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『今朝の春―みをつくし料理帖』高田 郁 

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
(2010/09)
高田 郁

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『みをつくし料理帖』シリーズ第四弾。
月に三度の「三方よしの日」、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。
そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁づかいの指南役を任されることになるが……?(第一話『花嫁御寮』)
少しずつ明らかになっていくあさひ太夫こと野江の過去物語、おりょうの旦那伊佐三の浮気疑惑をめぐるひと騒動、登龍楼との料理の競い合いの行方、料理人としてますます研鑽をかさねる澪と「つる家」をめぐる人々の人情味あふれる日々を描いた一冊。


『みをつくし料理帖』シリーズ4冊目も読了。
というか、現時点で私、シリーズ最新刊まですべて読み切ってしまったところです(笑)。
人情味のあたたかさや澪の成長、次々にこしらえられる美味しそうなお料理は安定して楽しめますし、日常に交えてあっと驚くような展開も待ち受けていたりして、読んでいて心をとらえて離さないお話です。
特に最新刊は、読んでいてお話へののめり込み度がすごかった(笑)。
今回の『今朝の春』の中の季節はちょうど冬あたりで、十一月の今くらいに読んでいると、お料理のぬくもりがとても嬉しかったです。読んでいるこちらもほっこり幸せになれますよ(笑)。

この巻、読んでから少々間が空いてしまいましたが…、以下、章ごとに区切って感想を書いてみます。
ネタばれもあると思いますのでご注意を。

「花嫁御寮――ははきぎ飯」
恋する人と一緒になりたいために、世間知らずのお嬢さま育ちなりに一生懸命がんばる美緒さん、微笑ましかったです(笑)。
澪が美緒さんに、簡単なものから作らせて、お料理の楽しさを教えてあげる、というのが読んでいて好きでした。
そうそう、自分が手をかけて作ったお料理を人に食べてもらえるのって嬉しいものなんですよねえ。ごま塩だって自分なりにひたすら一生懸命作るんですから、嬉しいですよ。(それにしても、このごま塩は確かに使い勝手がよさそうだなあ…。)
その一方で、思いもかけなかったお人が澪の前に現れて。
ええっ、まさか小松原さまの母上さまだったとは…。このタイミングで小松原さまのご家族が出てくるとは、びっくり仰天でした。
なんというか、身分違いがこれ以上なくきっぱり明らかになってしまった一方、母上さまの凛としたお人柄がにじみ出てくるような読み心地だったなあ。
食べさせてあげたいひとのため、目に見えぬところで食べ物に手間ひまかけつづける澪の努力が、読んでいてじんときました。水の冷たさが染みる…。

ところで「ははきぎ」(ほうき草)って、「とんぶり」のことだったんですね、巻末のレシピによると。
「とんぶり」というのは、以前本で目にして興味を持った覚えがあったので。
日本全国各地の珍しい郷土料理、本や雑誌やパンフレットなど読むのが大好きなんです私(笑)。わくわくします。
とんぶりは、いつか食べてみたいものです。実現するかな…。

「友待つ雪――里の白雪」
あさひ太夫こと野江ちゃんの過去が、ついに語られて。あああ…。そういうことだったのね。
又次さんと野江ちゃんのふたりの関係というか絆も、気になります。
そして清右衛門さんのことを、少し見直してしまったお話でもありました。
里の白雪、なんて素敵なお料理なのでしょう…。野江を想ってこの料理をこしらえる澪の気持ちにひたすらぐっときました。あわ雪のような食感、匙ですくって。うーん美味しそう。
それにしてもラストの清右衛門さんが澪に示した道、私も思ってもみませんでした。急に言われると途方もない…。でも、できるのかもしれない。澪ならば。

「寒紅――ひょっとこ温寿司」
まさかの伊佐三さん浮気疑惑。
何か事情があるんだろうなと思ってはいたのですが、結局最後まで気が気でない展開でした…。伊佐三さん、本当に何にも言わないんですもの!(笑)最初は拍子抜けするほど明るくうけとめていたおりょうさんが、段々追い詰められていく姿が、読んでいて本当に痛々しくて。
ラストまで読んで…そういうことでしたか。事情が明かされてみればいかにも伊佐三さんらしいというか。
とにかく夫婦仲が無事におさまって、本当に良かったですー!(泣)太一ちゃんへのふたりの想いが本当に貴い。
夫婦仲を全員で心配して応援もおしまない「つる家」の皆の絆も良かったです。
ラストのお牧さん、一見落着した後では、切ないものがありましたが…。

冬至の日の献立が美味しそうでした。小豆粥に、ほくほく甘ーい南瓜の煮つけに、ごま油とかつおぶし風味の蒟蒻炒り煮…。ああ、たまりませんね!(笑)
私も正直、あたたかいお寿司って想像できないのですが、でも読んでいると興味がわいてきました。

「今朝の春――寒鰆の昆布締め」
料理の競い合いに小松原さまへのゆれる想い、澪にとって試練のお話だったように思いました。
りうさんやっぱり格好良いなあ。勝負事に対する澪へのアドバイスがすごく好きです。
勝負の結果それ自体よりも、澪の勝ちを信じていたばっかりに落胆する周りの人たちの姿の方が、印象に残りました。澪と彼女の料理へよせる皆の想いがぐっと温かくって。
これをも糧にして精進する澪を、心から応援していきたいなあと思った私でした。
それにしても指の怪我は痛かったなあ…。澪にとっての小松原さまの存在の大きさを、改めて見せつけられて。

うーん、私は個人的に、生の魚より加熱してある魚の方が好きなのですが(鰆は塩焼きが好きです)、ここまで皆をうならせるとは、澪の昆布締め、気になってくるじゃありませんか(笑)。
小松原さまとふたり食べる炒り大豆もほのぼの。


個人的には、源斉先生の出番がまたも少なかったのが、やや物足りなく残念な巻でもありましたが…(笑)、澪の作る美味しい料理にこちらまで幸せをもらえるのは相変わらず。良かったです。


昨日記事に拍手下さった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 高田郁 

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