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『コンビニたそがれ堂』村山 早紀 

コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

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駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。
大事な探し物がある人だけがたどり着けるという、その店のお客さんたちの、ときに切なくときに優しくあたたかい、宝物のような物語がつまった一冊。


村山早紀さんの『コンビニたそがれ堂』シリーズ、最近になって、一巻目と二巻目を読みました。
実を言うと、結構前からこの二冊は積本になっていたのですが…(汗)、『竜宮ホテル 迷い猫』の発売に『砂漠の歌姫』のラジオドラマ化など、最近村山さんの物語に触れて良さを再認識する機会が多くって、そうだこのシリーズもあった、良いタイミングだからこれも読んでみよう…と思いまして。

実際に読んでみると、短編形式のお話で、文章は優しい手触りでとても読みやすく、空き時間など利用してすらすらと読めてしまいました。
特に一冊目は薄手の本で、外へ持ちこんで読むのにも便利でありがたかったです。
ほっこり優しいきれいなイラストの表紙で、カバーをかけなくてもおしゃれに読めてしまうような、それも嬉しかったです(笑)。

文章もそうでしたがお話全体も、優しさでいっぱいの物語でした。
とは言ってもただふわふわ優しいだけのお話ではなくて。
人は誰でも、ときに辛く悲しい思いをかかえつつ生きているけれど、同時に周囲の人や自然から、優しさも確かにたくさんもらっているんだな、その優しいものを、ぎゅっと抽出して美しい物語にまとめあげたものを読ませてもらっているような。
あとがき、解説まで読んで、上手く言いあらわせないんですが、そんな気分になりました。

それでは簡単に各話の感想を。
「コンビニたそがれ堂」
おお、雄太君格好良い男の子だなあ…。そしてとても優しい子。
美音ちゃんとの仲も、微笑ましく読みました。パソコンが普通にファンタジーの一部として出てくるところが、いかにも村山先生のお話らしいな、と思いました。

「手をつないで」
えりかちゃんの健気さに胸が痛みつつ。母親の理不尽さに耐えるって子どもには辛いですよね…。
お人形さんと女の子の絆に、私も小さいころを懐かしく思い出してしまいました。
なんてことないリカちゃん人形でも、大切な大切な宝物だったよ。

「桜の声」
桜、私も大好きです。桜子さんという名前からとても好きでした。
上にもちらっと書きましたが、ちょうど村山先生の『砂漠の歌姫』のラジオドラマをきいていたところだったので、お話の素材にラジオが出てきて、なんだか嬉しくなりました(笑)。
実際は普通の女の人で普通に思い悩むこともある桜子さんですが、彼女の声をきく人の評価が、時を飛び越えてもみんなとても素敵で、桜子さんに同調して読んでいる私まで嬉しくなっちゃいました。

「あんず」
これは何気なしに読んでいて、思わずうるっときました…。
お兄ちゃんとあんず、お互いにぬくもりを分かち合ってきた関係が、読んでいてとても良かった。それだけにあんずの運命は、切なかったけれど(涙)、同時にこの上なく優しくあたたかい気分になれました。
あんずが人の姿になって、小さなきょうだいからからかわれたりもして、もしかしたら、淡い想いも混じってきたような…微妙なところがちょっとたまらなかったです(笑)。
アラビアンジャスミンとお兄ちゃんが語る星のお話も美しくて、ロマンティックな雰囲気にひと役買っていたような。
ラストでコンビニを訪れたお兄ちゃんの場面も、切なくなりましたが、あんずへの思いの深さを感じて胸がきゅっとしました。

「あるテレビの物語」
なんてことない短いお話といえばそうなんですけれど、やっぱりとても心あたたまりました。
きれいな花やかわいい動物だけでなく、珍しくもない電化製品にまで愛情を注ぐ作者さんのお話が、やっぱり好き。

どのお話にも出てきた「コンビニたそがれ堂」も、いいお店ですねえ。
おでん食べたいです…(笑)。おなかも心も芯からほこほこしてきそうで、十二月の寒ーいこの季節には本当、読んでいてうらやましい。
お稲荷さんも食べたいなあ。

あとがきと解説も、充実していて良かったです。これはぜひ、本編と一緒に読んでいただきたいな。
人と自然との関係への思いが、読んでいて新鮮でした。
あと、『ささやかな魔法の物語 カフェかもめ亭』のハードカバー版の作者さんのあとがきが、個人的にやっぱりとても好きです。


この本の中で私が一番好きだったのは「あんず」、二番目は「桜の声」でした。
村山早紀さんのお話に出会った十代前半のころの私が読んでいたら、多分他のお話を好きになっていたと思うけれど(笑)。
大人の方にもおすすめ、現代の優しいメルヘンでした。

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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