだったので、その感情をひきずって、反発しつづけるアンリは、正直なかなか好感を持てないキャラでした(苦笑)。
父親がどんなに心を砕いているか、いい加減気づきなさいってね(笑)。
でもやはり、死刑執行人は本当に辛くて救われない職業で…。読んでいるだけで辛すぎるなあ。
フランス革命で処刑の嵐が吹き荒れる中、それでも人間として成長していくアンリ、それはなかなか良かったです。
同時にシャルルの方の変化も、心に残りました。
マリも良い娘さんですね。アンリがマリみたいな娘に出会えて、本当に良かったな。一番最初の、ひとり声をかける練習をしていたシーンが特に好きです。
マリのお父さまも良い人だったんですけどね…(涙)。
サン・ジュストはかなり危険な男っぽかったですが、最初から最後まで、妙に華のある男でした。上手く言えないのですが。
ダントンも、私がこれまで感じたことのない種類の独特の魅力をもった男でした。最後まで読むとかなり格好良く思えてくるんですよ、不思議!(笑)

作品中にさりげなく散りばめられたフランス語のルビや固有名詞等、独特の雰囲気がお話に合っていて良かったです。
「アデュー(さよなら)」…切ない響きだなあ…。


事前に思い描いていたのとはちょっと違う感じのお話でしたが(笑)、こういうお話も時には良いなあと思いました。
作者さん、次はどんなお話を描いてくださるのか、今から楽しみです。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 御永真幸 

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