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『六百頁のミステリー』幸村 アルト 

六百頁のミステリー (花とゆめCOMICS)六百頁のミステリー (花とゆめCOMICS)
(2011/08/19)
幸村アルト

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本がとにかく大好きで仕方がない女子高校生・浅見菜都。
町の図書館へ足しげく通う彼女は、利用者に慕われている一風変わった司書の水島先生と知り合いになる。
いつものように図書館へ行くと、ちょっとした事件が起こって…?
いくつかの物語になぞらえて進む浅見ちゃんと水島先生の仲の進展も楽しい、文学系ラブロマンス。


白泉社の新人さんのコミックス。最近フェアのようで、新人さんのコミックスがたくさん出ていて、毎月のように読んでますね…(笑)。私にしては珍しいです。
私はたまたま三省堂書店で手に取って、あらすじに惹かれたのと、限定ペーパーのイラストがちらりと見えてそれがかわいらしかったのとで、購入してみることにしました。

「ミステリー」とタイトルについていることもあり、私的には野村美月さんの『文学少女』シリーズっぽく文学作品になぞらえて謎を解いていく作品なのかなあ?と思っていたのですが、実際に読んでみるとそういう作品ではなかったです。
えっと、浅見ちゃんが水島先生に抱くイメージが、「六百頁のミステリー」ということなのかな。
読み始めは難解でなかなかつかめない、けれどもお話が進むうちに色々なことが分かってきて、そして分かってきたときには、目を離せなくなっている。

読んでいて、まず、絵がかわいらしいですね。
線が繊細で軽くて、ほわっとしてます。なんというか、童話のイメージ。砂糖菓子みたい。
作品のあちこちの頁に散りばめられている小さな星や花のモチーフが、メルヘンティックで特にかわいらしくて好きです(笑)。

一話一話、それぞれ題材になっている文学作品をからめた演出がしてある頁が挿入されているんですが(程度の差はありますが)、そこがなんとも魅力的でお気に入りです。
文学作品の内容が漫画のストーリーとほどよく調和していて、絵もかわいく描きこまれていて文学作品っぽい雰囲気も感じられて、特に私が大好きな『銀河鉄道の夜』の頁など、眺めていると、ほんのり、しあわせ。絵本を読んでいるみたいです。

お話の内容で、私がぐっときたのは、第一話の『銀河鉄道の夜』、水島先生が語る解釈。

僕はこの本を読むと 不思議な気持ちになります
旅の結末が悲しい別れだとしても 途中で見た景色とか
体験したできごとまで何もかもが 悲しいわけじゃないように思うんです
お別れまでの全ての時間の中には 楽しい思い出もあったんじゃないかなって
かなしい さみしい むなしい うまく言葉に表せないモヤモヤした気持ちを 何かやわらかい膜がつつんでくれる
銀河鉄道の夜を 僕はそう感じています  

『銀河鉄道の夜』は、中学のころにはじめて読んで以降お気に入りのお話ですが…、この解釈、いいですね。
浅見ちゃんが亡くなったお祖母さんのことで感じていたもやもやした気持ちが、すっと溶かされてあたたかな思い出になって、上手く言えないんですが(汗)。
私も祖母を中学生のころに亡くしてずっともやもやした気持ちを持っていたので、余計に強くひかれる場面だったのかもしれません。

後、読みどころとして面白かったのは、とにかく本好き女子高校生・浅見ちゃんの、日常ライフへの共感(笑)。
そうなんですよー、本をあまり読みすぎていると、かえって家族には変だと思われるんです(笑)。いつか床の底が抜けないか心配されるんです(笑)。
ま、私は読書スピードがそこまで早い方ではないので、浅見ちゃんのスピードにはびっくりなんですが。
そんな浅見ちゃんにひとつひとつ丁寧に答えてくれる水島先生の台詞もまたちょっと素敵です。
おじいちゃんになったときに、これまでの自分の蔵書をすべて読み返して、そのときどういう感想を持つか楽しみだから、僕は今本をたくさん読むし買うんです…みたいな台詞があって、なるほど、そういう考え方があったか!(笑)

個人的には…、ふたりのロマンス自体より、図書館につどうひとびと(浅見ちゃんも含む)のほのぼのあたたかな交流の方が、なんとも心地よくて好みでした。
うーん、確かに私が高校生のときに読んでいたとしたら、これくらい恋愛してくれてないと納得いかなかった気もするけれど、今の私には正直そこまで必然性を感じないと言うか…感性が老けちゃいました(苦笑)。
でも私も、浅見ちゃんと水島先生のふたりの間にいつも流れている、きらきらした心地よい空気はとても好きです♪なんとも微笑ましい。

後もひとつ個人的な感想で、学校の図書室の司書さんではなく、町の図書館の司書さんなら、「先生」という呼び方じゃなくてもよかったんじゃないかなー、と。
私の中ではずっとそれが微妙な違和感になっていて、ふたりのロマンスに入りきれなかった原因のひとつだったかも。
でも、作者さんはこの呼び方にもきちんと説明をつけていらっしゃるので…、やっぱり、感じ方の問題なんだろうな。
ま、私がそういう設定の少女漫画をたくさん読んでいて、頭の中に勝手なイメージを形成しちゃっているだけなのかもしれませんが(笑)。

そういう個人的な違和感?みたいなのを気にしなければ、かわいくて優しくてちょっとレトロ、童話風味の良い少女漫画でした。
はじめて読んだ時よりも、部分部分を読み返すごとに、良さがじわじわきたような…。
芥川龍之介の書簡とか、読みたくなりました(笑)。
作者さんが今後どんなお話を描かれるのか、楽しみです♪


一昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 漫画・白泉社

タグ: 幸村アルト 

この記事に対するコメント

はじめまして。先日はご訪問ありがとうございました^^
この漫画とても自分好みでほしくなりました。
最近なかなかじっくり本を読む機会がないので、このブログさんで少しでも本の情報を仕入れたいなあと思います。リンクさせていただきますね^^
また遊びに参ります!

URL | らびと #-
2011/09/01 11:34 * 編集 *

Re: タイトルなし

>らびとさん
コメントありがとうございます。

こちらこそ、はじめまして♪
訪問履歴をたどってきて下さったようで…手間をかけてくださって、どうもありがとうございます(笑)。
『六百頁のミステリー』、本好きの魂が熱くなる漫画でした(笑)。
他の方の評判も良いみたいですし、おすすめですよ!
後、リンクも貼っていただいて光栄です。どうもありがとうございます!
私の読書傾向は、ブログをちょっと読みこむと分かるかと思うんですが、かなり偏ってるので…あまり参考にはならないかもしれませんが、何かのお役に少しでも立てるなら幸いです(笑)。

はい、こんなブログでよろしければ、またいつでも遊びにいらしてくださいませ♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2011/09/02 09:58 * 編集 *

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