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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

拍手メッセージ返信・5月 

この記事は、5月3日にいただいた拍手メッセージへの返信記事です。
追記以下からどうぞよろしくお願いします。


拍手のみぱちぱちくださった皆皆さまも、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: 拍手メッセージ返信

『調香師レオナール・ヴェイユの香彩ノート』小瀬木 麻美 




調香師レオナール・ヴェイユは、若くして世界的大ヒットとなる香水を開発した天才的調香師。
その後は依頼者だけのための香を開発する、謎の多いプライベート調香師になっているという。
月見里(やまなし)瑞希は病床の母の願いのため、彼に依頼状を出すことに。
長野のアトリエへ導かれた瑞希は、浮世離れした美貌の青年レオナールと共に、亡き父が遺した絵画の謎とそこに込められた美しい愛情を解き明かしてゆく——。


パステルカラーの美しい表紙イラストが目にとまり、あらすじにも心惹かれ、手に取った一冊。
小瀬木麻美さんは、そうか、以前読んだ『デアラピス』の作家さんでしたか。

世界や時間をまたいでつむがれる、香水や薔薇や絵画はじめ芸術品、それらに込められた人々の愛情をたどりゆく物語。
描かれているモチーフがどれも美しくて品があってロマンティックで、読んでいてうっとりと雰囲気に浸れる物語でした。
とくに品種も様々の薔薇をはじめとしたいくつもの花々。むせかえるような薔薇の色や香りの描写や、どこまでも深く豊かに広がるイメージに、読んでいて圧倒されました。
読んでいると私の心までもが美しく豊かなもので満たされてゆくような。
なんというか基本上流階級の世界の物語で、せっぱつまったせかせかしている感じがなく、安心して美しい物語の世界に身をゆだねられる、というのが、良かった。海外の人が多いからか、良い意味で日本の常識にあまり囚われていない人が多いからか。読んでいて嫌な感じは全然しない。
あと作中に出てくる食べ物が何だかどれもとっても美味しそう!(重要)美味しいものは身体を整え心を豊かにしますよね。

謎めいた調香師の青年・レオナールの所作を、ヒロインの瑞希と共にどきどきしながら辿ってゆくのも、楽しかったです。
物腰柔らかな完璧な紳士で美しく賢くお金持ちで、スイーツに目がなかったり時々子供みたいな面も持っているレオ。
瑞希に対してはいつだって優しくて(多分他の人に対してはもっとクールなのだろうと思われる)、さりげないアプローチをかけているレオの態度に、ときめいて仕方がなかったです。
彼の香を色ととらえる感覚はなかなか複雑だけれど、その説明の描写も美しい花や香りの描写と連続しているような、読んでいて意味が完全に分かっているかどうかは置いておいて、ロマンティックで素敵だな。
レオの絵に瑞希がつかの間トリップしたことでふたりが絵の世界を共有したあの場面が美しくて良いです。あの少女の正体はいかに。
瑞希のレオと対になる能力といい、運命的な二人。
瑞希さん、彼女の苗字の月見里(やまなし)という珍しい響きにひかれました。

なんといってもふたりが瑞希の母の依頼で瑞希の亡き父の絵画の謎をたどってゆく前半パート『ローズ』が、とても好みでした。
若かりし日の景子さんと瑞穂さんがイタリアや日本で周囲の人たちにいかに慕われていたか、瑞穂さんが景子さんのことをどれだけ愛し真摯に将来を思っていたか、レオと瑞希が絵のモチーフを解き明かしてゆくごとに、そういうのがするするほどけるように分かってきて、読んでいてなんだか胸があつくなり震えました。
紅茶の薔薇なんてあるのですねえ。素敵。
景子さんに瑞穂さんの愛がきちんと届けられて、本当に良かったです。
景子さんという女性の凛とした生き様、母として瑞希を養い愛情深く育て上げてきた生き様にも、心惹かれました。まさに薔薇のイメージです。
祖父母との和解も嬉しかったです。指輪にじんわりときました。
最初に出てきた長野のオーベルジュの裕奈さんと春人さんの夫婦、それぞれが良い方でレオともよき関係を築き上げていて、好感が持てました。プロバンス風のコースがどれも素材の良さと裕奈さんの料理の腕の良さが伝わってきて、ああ、うらやましい、私も一度でいいからこんなに素敵なお料理をいただいてみたい。
鎌倉のお菓子屋さんの桜ゼリーも、なんだかこの物語の雰囲気にぴったりで、素敵です。おいしそう。レオの衝動買いにはびっくり(笑)。
南さんもすごくいいひとだな~。あまり突っ込んで書かれてはいないけれど母娘とあたたかなよき時間を共有してきたのだろうな、と思わせる雰囲気が確かにあって。
電話をめぐる瑞希とレオのちょっとした駆け引き?と恋心にきゅんときました。

後半パートの『ジャスミン』は、舞台を瑞希の留学先・ミラノにうつしてはじまりました。
「リナシェンテ」という百貨店の名前の響きがまず美しくてうっとり。
あまりにも分かりやすくレオが瑞希を追っかけてくるので笑っちゃいました。にこにこさりげないけれど何気に強引なレオのアプローチがときめきます。それでいて瑞希が引け目を感じない際もちゃんと考えているあたりが策士。
瑞希の下宿先の家庭料理もおいしそう……。そしてレオと瑞希がランチしたビストロのムース・オー・ショコラに心惹かれて仕方がありません。確かに、これだけのためにフランスに行きたくなっちゃう(笑)。
ジャスミン、茉莉花という漢字で書き表すと中学生の頃知ってから、ずっと好きでした。ストレートにジャスミンがモチーフになった恋と家族のエピソードになっていてこれまた好みでした。エジプトの歴史や伝承を紐解いてゆくのもなかなかなくて興味深い。
彰君、日本の男子高校生とは思えない世慣れた感じの子だなあ……。ここでもスイーツのおいしそうなこと。
大野夫妻の恋の始まりのエピソードがロマンティックで素敵だなと思ったし、色々あっても周囲の人たちの介入を経てあのレオの香でおさまった感じ。良かったです。百合さんの香がアクセントというのが良い。
大学の先生が出てくるからなのか、森晶麿さんの『黒猫シリーズ』と似たような雰囲気があるなあ、とちょっと重ね合わせてみたり。(香水も美学講義の対象になりそうですし。あとヒロインの瑞希さんと付き人がなんかイメージ的に似ている。個性的なヒーローに寄り添いほんのり色づかせる透明感がある芯の強い女性というか。)

香水は恥ずかしながらこの歳になってもまるで未知のものなのですが、こんなにじっくり時間をかけて香りを味わってゆくものなのかと、感心してしまいました。
レオの仕事が流石、すごいな。と何もひねりのない感想しか出てこないのがあれですが。

レオの家族のこと、そしてレオと瑞希の関係の進展など、気になることも多く、続編がまたいつか読めたら、嬉しいな。
上品で芸術肌の正統派少女小説という風情のお話で、お花や香水やじれったいロマンスなどがお好きな方、おすすめです♪


昨日記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 小瀬木麻美 

『身代わり伯爵と終幕の続き』清家 未森 




『身代わり伯爵』シリーズ完結後の短編集。
大公夫婦の第三子誕生の一幕の表題作の他、シアランの変人女官たちと若手騎士たちの集団見合い話、第五師団長ジャックのようやくの(笑)ロマンス話、そしてリヒャルトとフレッドの出会い話も収録、充実の一冊。


待望の『身代わり伯爵』シリーズの短編集!!
待ってました、いつか読めると信じていました。本当の本当にうれしいです。
それにしても、シリーズ完結巻の自分の感想を今読み返してみたのですが、発売が2015年秋だったとは。ちょっと愕然。
時が経つのは早いものです……。
今回の短編集の最後の『終幕の続き』を読んでいると、完結巻のその直前のエピソードを読んでいたのがほんとうにもうつい昨日のことだったような気さえして、自分がどんなにこのシリーズに心かたむけミレーユとリヒャルトのふたりとその周囲の皆を愛しているのか、しみじみ実感してしまいました。

今回の短編集は主に「シアラン編」とのこと。リヒャルトとフレッドの出会い編以外、舞台はシアランがメイン。
時間軸はミレーユとリヒャルトが結婚してから、もしくはその直前あたりがメイン。
ずっと気になっていたあのひとやあのひとのエピソードが読めてたいへん満足。
私のひそかなお気に入りキャラ・アンジェリカの出番が多めでほくほくしました(笑)。
なによりどのお話を読んでいても、ミレーユとリヒャルトが仲睦まじく幸せそうで、周囲の人々もドタバタ走り回りつつも平和で幸せそうで、読んでいる私も自然とニコニコ幸せになってくる。最高に素敵な短編集でした。
表紙の皆の勢ぞろいイラストを、最後まで読んだ後に改めて眺めていると、また感慨深いものがあります。


ではでは各話ネタばれ込みの感想を~。


『身代わり伯爵と深い森の追憶』
国を追われてアルテマリスにやってきたばかりの少年時代のリヒャルト、そしてリヒャルトとフレッドの出会い、ふたりが親友同士という関係に至るまでのエピソード。
そういえばこの時期のリヒャルト、フレッドたちのお話ってこれまで読んだことがなかったですね。気が付かなかった。
つんつん刺々しい雰囲気をまとっているリヒャルトが新鮮でした。しかしこの年齢でこんなにシビアな境遇に置かれては無理もない……。読んでいて痛々しくなりました。
リヒャルトの過去の通り名(?)「ブリギッタの野獣」でしたっけ、あの由来にようやく納得。壮絶……。
我が道を行く天真爛漫なフレッドは相変わらずで、でもそんなフレッドも複雑な境遇で生きてきていて、そんなフレッドとリヒャルトが、出会ってここで友情を結ぶことができて、良かったな。としみじみ思いました。
でなければリヒャルトとミレーユの出会いもありえなかったわけで。
あとエド様のリヒャルトへの真面目な心遣いが読んでいてしみいりました。
ジュリア様と子どもたちへの愛が行き過ぎてて変な方向に行っちゃう以外は、エド様って立場も宮廷の常識もすごくわきまえていて身分にふさわしい教養も備わっていて、その上で人に対して優しくあれる、素敵な王弟殿下だったのだなあ。と改めて実感しました。
ひょうひょうとしたおじいちゃんラドフォード卿も懐かしい。
時間が現在に戻り、神官長に大人げなくやきもちやいてるリヒャルトがおかしくてみんなが幸せでほっこりしました。

『身代わり伯爵と兄妹喧嘩』
ルドウィックとロジオンとアンジェリカ、「若君第一!」の忠誠心と有能さ以外は性格も特技も趣味もてんでばらばらソラリーヤ三兄妹、なんかこのバラバラ加減がいつも面白すぎて大好きです(笑)。
正直ミレーユを軽んじているルドウィックは読んでいて若干いらっときますが、そんな発言があるたび、アンジェリカが口で負けじと兄の弱点をぐさぐさついていくし、ロジオンもなんか物理的に怖いし(笑)、ミレーユ大好きな下のふたりがすかさず戦ってくれるので、嬉しいことです。
確かにこの三兄妹が、まだ生まれてもいないお世継ぎの世話役をめぐって延々とケンカしている光景が、まさにシアランの平和の象徴ですよねえ。読んでいて和みました。

『身代わり伯爵ともうひとつの手記』
ロジオン……もう何も言うまい。日誌を読み動揺しまくっているリヒャルトがまたおかしかった。
それにしてもロジオンとアンジェリカの「連絡日誌」をリヒャルトが日々確認しているとは、なんか本当にこの人たち色々面白いな。うん。(いや、ちゃんとした理由があることも分かりますけれど。)

『令嬢たちのお見合い大作戦』
ドタバタコメディ。
ミレーユの友人兼女官見習い娘達の個性的、風変わりな部分がそれはもういかんなく発揮されていて、みんな生き生きキラキラしてましたよ!(笑)
そして確かにアレックス達が言っていた通り、彼女たちの個性を良いと言ってくれる人と結ばれるのが、やっぱりいちばんだよな~。うんうん。そういう風に彼女たちを評価してくれている騎士たちもちゃんといるのだという事実も、やはり嬉しかった。
ラウール先輩とオルテンシア嬢とか、たしかにちょっとお似合いな気がする……。どうでしょう。
そしてルドウィックとシーカ様のあれこれは、なかなか読み応えありました。確かにこの二人、そういう理屈を当てはめてみると、かなりお似合いだな。ルドウィックの良いところって確かに妻が家庭に大人しくこもってなくても絶対文句言わないところだよな、納得。最終的にはうまくまとまったようで良かったよかった。
それにしてもロジオンとアンジェリカの兄妹はいつかちゃんと結婚相手を見つけられるのかしら……。
私的にはアンジェリカのお相手は、今シアランにいるひとではないと思っているので(笑)、ああーすごく気掛かり。

『身代わり伯爵と忘れじの恋の約束』
ついに来ました、ジャック団長の甘酸っぱい恋のエピソード(笑)。
完結巻のイゼルスの爆弾発言に思いっきり動揺させられたものですが(汗)、こういう事情だったのですね。許嫁に逃げられたというのも、こういうことか。これは確かに本人たちのせいではないよな……。
ルナリアの健気で一途な恋心に涙が出てきました。仕方がないとは思うものの気づかないジャックがもどかしすぎました!!
今回もイゼルスがどこまでもいい仕事をしている。イゼルス自身にいつかいいお相手は現れるのか……。未だにイゼルスにお似合いのお相手の女性を少しも上手く想像できない。
そしてラストの大公夫妻の会話がとても幸せで和みました。二人すっかり夫婦の距離感。

『身代わり伯爵と終幕の続き』
表題作、完結巻の最終章の続きのエピソード。
扉絵のミレーユの明るくつつみこむような笑顔がすっかり母親のものになっていて、子どもたちもお母さん大好きー!!なのがよく伝わってきて、すごくすごくステキ。
リヒトとルクスとリヒャルトの微笑ましい会話に和み、その後のミレーユとリヒャルトのやりとりがとてもこの二人らしくて、やはりほっこり心が温かくなりました。
ミレーユのことを心配しすぎなリヒャルトと、そんなリヒャルトのことをちゃんとわかっていて彼のことを気遣うミレーユの二人の姿に、なんてお似合いの夫婦なんだろう、と上手く言えないのですがもうたまらない気持ちになりました。
リヒャルトには、もう絶対に、ミレーユがいないと、駄目ですね。ミレーユの明るい笑顔と持ち前の元気さ、優しさ、包容力が、普段どんなに大公リヒャルトを支えているのか、こんなみじかいエピソードひとつでとてもよく伝わってきます。
この巻の最初の少年時代のリヒャルトの孤独と絶望、暗い気持ちを思うと、なおさら今の幸せに、こみあげてくるものがあります。
リヒャルトの唐突な愛の告白にもときめきました(笑)。相変わらず人前でも自重していないみたいですね。

とてもとても満足な短編集でした。
シアラン編ということで、もし叶うのならば、次はアルテマリス編の短編集も、読みたいな。切実に。
フレッドとセシリア様の件がまずあるし、アンジェリカのこともあるし、ヴィルフリート様のことも気になるし。えーと、あとは誰だ。ロジオンの結婚もできれば見届けたい(笑)。


ここ二三日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 清家未森 

4月の読書メーターまとめ 

5月ですね。まさに初夏のはじまりにふさわしい一日だった気がします。
緑とつつじの花が日の光にまぶしい。

さて月初めなので先月分の読書メーターまとめを追記より。

ブログに書いていない作品で特に良かったもの
小説   『長崎・オランダ坂の洋館カフェ』『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』
まんが  『海街diary』

江本マシメサさんの『長崎・オランダ坂の洋館カフェ』はWeb版をすでに読んでいたのですが、加筆部分がよく効いていて一層物語を楽しく読めました。
げみさんの表紙イラストの主役二人の距離感にときめいて仕方ないです。
じれじれ良質のときめきと美味しいお菓子のオンパレード。おすすめです。長崎に行きたい。
ぐるんぐるん自分のできなさ加減に嫌気がさしているところには『東京すみっこごはん』の家庭料理と現代風の人情譚がほこほこ染み入りました。
あと春になると梨木果歩さんの物語を何か読みたくなる。新学期でざわざわした心が読んでいるとすっと整う気がします。
まんがはとにかく『海街diary』が最高だったなあ。何度も読み返してはじわじわきています。
佳乃さんの隣に坂下課長がたたずんでいるのがもうすっかり馴染んでいて眺めていると安心できるのがうれしい。やっぱりこのカップルをいちばん応援してしまいます(笑)。
色々な作家さんのおやつエッセイ『3時のおやつ ふたたび』もとても楽しめました。ほこほこ幸せな読書のひととき。

4月はなんだか正統派少女小説的ときめきを十二分に楽しめる小説をたくさん読めて幸せでした(笑)。
『傍観者の恋』に『京都寺町三条のホームズ』に『オランダ坂の洋館カフェ』に。
『身代わり伯爵』の新刊もすごく良かったですよ♪

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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~ 2』青木 祐子 




天天コーポレーション本社経理部の森若沙名子さん、多くの領収書を処理する彼女には、社内の色々な人間関係が見えてくる。
必要以上のことは期待せず、されず、精神的にも経済的にも「イーブン」でいることを大切にする沙名子は、他人の面倒ごとには関わりたくないのだけれど、ときには巻き込まれることも。
有能な経理女子の目線から見るお仕事小説第二弾。


『これは経費で落ちません!』の続編が出ました~!
最近の青木先生の作品の中ではいちばんのお気に入りだったので、とても嬉しいです。

実際に読んでみても、二巻目も期待を裏切らない面白さ。
いやあもう、森若さんがとにかく格好良いです。惚れ惚れ。
いかなるときでも冷静沈着有能、自分のポリシーを崩さない森若さんが今回も健在。彼女の仕事ぶりや冷静な人間観察、内心での突っ込みなどなど、読んでいて小気味よい。たのしい!
別に正しさや正義を振りかざしているわけではなく自分にとっての「イーブン」を保ちたいという彼女のスタイルが読んでいてリアルに共感できる。
なんだかんだいって沙名子さん、結局お人好しですし。だからこそ内心色々悩んでいるわけで。

マニキュアや香水をたしなんでいたりお洒落には気を使っていたり、女性らしい部分もしっかり持っていて時と場所を踏まえてちゃんと楽しんでいるのも、優秀さの一部という感じでますます惚れ込んでしまいます。
好きなものは好きだとはっきり自分を持っていて躊躇いなく楽しめる姿勢が憧れなんだな~。
自分の食事のサイクルも基本的にきっちり管理していてちょっとやそっとでは崩したくない森若さんのスタイルもいい。私もここまで徹底できたら理想だな(笑)。
でも私が何よりわかるわかる!と思ったのは、お弁当のおかずにブロッコリーと人参のグラッセを作ろうとして、考えすぎて、結局ほうれん草とコーンの和え物を作ってしまった、という下り(笑)。そのメニューの具体的なチョイスが分かりすぎてもう。

彼女の優秀さには程遠い私ではあるけれど、職場のあれこれ、わかるわかる~と何度も頷き笑ってしまいました。
女性の集団の訳の分からなさ。ほんとうに。
ちょうど電車の中で読んでいた時、遠からずなことでへこんでいたので、森若さんが陥った事態にものすごく共感してちょっと笑って心がだいぶ軽く楽になりました。感謝です。
結局きれいに白黒ついて解決したわけではなく、それでもいつの間にか改善されている、なんとなくもやっとしたものが残るこの加減が絶妙にリアルで、わかるわかる!(笑)

織子さんや山崎さんの件は、ああ~そういう人もいるんだな、みたいな感じで読みました。
山崎さんてっきり美月さんに気があるのかと思っていたら全然違った。というか太陽にちょっと意地悪かなとも思っていたけれどやっぱり違ってた。
織子さんはその後沙名子さんを微妙な立場から救おうともしてくれたわけで、悪い人じゃなく。というかそんな完全な悪人はこのお話には出てこないですね。皆癖があるし欠点もあるし時に気の迷いも起こしたり色々あるけれど、結局のところは普通のいいひと。そこは安心して読めるかな。

いちばん読み応えがあったのが経理部の同僚・勇太郎さんと友人のお話。
しかしいちばん重たい話でもありました。これだけはうやむやではすまされない。
辛いな……うーん。
というか勇太郎さんと沙名子さんの同類同士の信頼関係、お互いの仕事のやり方やひととなりはもう知り尽くしているみたいな感じが、なんというかすごい。格好良すぎ。

そんな沙名子さんと勇太郎さん含め、今回特に、経理部の四人の信頼関係が好きだったな~と実感したのが、再び真夕ちゃん視点のエピローグ。
沙名子さんにちょっかいを出している(と思われている)太陽に、三人ともが牽制っぽい態度を取っているのが、読んでいて笑えました。
三人とも沙名子さんのことが大好きで心配なんですよね。愛を感じます。愛(笑)。
「勇太郎が社内で認めている女性は沙名子だけである」という真夕ちゃんの見解も、うなずいてしまう。たぶん沙名子さん以外のひとにとっては勇さんはすごくとっつきづらい怖いひとなんだろうな……。
今回も沙名子さんの後輩真夕ちゃんはお気に入りキャラでした。彼女の仕事への姿勢もまた素敵だと思う。私もせめてこうはありたい……。

太陽も、一巻目の時点では正直どうかなーと思ってましたが(何様)、沙名子さんのことが本当に大好きで健気にアプローチをかけていて本当の彼女をちゃんと理解して大事にしたいという気持ちは伝わってきて、好感度がわりと上がりました(笑)。
こんなきっちりかっちりした沙名子さんだからこそ、太陽みたいな明るくあまりものごとを悩まないひとは、お似合いなのかもな、という気がしてきました。
あまり空気は読めないけれど沙名子さんの心を要所要所でふわりと軽くしていく太陽に、沙名子さんが自分のペースを乱されいらっとしつつも、だんだんほだされていっている感じなのが、可愛らしい。
ま、沙名子さんに完全に釣り合うためには、太陽にはもっと頑張ってほしいなーと思うのが、まだまだ正直なところですが。(なんて上から目線……それだけ沙名子さんが好きなのです、お許しを。笑)
勇さんと沙名子さんではどれだけ同僚として相性がよくても恋愛には発展しないでしょうけれど(たぶん)、あのふたりに負けないくらいの、また違う信頼関係を築けるようにがんばってほしいな、と、ついつい思っちゃいます。

読んでいてくすりと笑って元気になれる、素敵なお仕事小説でした。
三巻目も出ると嬉しいな!

(沙名子さん愛用の香水に、グリーン・ノートのポプリをついつい連想してしまい、『あなたに眠る花の香』を再読していたり。)

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 青木祐子 

『かつくら vol.22 2017春』 




かつくら』春号、発売でした。買ってきました。
イラストレーターさんへのインタビュー記事もあるからか、表紙のイラストが印象的で独特の世界を作りだしていて目をひきました。
(裏表紙の淡い水玉模様が散っているのみのシンプルな感じがきれい!)

そういえば『ビブリア古書堂の事件手帖』完結したのですね。
途中まで読んでいたもののなんとなくストップしている状態の私……また続きも読んでいきたい。
あと三秋縋さんの小説は最近見かけてちょっと気になっていました。こちらも機会があれば。

今回私的にいちばん楽しんだのは「趣味の本箱 タイムトラベル」コーナー。
時間ネタのお話は昔から私大好物です。そこにロマンス要素が上手く絡められていると最高です。
既読の作品もいくつか紹介されていて嬉しかったし、未読のものも心惹かれるものがたくさんあって読んでいてワクワクしました。
『君の名残を』『スキップ』『ターン』はとてもとてもおすすめです。
個人的にはタイムスリップものでまっさきに思い浮かぶのは、倉本由布さんのコバルト文庫シリーズ『きっとシリーズ』。
女子高生の濃子ちゃんが同級生と共に事故で戦国時代にタイムスリップして若き日の織田信長と出会って惹かれあい……というところからはじまる長編シリーズ。私は娘の蒼生子ちゃん編がいちばん好き。平安や飛鳥や江戸やそこまでシリアスモードでなくタイムスリップしている初期の何冊かが特にお気に入り。
シリーズの続きをいつまでも待ってる。
そして、卑弥呼が出てくるという『時砂の王』がとても気になります。
そういえば学生時代に『まつら伊世姫』というスーパーファンタジー文庫だったかな?弥生時代のタイムスリップものライトノベルを読んでいたなあ。実際はそこまでタイムスリップものという感じはしなかったけれど。
『スキップ』『ターン』『リセット』『時の旅人』『小袖日記』、今でも大好きなこの手の作品のいくつかは、かつて『活字倶楽部』の特集をきっかけに手にして読んだものだった覚えがあります。

あと上にもちらりと挙げたイラストレーターさん3名のインタビュー記事も良かったです。
私は特に、げみさんが表紙イラストを描かれた作品を何冊も読みかなり好きなので、色々興味深く読みました。
『鎌倉香房メモリーズ』も『桜風堂ものがたり』もあと最近では『長崎・オランダ坂の洋館カフェ』の表紙もどれもとても良いです。
キャラクターの表情や姿勢や背景やさりげない小物ひとつにもていねいで心がこもっていて。

あとはブックガイドを読みここ最近ずっと気になっていた某少女小説をやはり読みたいと注文したり。
『チョコレート・ダンディ』の読者投稿イラストがかわいらしい!とときめいたり。
少し前に読んだ『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』たしかにかつくらが引用文献、参考文献としてかなり名が挙がっていたよなあ、とひとりうなずいていたり。

案の定読みたい本、積み本がさらに増加していますが、まあ分かってたことですし(笑)。


この一週間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: かつくら(活字倶楽部)

タグ: かつくら