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『コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状』村山 早紀 

コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

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『コンビニたそがれ堂』シリーズ第2弾。
大事な探し物がある人だけがたどり着けるという、不思議なコンビニ「たそがれ堂」。
ミステリアスな店長が笑顔で迎える今回のお客さまは、大好きな友だちに会いたいと願う10歳のさゆき、あるきっかけからひきこもりになってしまった17歳の真衣、学生時代の恋をふと思い出した薫子……そこで彼女たちが見つけるものが、物語をあたたかくつむぎだしていきます。
優しくて美しい物語、今回は4編収録。


前の記事(→こちら)に続いて、『コンビニたそがれ堂』シリーズの続きの作品の感想です。
前の巻とは完全に独立しているので、特に順番に読まなくても大丈夫かと。
あと、前の記事に書き忘れましたが、一冊の中のひとつひとつの物語も完全に独立しているので、好きな順番で読んでも大丈夫。
実際私も、最初から順番通りに読んでなかったです(笑)。
今回のお話は、そのときどきの気分で、二番目→(ちょっと間があいて)→三番目→四番目→一番目といった風に読み進めていきました。

読書メーターの皆さまの感想をちらちら読んでいて確かに…と思ったのですが、シリーズ一作目と比べてお話の内容が深くなっていて、より大人向けのお話になったかなあ、と読んでいて感じました。
少し怖かったりほろ苦かったり、優しさだけではない要素も、ときに混ざってきて。
それでも物語全体を包み込むものの手触りは、やっぱりとてもとても優しくて。

なかでも三番目と四番目のお話は、読んでいて、涙があふれてきてとまりませんでした。ほのぼの優しい物語で最後まで進んで行くのかと思っていたら…油断しました(笑)。
途中まで、電車の中で読んでいたので、ちょっと困ってしまいましたよ(笑)。

それでは、各話ごとに感想を。
もしかするとネタばれかもしれないので(特に「魔法の振り子」)、一応ご注意ください。

「雪うさぎの旅」
このお話は、後の三編に比べると、前作の『コンビニたそがれ堂』に収録されていたお話の方に雰囲気が似ていたかな。小学生の子が主人公の、優しくてかわいくてちょっぴり切ないメルヘンでした。
雪だるまの兄弟と雪うさぎが、風早の街の大切なお友だち・さゆきちゃんのところに会いに行こう!ということになって、本当に旅をすることに。はじめはほのぼの微笑ましく読んでいましたが、雪だるまと雪うさぎのさだめ、あたたかくなれば溶けてしまう…。その様子が切なくて、でもお互いをさゆきちゃんを思いやる、雪だるまと雪うさぎたちの姿は、読んでいる私の方がとても心あたたまりました。
春の景色を美しいと感じ、旅してきてよかったと思う雪だるまや雪うさぎが、なんだか愛おしくてなりませんでした。
さゆきちゃん、雪のお友だちのことも心の中でずっと大切にしつつ、新しいお友だちもできてママとも上手くいくようになったみたいで、ああ、良かったなあ。

あとはこの話、さゆきちゃんがコンビニでいあわせた、ご両親にアラスカの鮭を送るのだというくまの紳士が、読んでいて妙に印象深くて気に入りました(笑)。
舶来品にあこがれるご両親、地元でとれる新鮮なものの方が美味しいにきまってるのにしょうがないなーと思いつつ、希望の品をちゃんとプレゼントする息子さん、本当に自然体で人間臭くって、微笑ましいよ。

「人魚姫」
ひきこもりになってしまって抜け出せずに苦しむ真衣ちゃんの気持ち、かつての私自身とも重ね合わせられる部分が多くて、読んでいて何とも言えない気分になりました。
いとこの秋姫ちゃんのお話も出てきて、物語はちょっとあやしく不思議の世界に入っていって…、それでも少女ふたりの絆はゆるぎなくて、ラストまで読んで、ほっとしました。秋姫ちゃん確かに悪趣味…でもそんな秋姫ちゃんで、良かった(涙)。
私、ゲームのことはほとんど分からないんですが、地震が起こった瞬間にネット上で人とのやりとりが飛び交い、地域が同じ人同士だと特に共有意識みたいなものが生まれる?のは、ツイッターで今年ずっと体験していることなので、なんというか、そういうものかと思いました。
それにしてもたそがれ堂のハロウィンスイーツ・栗かぼちゃのモンブランは美味しそうですねえ…ごくり。

「魔法の振り子」
ヒロインの薫子さんが作家さんだったり、素敵なホテルが出てきたり、『竜宮ホテル』をちょっと思い出すようなお話でした。
村山早紀さんのお話でロマンスってそういえばほとんど読んだことがないんだよなあ…と思いつつ、薫子さんの初々しい恋の思い出エピソードを読み始めていって。
……ラスト近くになって薫くんの行方があきらかになって、その前後あたりからもう、読んでいて涙がとまらなくてどうしようもなかったです…。クリスマスのホテルの晩餐の場面とか、ロマンティックで素敵だったけれど、悲しくて切なくって、頁を直視できませんでした(苦笑)。
でも、薫子さんの語る学生時代のふたり、さんにんの仲良しなエピソードは、本当に好きでした。
薫くん、本当にいいひとだなあ…。でも薫くんが薫子さんに惹かれた気持ちもまたよく分かりましたよ。

焼きそばパンと、犬のアニーの思い出のあたりのエピソードが、特に好き。
「明日も焼きそばパンを君に捧げよう。俺に誓約をかけてくれ、古の聖なる乙女のように。うるわしのアニー……じゃない薫子さん」―177頁の薫くんのこの台詞にかなりときめきました!
こんな台詞をケルトの騎士のような瞳で言われたら、薫子さんじゃなくても恋に落ちちゃいますよ(笑)。

「ねここや、ねここ」
タイトルから、ちっちゃい子と猫が繰り広げるかわいらしいお話かと思って読みはじめてみると…びっくり、時代ものでした(笑)。といっても架空の時代ものでしたが。
それでも奇跡の国の平和な日々の物語は、なんともほんわか幸せだったのですが。やはりそれは永遠には続かず。
大好きだった皆を殺され、相手を憎み、妖怪になったねここ。
かたき討ちに成功したねここだったけれど、妖怪になった身では、もう平和な一家の飼い猫ではいられない。
その辺りの苦さが、これまでの優しいお話のイメージの中でちょっと異色で、ちょっとぞくっとしました。
それでも、ねここはやっぱり、ねここのままで。風早の街の平和な家族として生まれ変わった、昔からずーっと大好きだった人たちを、かげからひっそり見守りつづけるのでした。
その姿や一途な想いと祈り、姉弟の昔の記憶のかけら、そういうものがすべてあわさって、もう切なくて切なくて愛おしくて、読んでいてこれまた涙があふれてとまりませんでした。
それでもラスト、たそがれ堂の店長さんと語らうねここ、優しくてほっこりして良かったな(笑)。店長さん、人間のお客さんにみせるのとはまた違う姿で。
少女の姿のねここ、イメージが凛とすずやかな美少女で素敵なんですねえ…。浴衣の柄も素敵。
姉上さまと若さまとねここの幸せだったころのエピソードとか、ちょっと読んでみたかったかな。


二巻目の中で私が一番好きだったのは、「魔法の振り子」でしょうか。切ないけれど、本当にきれいで素敵なロマンスでした。
一巻目も二巻目も、なんでいままで積本にしていたんだろう…と読んでいて真剣に後悔してしまいました。本当にいい本を読ませていただきました。
シリーズはあと一冊出ているようなので、近いうちにぜひ読みたいと思います♪

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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