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『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と赤の王国』三川 みり 

シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と赤の王国 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と赤の王国 (角川ビーンズ文庫)
(2011/09/30)
三川 みり

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『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ第6作目。
新聖祭に向けて砂糖菓子作りに余念のない、銀砂糖師アンとペイジ工房の職人たち。
そんななか、ペイジ工房の優秀な職人が、美貌の妖精ラファルに襲われた。
シャルに異常な執着をしめす彼に人質にとられ、アンはシャルと共にさらわれることになってしまう。
囚われの身になりながらも、新聖祭のことが気が気でないアンだったけれど――。


『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ、引き続きペイジ工房編。
今回は「赤の王国」ということで。
「赤」ってこのシリーズのイメージじゃないんだよなあ…とずっと思っていたのですが(前作の「紫」以上に)、読み終えてみると、ああ、そういうことだったのね。
とても怖くて美しくて、けれど寂しいまぼろしの赤の王国だったな…。

相変わらず、読み終えると心の中に何か澄んだ美しいものがすーっと染み込んでくるような、不思議な読み心地のお話でした。
派手さはあんまりないけれど、淡々と静かな雰囲気、その中で静かに燃える皆のあつい想いが好きです。

どんな困難が降りかかってきても、ただひたすら最高の砂糖菓子を作りあげるために、すべてをささげて頑張る。
アンをはじめとするペイジ工房のメンバーたちのこの頑張りが、読んでいて本当に気持ち良かったです。
彼らの思いは真っすぐでぶれがなくて、私もみんなをひたすらに信じられたから、絶望的な状況におちいろうとも、どこか安心して読めたのでした。「彼らなら何とかしてくれる、何とかしてみせるんだ」みたいな(笑)。
それと同時に、アンも、シャルもミスリルももうすっかり、ペイジ工房の仲間の一人として、本当の意味で受け入れられていて。
職人さんたちがアンたちに寄せる信頼、そしてその身を気遣う思いの深さがそこかしこで垣間見ることができて、静かに胸がじんわりしました。

ちっぽけで非力な少女だけれどもひたすらに砂糖菓子作りに情熱を注ぐアンが、ブリジットやジョナスの思いも解きほぐし、彼らにとって大切な一歩を乗り越えさせたのが、良かったなあ。
今回のお話を読み終えてみると、ブリジットもジョナスも、好きになれました、私(笑)。
ブリジット、まさかそんなにはっきりと自分の意思を父親にしめすとは思わなかった…。でも彼女、潔くて格好良かったです。そして叶わぬ想いがちょっと切なかった…。いずれ素敵なひとと結ばれてほしいなと思います。
ジョナスも、色々ややこしい思いをすべて取り払ってみれば、やっぱり彼も、優秀な砂糖菓子職人なんですね。
今の彼ならば、私も素直に応援して読んでいけそうです。遠回りしたなあ。やれやれ…(苦笑)。

さらわれた先でも、妖精たちのために砂糖菓子を作り始めたアンの姿は、いかにも、らしいものだったな。
アンの真心に触れた妖精たちが、次第にアンを受け入れていく過程が、読んでいて良かったです。
ルスル…お久しぶりということになるのでしょうか。かわいらしい女の子キャラで和みました(笑)。
(あの、このシリーズの主要キャラクターって、アンとブリジット以外はほとんど男の人ですよね…。みんな魅力的で好きですが、私は女の子も大好きなのです!笑)

ラファルですけれど、最初は単純に怖くて得体のしれない嫌な悪役だ…と思っていたのですが、彼の空回りというか屈折した感情が透けて見えてくるにしたがって…、恐ろしいながらも、どこかさびしいものを感じてしまいました。
シャルへ向けられた執着の奥にあった真実も、大切なものをすでに見つけたシャルには受け入れられないものになっていて、ラファルにとってみたら、切ないな…。
それにしても崖から落ちたって…彼は本当に、ここで命を落としたのかな。どうもそうじゃない気がするのですが。だとしたら、今後アンとシャルにどういったかたちで関わってくるのか…。

アンとシャルのふたりは、お互いがお互いを心から気づかいそばにいる姿が、ただ愛しくて仕方がなかったです。
今回のふたりはずっとシリアスな場に身を置いていたので、彼らの絆の確かさにはとても安心できるものがありました。どんな状況におかれようとも、ひたすらアンのために心を砕いて彼女の身も守り抜くシャルが格好良くてときめきました(笑)。
ふたりの心の距離、せっかく近づいてきたのに、ラファルがよけいなこと吹き込むから…(苦笑)。
でもまあ、いつかは考えずにいられなくなる問題ではあるんですよね。私もずっと、気になってましたし。
確かにそれぞれが思っているように、同じ種族の相手と結ばれた方が、確実に幸せな一生をおくれるのでしょう。
でもそうしたら、今アンとシャルがお互いにいだいているこの愛しさは、どうにもならないものなの?読んでいて、こんなに心温まるふたりなのに。
「ずっと」のふたりの認識のずれも、愛しくて、切ない。

話が前後しますが、ペイジ工房のメンバーに加えて、キャット、キース、ジョナス…、思いがけないメンバーたちも登場してきて砂糖菓子作りに協力してくれて、色々なかけあいを見ることができて楽しかったです。
エリオットさん、ますます株があがっていきます…。ふだんのちゃらちゃらした雰囲気と、優秀な銀砂糖師としての姿勢のギャップがすごくいい(笑)。すでに長代理としての風格もしっかり感じられますし。キースにつかみかかっていったエリオットさんのシーンの挿絵、好きです。
キャットも格好よかったなあ。ベンジャミンの特技がようやく分かりました(笑)。
オーランドも、ブリジットとふたりの挿絵のシーンとか、よかったです。
キースも、非常事態にペイジ工房の職人たちと協力して作業をした過程で、どうやら一皮むけたようで。
職人さんたちだけでなく、裏方で職人さんたちを全力でサポートする人間や妖精たちの存在も、とても心強かったです。

そしてついに完成した銀砂糖菓子、文章を読んでいて、素敵、のひとこと。
できればあきさんの挿絵で、一部分でも拝んでみたかったです…(笑)。

ひとまずほっこりとした余韻で、今回のお話はおしまい。
……だと思っていたら、最後の最後にキースがびっくり発言!しかももう、頁残ってないじゃないですか!(笑)
とりあえず、続きがかなり気になります。アンは、シャルは、どういう道を選ぶのか。


そうそう、全員サービスの小冊子、忘れたころに(笑)しっかり届きました。
甘えん坊のお嬢さま・リズが、なんだかとても切なかったです…。


ここ数日の間にそれぞれの記事に拍手下さったたくさんの方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 三川みり 

この記事に対するコメント

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

 |  #
2011/10/14 17:55 * 編集 *

Re: タイトルなし

>コメントありがとうございます。

再びコメント下さって、ありがとうございます、嬉しいです♪

ですよねこのシリーズ、毎回シャルが格好良いですよねー!
強いし、美しいし、アンをはじめ内側に迎え入れた存在には、優しいですし。口はあまりよくないけど(笑)。
そして私もキャットさん好きです♪確かに今回は、ふたりのからみはあまりなかったですよね…。

アンを想うシャル、そしてシャルを想うアン、毎回きゅんきゅんします(笑)。
寄り添うふたりの姿は微笑ましくていとしくて、それだけに今後彼らの未来がどうなるか、心配になってしまいます…上手い具合にいくといいのですが。

確かにラファルは、何とも悲しいキャラでしたね。
今回でどうなったのか…いまいち謎なので、気がかりです。

URL | fallclover #SvKcs0as
2011/10/15 07:53 * 編集 *

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