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『心星ひとつ―みをつくし料理帖』高田 郁 

心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫)心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫)
(2011/08)
高田 郁

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『みをつくし料理帖』シリーズ、第六弾。
葉月のある午後、翁屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れ、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、と澪に声をかける。
一方で登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の店を居抜きで売るのでつる家として移ってこないか、との話が届いていた。
つる家の料理人として帰路に立たされた澪は、決断をせまられることに……。(『天つ瑞風』)
野江との再会、そして小松原との恋の行方。シリーズ史上もっとも大きな転機が、澪と「つる家」に訪れる。


ついに最新刊まで追いつきました、『みをつくし料理帖』シリーズ。
もう続きは今のところないのか…寂しいな(笑)。

この巻はとにかく、激動の巻、でした。澪にとって。
彼女の身に、本当に次から次へと、人生の究極の決断を迫られる事態が降りかかってきて、ひとり内に秘めて悩み苦しむ澪の姿に、読んでいる私もくーっとなって。
澪のことなど塵ほどにどうでもいい登龍楼の主人とかはともかくとして、澪の幸せを真剣に願っている周りの人たちも、どうしても自分自身寄りに彼女のことを考えちゃうから、人によって澪に願う道が違ってしまっていて。どの人のことも大切に思う澪は、よけいに悩むことになるんですよね…。皆、本当に泣けてくるほどいいひとなんだけどなあ…。うーん複雑。

特にお話の後半あたりからは、それまで以上に思ってもみなかった展開がどんどん進んでいくので、えええ、どうなるんだ澪…と気が気でなく、とにかく夢中で最後まで読み切ってしまいました。
読み終えて、ラストの澪の選びとったものその他いろいろに、しばし放心状態でした(笑)。
いやあ、すごいシリーズですねえ。澪たちの人間ドラマにこれほど心をつかまれるとは、読み始めたころは思いもしませんでした。

以下、章ごとに区切って感想を書いてみます。
ネタばれ注意でお願いしますね。

「青葉闇――しくじり生麩」
「しくじり」という章の名前のごとく、澪にとってひとつの挫折のお話だったかな。
澪の料理の成功に読んでいてすかっとする!というお話ではなかったけれど、それはまあ、澪だって成功ばっかりしているはずはないんですよねえ…。それにしても柳吾さんの辛辣な物言いにはぐさぐさきました(汗)。
坂村堂さんの生い立ちにはびっくりでしたが、彼の料理に向ける情熱を思うに、納得の事実かなあとも思ったり。この父と子の関係もちょっと読んでいてビターでした…。
佐兵衛さんのお話が思ってもみなかった所からでてきて、びっくりしたり。
最後までかなり厳しいな柳吾さん、とラストまで読んで思ったり。
源斉先生の語る恋のかたちのお話に、もしや、というものを感じたり…。

生麩は、法事の料理や旅行のご飯などで、私も実際に口に入れたことがあります。子どものころはいまいちぴんとこないお料理でしたが(笑)、あれ、美味しいですよね!
手間がかかってそうだなとは思っていましたが、やっぱり澪でも作るの難しい食べ物なんですね…(笑)。

「天つ瑞風――賄い三方よし」
澪に選択をせまる、伝右衛門と登龍楼。
からくりが明らかになってみれば…、なんて卑劣なんでしょう登龍楼のやり方は。
健坊に一応きちんとした奉公の待遇をしているようですし、見直しかけていたのですが、がくっとイメージダウンしました(笑)。
一方、澪を気に入ったと笑った伝右衛門さんは、割と好きになりました。
いや、このお話で一番格好良かったのは、なんといってもりうさんでしたけどね!りうさんがいなければ皆間違った選択をしていたかもしれないと思うと…。澪へのアドバイスが本当に良かったです。
そしてラスト間際の、今までになく確かな野江との再会のひととき。よかったねえ、澪と野江ちゃん…。

季節がまた進み、食材が再び秋のものに移ってきて、なすの甘味噌焼きも里芋も美味しそうですよ…。ごくり。
お豆腐のぶっかけ飯も美味しそう~!

「時ならぬ花――お手軽割籠」
火を使えない、寒くなってくる季節だとお料理屋としてはピンチですよね…。あたたかいものこそが何よりごちそう、って確かにありますもの。今のご時世、人ごとじゃないなあと感じました。
そして澪がおりょうさんの差し入れをヒントに思いついたお弁当作り、これもなんだか現代人の私にも馴染みやすい仕組みで、お客さんに次第に受け入れられていく様子を読むのは楽しかったです。お弁当箱のリサイクル、いいなあ。見習いたいですね(笑)。でもプラスチックの容器じゃ無理かなあ…。インスタントみそ汁もいいな(笑)。

一方、「つる家」に料理を習いたいとやってきた早帆さん。
ああ、食あたりが怖くてなにもかも加熱しすぎてしまうって、私もそうだったのでお気持ち分かります…(笑)。
早帆さんは凛として飾らない素敵な奥方様で、澪とのお料理教室、読んでいて楽しかったです。たくあんの切り方とか私も比べてみたいな。
そして、事態は急展開。
えええ、澪、どうするよ……(汗)。

野菜の天日干しって、私も最近興味があるんですよね。こうして読んでいると、やっぱり美味しそうだな(笑)。

「心星ひとつ――あたりおだまき」
なんというか、澪の小松原さまへの想いは、叶わないことが当たり前で、いざ添い遂げられると言われたところで困ってしまうしかないんだなあ…。うーん上手くいかないな(ため息)。
周囲の人にも翻弄され、本当に悩んで悩んでぐったりしている澪に対して小松原さまが全然出てこないので、正直いらいらしました(苦笑)。「小松原さま」のままでやってきた例の場面、私も彼に怒りを覚えました…(笑)。
まあ、小松原さまは小松原さまで考えているんでしょうけど、ね。あのプロポーズの場面はかなり幸せでしたけどね…。まさか澪の秘め恋が、こんなに幸せなかたちに実を結ぶとは。
あそこでうなずいた澪、私はちょっと意外だったんですけれど、彼女がそう決めたなら、その道で幸せになってほしいと思いました。
けれども澪の身は、そう決めたことで、よけいに苦しいものになっていって。違和感が大きくなっていって。
早帆さんも、本当に兄想いの優しい良い人なんですけどねえ…。育ちが違うことから生じるずれが、哀しかったです。
そしてラストのあの決意…。ああ、やっぱり。そう感じました。

「ふた月に一編かそこら、懐を気にしながらもここで旨い料理を口にすると、それだけで俺あ息がつけるんだ。
まだ大丈夫だ、生きていける、ってな。
大袈裟でもなんでもなく、本当にそう思うのさ」 (268頁)

ラスト、料理を美味しそうに食べて満ち足りるお客さん達の姿に涙する澪の気持ちが、読んでいて本当に、胸にせまってきたからなあ。

あと、源斉先生。源斉先生が切なくって、もう!
雨の日に傘を忘れていった場面とか、やっぱりそうだったのね…と思いましたよ。源斉先生好きなので、できればこんな切ない場面では思いたくなかったですが(笑)。
心星の場面とか、小松原さま以上に、源斉先生が格好良く見えたお話だった気が。

ぶっちゃけ私はシリーズの最初から、澪には源斉先生派なのですが…(小松原さまの大人の魅力?は、どうも私にはいまいちぴんとこないんですよね…。)、どうなるんでしょうねえ。
澪がこんな決意をしたからには、ますます先が見えなくなってきました(笑)。

結局は、澪に幸せになってほしい。それにつきるんですけど。

おだまき蒸し、私は作ったことないのですが、こうして読んでいると美味しそうです…。
ちょうどこの感想を書いている十一月の今、部屋の空気がどんどん冷えてきたので、よけいに蒸しもののあたたかな湯気が読んでいて心に染みいるかのようです。
(巻末のレシピがうどんから手作りで、ちょっとびっくりしました。笑)


さて、続きがいつ出るのか分かりませんが、これは今から気になって気になってしかたがありませんね!
個人的には源斉先生に、良い見せ場があるといいなあと願っています(笑)。
お料理もとても楽しみです♪

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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 高田郁 

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