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『聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 』青木 祐子 

聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)
(2011/11/01)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、26冊目。今回はシリーズ5作目の短編集。
ずっと見守っていた親友クリスが愛するシャーロックとようやく婚約し、自分自身も、新しい一歩を踏み出そうとするパメラ。
特別な想いをよせるふたりの男性の狭間で、パメラの心はゆれていた。
秘められた過去を持つパメラと結ばれるのは、イアン、それともアントニー……?(『聖者は薔薇を抱きしめて』)
パメラが主役の書き下ろしの他、さる令嬢に届く不思議な手紙のお話『十二夜の手紙』、イアンに想いを寄せる娘が…?『私の美しい人だから』、『薔薇色』をめぐる恋模様を描いた短編2話も収録。


連続刊行の最後は、パメラが主役のお話メインの短編集でした。
私は前半の短編2編は昔雑誌の方ですでに読んでいたので、最後のパメラのお話からさっそく読み始めることにしました。気になって気になってうずうずしていたのです…。まだ一カ月しかたっていないのにね。
毎月新刊が読めるという贅沢に慣れはじめてきているようで、ちょっと怖いかな(笑)。連続刊行は今月で終わりなのに…。そして次は本当の最終巻…。
このあたりは考え始めると今から寂しくてブルーになるので(笑)、とりあえずおいておいて。

パメラの物語、クリスより一歩先に、ひとまずまとまりましたね。
なんというか、パメラの物語としてこれ以上は考えられないほど、きれいにまとまった物語を読ませていただけました。
ああ、本当に良かった。何度も読み返してますが、ただもう胸がいっぱいです。
パメラも、イアン先生もアントニーも、クリスとシャーリーも、この物語の主要キャラクターの皆さんは、いつもただひたすらに愛しすぎます。皆大好きー!(涙)彼らの心の揺れ動きや決意に行動、読んでいてすべてが愛しくてなりませんでした。

お話としては、私が予想していなかった展開にもなったりして。
正直いまだにひきずってうるっときたりしている私ですが(笑)。だって、だってね…。

ツイッターや読書メーターで、こらえきれずにぽつぽつ書いたりしていたのですが、何を書いてもネタばれになりそうで、そのたびにストップをかけざるをえないのが、もどかしかったです(苦笑)。
ようやくこちらの方で、ネタばれ全開の感想を存分に書くことができました。
そんなわけで今回もまた、とっても長文です。
愛がありすぎて空回り気味で、自分でも読みにくい…。
そんなのでも良いよーと言ってくださる方は、追記よりどうぞ読んでくださいませ♪


表紙、今回はお出かけスタイル(?)にお洒落したパメラちゃん!微笑みがまぶしい!
ああ、やっぱりパメラは安定の美人さんですねえ。素晴らしい。
劇的な変化をとげた(笑)クリスとは違って、パメラはシリーズ初期から華のある美女でしたが、今読み返していると、彼女もまた、昔と比べると本当にきれいに魅力的になったよなあとしみじみします。
パメラのイメージにしては押さえられた色味がまたたまりません…。ぐっとしまりますねえ。
薔薇の花も美しいです。

さて感想の方は一応、収録順でいこうかと思います。


『十二夜の手紙』
このお話、本編との直接の結びつきが強いお話ではなかったですけど、好きだったんですよねー。もう文庫に収録されることはないのかも…とちょっとあきらめかけていたところだったので、今回無事に収録されて、本当に嬉しいです。ほっとしました。

このお話で印象に残っていたのは、なんといっても、ヒロインのヘンリエッタの男友達で彼女にひそかに想いを寄せている男性・オーブリーでした。
ヒロインの恋のお相手ではなく、あくまで「良いご友人」でしかなかった人だったのに(というか、彼自身があえてそうあらんとしていた)、誰より強烈に印象に刻みつけられていました。…いや、スティーヴンもヘンリエッタも好きなんですけれどね!エドワードは許すまじですが。
こんなに愛する人のためにつくしても…報われないのかあ。切ないなあ。(ため息)
ほんの少しの勇気とタイミングの差で、運命がこんなに違ってきてしまう、だなんて。
そして本当に、良い人すぎるんだよなあ。今回ばかりは私、シャーロックと同意見ですよ…。自分の胸にしまっておいても、誰も責めないでしょうに。オーブリー自身がこんなにいい人でヘンリエッタを愛しているんだから、ヘンリエッタだって幸せになれるに決まっているのに…。でも、それをしないのがオーブリーの愛で。不器用すぎるほどの誠実な愛情の示し方が、もう。
あきさんの挿絵のオーブリーが実に男前で素敵なので、また切なさをよけいにかきたてられるといいますか…。
ラストの彼に明るい笑顔があったので、救われました。ヘンリエッタのふんわりした美貌とも相まって、優しいラストでした。

このお話の中のクリスとシャーロックも、好きでした。
『大いなる賭け』のオークスの後だったので、あの「―ごめん」のシーンがね…。挿絵込みで好きです。
手紙だけでかなりのことを分析してしまえるシャーロックの有能っぷりに、手紙を出すことを気後れしてしまってるクリスが、切なかったです。

手紙をとっておかれるのが困るなら、受け取ったらすぐに焼き捨ててもいい―(そんなことができるのだろうか。きっと、焼くときに涙が出てしまうに違いない)。 (20頁)

―読んでいる私も泣けてきますよクリス…。

シャーロックの方は、手紙と同時に本人が『薔薇色』に来てしまったり、クリスからの手紙を実は待っていたり。クリスがいないとがっかりしたり。
今読むと、どちらも不器用なことしていたんだよなあ…。想い合っているのに、相手のことを思って遠慮してすれ違って。


『私の美しい人だから』
このシリーズとしてはとても珍しい、イアン先生視点からも物語が語られるお話でした。
このお話も文庫に収録されて、本当によかった!これはなんといってもパメラとイアン先生のお話ですから。

えーと、イアン先生、お願いですからもっとしゃきっとしてください…!と、読んでいて何度思ったことか(笑)。
いや、イアン先生なりのとびきりの誠実さはひしひし伝わってくるんですけどね。でもなあ…。
モリーンは、パメラの味方をして読んでいる私としては完全に味方できなかったお人でしたが、でも彼女の気持ちはとてもよく理解できて、いたるところで同情してしまいましたね…。そうそう、女心って複雑なんですよ、イアン先生。
ま、オチまで読んでしまうと、パメラとイアン先生、結局この姉妹に振り回されただけなのか…とも思わないでもなかったですが(笑)。特にチェルシーはねえ、なんといいますか(苦笑)。

そして、このお話だけ読んでいると、イアン先生よりも、シャーロックの方がはるかに格好良くしっかりして見えます!(笑)
私、このお話で何が一番印象的だったかといいますと、あれですよ。「釘を打つのがうまい貴族・シャーリー」(笑)。
イアン先生とシャーロックが『プリアモス』(なんだか懐かしい!)で会話しているシーンもお気に入りでした。
今回あとがきを読んで、なるほど、あそこでシャーリーはふっきれたのね…。

ラストで馬に話しかけているイアン先生とか、かわいそうすぎてなんだかいたたまれなかったですが…、パメラがきちんときてくれて、とても素敵な余韻が残る読み終わりで良かったです。
このシリーズとしては軽めのタッチで読むことができる短編でした。

以上の2編では、普通にドレス屋さんしているクリスとパメラのお話をまた楽しめたのも、良かったです。
ドレスの描写もていねいで素敵だなあ。やっぱり悩める令嬢の心に優しくよりそうクリスの真心、そして作られるドレスは、素晴らしすぎです。
挿絵もたくさんあって嬉しかったです。この頃のクリスとパメラもやっぱりかわいいー♪あとイアン先生もかわいい…(笑)。
そういえば、『十二夜の手紙』が収録されていた雑誌、表紙はこのシリーズのクリスとシャーロックでしたっけ。
私もすべてのCobaltをチェックしていた訳ではないのですが、私が知る限りでは、このシリーズ唯一の雑誌の表紙でした。
クリスの落ちついた緑色のドレスとみつあみと大人しいほほえみがかわいかったんですよね!


『聖者は薔薇を抱きしめて』
パメラの物語、ついに完結編。
私がこのシリーズで一番好きなキャラクターは、何度も書いているようにクリスなのですが、パメラも本当に本当に大好きなキャラクターです。
パメラあってのクリスで、『薔薇色』で。
クリスの幸せと同時に、彼女の幸せも心から!願っていたので、今回のお話を読むことができて、もう本当に幸せでした♪

本編『翡翠の森』ではさらりと流されたハクニール家での晩餐会から、物語ははじまって。
なんとなく、パメラもしくはコーネリア主役の番外編で読ませてもらえるんじゃないかなあ…と期待していたので、読むことができて嬉しかったです!
えーと、この本当に食べにくそうなメニューのオンパレードは、やっぱりわざと考えられていた、のでしょうか…?そんなことはハクニール家に限ってないと信じたいけれど、思わずそう疑ってしまうような食べにくさがひしひしと伝わってきましたよ(苦笑)。
そんな晩餐会でも、美味しい食べ物をそれなりに楽しんでいるっぽかったパメラが好きでした。
私も美味しいものを食べるのも作るのも大好きな人間なので、(料理だけなら)読んでいてうらやましくなってきました!
エクレアと戦っている(笑)パメラが格好良くって個人的に好きでしたー♪
しかしハクニール家の晩餐の席で供されるエクレア、どんなに洗練されていて美味しいことか…。(ごくり)

晩餐会…。悪意ある人の攻撃にははらはらでしたが、コーネリア、クレア、フローレンス…味方になってくれるひとはきちんといてくれて、ピンチのときにはさりげなく助けてくれて、それがもう本当にありがたくて良かったです。
母親に逆らうまではいかなくても自分の意思でパメラを助けてくれたクレア、好きでした。(お話の後の方でマテアスとも上手くいっているっぽいのが読みとれて、幸せそうで、嬉しくなりました!)

そして何より、晩餐会の最初から最後まで、クリスを完璧にサポートしていたシャーリーが、さりげなく格好良すぎてどうしようかと!(笑)まさに王子さまというかナイトというか。
付き合い始めのころから、「クリスを自分のパートナーにできるなら、何と言われようとかまわない、堂々と連れ歩くだろうに。誰にも文句は言わせない。大勢の前で、宝物のように扱ってやる」(←うろ覚え)とかシャーリーはもどかしく思っていた訳で。
当時の私は、そんな未来がくるなんてどうしても信じられなくて、ふたりの間の絶望的な身分差に、切なくてたまらなくなったのですが…、なんと、実現したのですねえ。ふたり、乗り越えて。
うーん、シャーリー、けして浮かれてるだけではなかったんだ(笑)。有言実行の男だったんだなあ。
愛する人を父に認めさせてパートナーにして、そのパートナーを守り通した彼に、拍手を送りたいです。
晩餐会でのクリスへのきめ細やかな気づかいとか、ダンスのリードとか、読んでいてときめいて仕方がありませんでした!
ひたすらシャーリーだけを見て彼に寄り添うクリスも素敵だったのよ…♪
ダンスを踊るクリスとシャーロック、挿絵で拝んでみたかったなあ…。みているだけで仲の良さが伝わってくる、それはそれは美しいカップルだったんでしょうねえ。せめてクリスのドレスはみたかった(笑)。

晩餐会の場面で私が思ったのは、少なくともシャーロックの両親であるアルフさんとソフィアさんは、ピンチのときには助けてくれる人を貴族の集まりの中でもきちんと作ることができたクリスとパメラの姿をみて、愛する人に優しく接して完璧に守り通すことができた息子の姿をみて、何か感じるものがあったんじゃないかなあ、と。
単に貴族社会以外のものさしをもたない公爵夫妻と思っていたころと違って、『石の王子と花姫の結婚』などを読んだ後では、余計に、そういうのもきちんとくみとってくれる人たちなんじゃないかと、期待してしまいます。

そしてお話は進んで行きます。
イアン先生とアントニーとの関係の決着でぐらぐらし、突然現れた父親はじめ親戚たちにも動揺するパメラ…。パメラもしんどいなあ色々と。
本編の方では自分自身のことで悩むパメラと言うのは滅多に出てこなかったので、よけいに悩む彼女の姿は読んでいてどうしたらいいのか私も分からず、ちょっと辛かったです。
イアン先生のアフリカ行きの話は私も前もって覚悟していたのですが、それに加えてまさか、パメラの出生がこんなにはっきりとしたかたちで明らかになるとは。
タイミングもちょっと微妙でしたし、手放しで幸運を喜べないパメラの姿がまたなんとも言えず…。

アントニーの告白の場面が、一番ぐっさりきたかもしれません。どうしようもなさすぎて、辛い…(涙)。
『花ひらく淑女』で南フランスへ出発するさいのアントニーのパメラへのあの態度、なんとなく印象に残っていたのですが、この場面を受けてのものだったのか…。

でも、それでも、イアン先生もアントニーも、本当にすばらしい男性なのでした。
一応恋敵なのに、愛するパメラのために何の違和感もなく協力し、パメラを身内と引きあわせたり何かと心を砕くふたりの、シャーロックとはまた違う種類の格好良さに、惚れ惚れし通しでした。
特にアントニーの報われない献身っぷりには泣かされます…。
アントニーとイアン先生がパメラをめぐって会話している場面、いくつかありましたが、読むたびに胸がじんとしました。パメラの幸せのために恋敵にこれでもかと塩をおくるアントニーの健気さにも、アントニーの過去の傷まで受け止めて彼をなぐさめるイアン先生の懐深さにも。
読んでいて本気でアントニーに同調して、まったく揺るがないイアン先生の頑固さにくーっとうなったり(笑)。
ええっ、例の懐中時計まであげちゃうなんて!どれだけ良い人なのよこの人…(涙)。

そしてそんなアントニーと、彼の主人・シャーリーの主従コンビのやりとりが、もう、楽しすぎましたよ(笑)。
パメラを傷つけてずーんと落ち込んでいる真っ最中に、幸せいっぱいの主人の婚約指輪のことを考えなければいけないなんて…、アントニーの肩をぽんとたたいてあげたい(苦笑)。
あきさんのおまけ漫画の例のシーン、本文で読んだだけでも好きでしたが、漫画がまた素敵すぎる!きゅんきゅんして頬が思いきり緩みました(笑)。
シャーリーは何だかんだ言いつつもアントニーのため、パメラのために最大限心を砕いて協力してくれているし、従僕の健康もきちんと(?)気遣っているし。
普段どれほどひどい扱いでも(笑)、アントニーがここまでの忠誠を誓うだけのものを、確かに持っている主人なんですよねえ、上手く言い表せないんですけれど!

アントニー視点から語られる、クリスとの恋愛スキャンダルを騒がれても、負けるどころか闘争心を燃やして仕事に励む、というシャーリーの姿勢も、すごく好きだなあと思いました。
彼のこのどこまでも前向きにまっすぐ健康的なところ、読んでいて本当、気持ち良いです。
クリスの存在さえあれば、100パーセント癒されて元気になれるんですね。ああ、愛しすぎるよこの人…(笑)。
186頁、アントニー、さすがの真理です(笑)。素晴らしい。

話が前後しますが、明らかになった(というかアントニー達が尽力して明らかにした)パメラの素性は、正直びっくりしました。私もパメラは孤児…というイメージをずっと持っていたので、まさか、ここまではっきりとした身内が出てくるなんて。確かに『聖者は薔薇にささやいて』でちらっと出てきた男の人、気になってはいたのですが。
なんというかこの辺りは、孤児だった少女が引き取り手や身内の人と出会って絆を育んでいく物語、私が昔好んで読んでいた、昔の英米児童文学少女小説の香りがしました。『赤毛のアン』とか『小公子』とか。

その身内の人たち、さいわいなことにどの人も良い人っぽくて、最初は拒絶してしまっていたパメラもついには受け入れられることができて、ほっとしました。
246頁の場面とか、読んでいる私も本気でじーんと胸があつくなりました…。(この場面でのハンカチをめぐるイアン先生とアントニーのそれぞれの気づかいの行動が、いかにもらしくて好きでした。)
そうはいっても実際に付き合っていくにはそれまでの環境とか障害になりそうだなとも思いましたが(特に仕立て屋の売り子を辞めさせたがっているリデライド夫人とか)、それでもガイはただ娘の幸せだけを願ってくれているみたいでしたし、母方の身内のジーナさんもパメラの本当の立場にたっての理解者になってくれそうでしたし、良かったな。うん。本当に良かったです。
特にガイとパメラのやりとりは、読み返すごとに心に染みいるようです。

「あたし―勇気がほしいのよ、おとうさん」
パメラは小さな声で、父親に本音を言った。
本当は、愛を信じたかった。ずっと、そう思ってきたのだ。 (277頁)

―うう、泣ける…。

ステファニー嬢とガイの過去のロマンスは、終わりは何とも切なく苦いものでしたが(特にパメラ視点で読んでいるので、ガイはやっぱり勝手だったよなあ、と…)、それでもロマンティックで幸せそうな部分もきちんとあって、思い出の中で語られるステファニーが美しくかがやいていて、好きでした。
パメラの両親がきちんと愛し合っていて結婚の約束もしていた、と言う事実は、やっぱりあたたかいものです。
パメラの年上好みはお母さまの血だったのですね…。それは予想外でしたが、読んでいるとなんだか納得でした。
本屋さんで働いていた娘だったというのも納得の事実。

ところでパメラの名字の「オースティン」が、まさか、ジェーン・オースティンだったとは!
実は2か月前くらいに『自負と偏見』を読んでいた私(記事はこちら)、我ながらタイミングのよさにびっくり仰天しました(笑)。
わあ、パメラもあのお話読んだんですねー。ですよね、面白くて夢中で読んでしまいますよね!
それにしても、パメラはともかくとして、シャーリーはどんな顔してあのラブコメ(と私は信じてます)を読んでいたのかしら…シャーリーに勝るとも劣らない尊大なヒーロー・ダーシー氏とか。想像すると笑っちゃいます。

パメラの親族のエピソードでは、ハクニール侯爵とミス・クリスティンのロマンスは有名ですから、とかいう話題が出てきて、でもそれが嫌な感じではなくなんだかふたりを応援しているみたいな感じで語られていたのが、ちょっと良かったなあと思ったりしました。
スキャンダルが噂になると言っても、こういう感じにとらえてくれる人達も、きちんといるんですねえ。

そしてパメラとイアン先生の、決着。
…うん、いかにもパメラらしい選択だったかな。心から実感しました。
自分からイアン先生に告白して、自分から「あなたと一緒に行きます」と言ったパメラ、最後まで本当に男前(笑)で、読んでいる私も泣きそうなほど素敵でした♪
ラスト付近になってようやく、ようやく!パメラの決意と想いをまるごと受け止めたイアン先生も、やっぱり最高に素敵でしたとも。
戦地に行くって多分とても危険なことでしょうしその点では不安ですけれど…、ふたりの仲はもうしっかり揺るぎないものになっていて、大丈夫でしょう、何があってもきっと。
ふたりとも、本当に本当に、おめでとうございます!!

しかし一方でパメラの決意は、クリスとの別離ということでもあって…。
…正直言って私は、これが一番ショックです(苦笑)。
パメラがクリスから離れるとはいっても、せいぜいイアン先生の家に引っ越して、通いで『薔薇色』で売り子を続けるということで、クリスと『薔薇色』とずっと関わり続けていることにはなるんだろうな、と、漠然とですがそう信じていたので。
まさか、シリーズの一番はじめからずっと一緒に何でもがんばって乗り越えてきたこの親友コンビが、遠いところに離れ離れになってしまうとは。
ううう、実はまだショックから完全には抜け出していません…。

それでもクリスとパメラは、離れていても友だち、ずっと友だち。
悩めるパメラに親友として優しく寄り添うクリス、233頁辺りから、そして253頁辺りからのこのふたりの場面が、このお話の中でもとりわけ大好きでした。
このふたりの友情は前々から大好きでしたが、今回のお話を読んで、また一層深く好きになりました。

「わたしはずっと、パメラを信じているわ」
「あたしの何を信じるの?」
「わたしの友だちは、パメラのなかにいる。どこにいても、離れても、パメラの心のまんなかにあるものが、ずっと何も変わらないって信じている」 (255頁)

シンプルで何の飾りもなく、けれどやわらかくて優しい。すーっと心の奥深くまで染みる台詞です…。
こんなに素敵な友情を見せつけられてしまえば、やっぱり受け入れないといけないですよね、私も(笑)。

それにしてもクリスとパメラのないしょ話の詳細がかなり気になって仕方がないのですが…(笑)。

読み終えて、『聖者は薔薇を抱きしめて』のタイトルの意味、改めて考えてみて。
パメラを抱きしめたのは、一番はじめの女の人の腕の記憶はおそらくステファニー、「マリア」でパメラをかわいがってくれたメアリさん、そしてパメラを「マリア」から救い出したクリスの細い腕。
そして今回、おとうさんに抱きしめられて、最後には、愛する人に抱きしめられて。
過去から未来に至るまで、パメラを取り巻く人々の、何と言ったらいいのかな、大きくてあたたかな愛情が幾重にもなって確かに感じられて、改めて、じーんとしたのでした。
ラスト一文の余韻まで、美しい、のひとことです。


そんな感じで、正直寂しいものも感じてしまったのですが(笑)、それでも確かな幸せの未来を信じることができる、素晴らしいお話でした。

(……やっと感想ひと段落したかな…やれやれ…笑)

 
『真夜中の恋文』
クリスの手紙、そうきましたか…!意外な切り返しでした(笑)。
意外とシャーリーと似た感じのことを書いていますが、クリスだと大笑い、ということにはならないんですよねえ。ひたすらかわいらしくてきゅんきゅんします。
愛の言葉をおねだりするクリスは、どうしてこんなにかわいいのでしょう!
それにしてもシャーリーはまた失言したんですね…。どうしようもない(苦笑)。
結局シャーリーは、前回の手紙を取り返す前にクリスに読まれてしまったみたいですが…(笑)、ま、シャーリーですから。
最後の方の文章が最高にかわいらしくて、和みました♪

あと、この手紙に印刷されているクリスの挿絵、これは『聖夜の迷宮』のときのものですよね。
ちょっとさびしげにほほ笑んでいる姿が、『花ひらく淑女』でシャーリーが持っていった、『聖夜の求婚』での写真のクリスの姿を連想させて、なんだかうるっときました。
そういえば今年ももうすぐクリスマス。
『聖夜の迷宮』の新刊をうるうるしながら読んでいたころから、二年が経ったのかあ。感慨深いものがあります…。

ついにシリーズ本編最終巻まであと1冊ということで、はじめにも書きましたが、今から寂しくて寂しくてたまらない私ですが。
パメラの物語をここまで素敵に書いてくださったのだから、クリスの物語の終わりにも、寂しいながらも期待感がぐっと増してきた感じです。きっとこの上なく素晴らしいラストが待ち受けているのでしょう♪
(そしてできれば、もう1冊くらい他のキャラクターのエピソードを描いた番外編が読みたいなあと思います。そしてあきさんのイラスト集などもできれば見てみたいです。…わがままなファンでごめんなさい。笑)


はい、今回もこんなところまでめげずに最後まで目を通してくださったあなたさま(笑)、本当にお疲れさまでした!ありがとうございました♪

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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