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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ぬばたまおろち、しらたまおろち』白鷺 あおい 




両親を交通事故で失い山深い村の伯父の家に引き取られた綾乃。
十四歳になる彼女の秘密の親友は、白い大蛇のアロウ。
村祭りで舞い手をつとめた夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた綾乃は、村に来ていた女性民俗学者の大原先生に救われる。
けがを負った綾乃は先生の母校であるディアーヌ学院に連れていかれてそのまま入学することに。
だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校で——。


はじめましての作者さんのお話。
荻原規子さんの『RDG』に近いとか色々ネット上で情報をみてこころひかれて早速手に取ってみました。

幼馴染の大蛇に外国風の魔女の学校に寄宿舎ものに少女の成長と冒険と友情、淡い恋、キラキラした設定がこれでもかとつめこまれた、宝箱のようなお話でした。
作者さんが心から楽しんで描かれたのが伝わってくるよう。
私も読んでいてものすごく楽しかった!!
少女小説好き、和風ファンタジー系が好きな人間にはとくにたまらない仕様となっていました。
表紙イラストの雰囲気が本の内容にとても良く合っているので、あらすじと表紙でぴんと来た方は、手に取って損はないかと。


以下、ぼかして書いたつもりですがやはり一部ネタバレ含み感想です。ご注意を。


お話の舞台は、まずは綾乃が伯父に引き取られ暮らしていた岡山の山奥の村、そして関東にあるディアーヌ学院、さらには時を超えた世界にまで。
明確に章立てされているわけではないのですが、お話の流れ自体はシンプルで辿りやすい。
(たぶん全体がうっすらとつながっているからこそヒーローの背景が生きるのではないでしょうか)

なにより主人公の綾乃と幼馴染の大蛇のアロウ(雨太郎)の関係が微笑ましい。
十四歳にして大蛇の婚約者になるなんて、なかなか心ときめく設定ではないでしょうか(笑)。大蛇の結婚式の約束が素敵。
そんななかで村祭りの舞い手、不穏な昔ばなしもありなにかはあるなと思っていましたが、案の定。
大原先生とアロウがとても格好良かった!

そしてディアーヌ学院での新生活。
雪女やのっぺらぼうや人狼やあずきとぎ、妖魅(妖怪)達の子女が、フランス風の学院で箒に乗って空を飛び魔女の勉強をしているという和洋折衷ファンタジーとりどりの設定が、読んでいて斬新!とても面白くワクワクしました。
寄宿舎のルームメイトの絵葉ちゃんが食いしん坊で情にあつい良い子で彼女と綾乃の友情が好きだな~。
この学院にはこの学院なりにスクールカーストが存在し、異性関係や出自のことや色々ぎくしゃくもするのですが、はじめ異分子だった綾乃がしだいに学院に馴染んでゆき友達と楽しそうに学び楽しそうに過ごしている様も、また良かったです。
綾乃が箒で空を飛べるようになるまで、なかなかたいへんでした。みんなすごい技術持ってるんだな……。感心。
お茶会やパーティーのごはんや食堂の定食までごはんもおいしそうでした。「お八つ」という表現がなんだかレトロでディアーヌ学院の雰囲気に合っていてお気に入り。

そんな綾乃の学院生活で次第に大きな存在になっていくのが、大原先生のおうちの末の弟・雪之丞。
涼しい目をした読書好きの少年に私はとても弱い(笑)。彼と綾乃の距離がまた少しずつ縮まっていくごとに、アロウの存在を思うと複雑でどうなっちゃうんだろう……とどきどきしながら読んでました。
冬休みに大原家の家族たちと温泉で過ごす場面も好き。雪女のお姉さんたちとのぶっちゃけ女子トークが楽しかった(笑)。
(なにげに三重県の温泉だったのも親近感ましまし)
しかし綾乃と雪之丞の読書トークは良かったです。これも王道ですね!

ツチノコ騒動や恐怖の(笑)夜間遠足や下級生のケンカの仲裁やいろんなイベント目白押しで楽しんでいるうちに、綾乃の田舎への帰省、そして思ってもみなかったタイムスリップ。
箒に乗りたがるすけべな河童たちに和み華乃子さんの身の上にそういうことだったのか!と思ったり。
お初さんが有能で柔軟で合理的な思考の持ち主でとても格好良かったです!お菊さんも伝説で想像していたよりは明るくしっかりした女の人でした。あ、みどりさまもすてきでした。
なにより雪之丞の正体は、途中から薄々そうかなあ……と思っていたのがラスト直前に一気につながって、やっぱりそういうことか!そういうことならば良かったです!!彼の告白がシンプルで心がこもっていてよかった。

最後の最後でいろんなことが丸く収まって、後味も良かったです。
個人的に伯父さん夫婦とちゃんと話し合い納得の上今後を決められていたのがほっとしました。
『ぬばたまおろち、しらたまおろち』というタイトルも、ラストまで読むとしっくりなじみます。

いやあ、こういう楽しいお話が世の中に新しく出てくるなんて、読書を続けてみるものですねえ(笑)。
個人的にはとくに細部に至るまでオリジナルの設定をとにかく味わい尽くして楽しむタイプのお話でした。
王道パターンのお話ももちろん楽しかったですけどね!王道ばんざいです。

『ハリーポッター』や『RDG』を彷彿とさせる設定のお話で、でも面白いのが、綾乃ちゃんはハリーポッター実際に読んでいて学院生活のいたるところで実際になぞらえている、という描写がはっきりとあるところかなあ。
『カーリー』も読んでいる綾乃ならば、きっと荻原規子さん作品も読んでいるのではないかしら(勝手に想像)。
そしてアロウと言われると、ついつい『伯爵と妖精』シリーズを思い出してしまう私。このシリーズも実際遠からずじゃないかな、とか。

きれいにまとまっているお話ですが、これは続編とかあればぜひ読んでみたいです。
ディアーヌ学院高等部編とか。綾乃の友人達のその後やロマンス談もちょっと読んでみたい。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 白鷺あおい 

9月の読書メーターまとめ 

10月になりましたので、先月分の読書メーターまとめを、いつものごとく追記より。

ブログに書いていない作品で特に良かったもの
小説 『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人』『令嬢エリザベスの華麗なる身代わり生活』
まんが 『マリーマリーマリー』『恋と呼ぶには気持ち悪い』『天使がのぞきみ』

あああ、全然感想書けなかった……。『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人』の完結巻、とてもとても良かったです!!
不器用すぎるアプローチしかできないユーリさんと親しい人と適切な距離感を保つのが苦手なアイリーンのふたりにさいごまではらはらどきどきでしたが、最後の最後でおさまるべきところにおさまって、本当に良かった!
『令嬢エリザベス~』は私が大好きな『悪辣執事のなげやり人生』の流れをくむような賢くてしたたかでクールななかに優しさを持つヒロインがとても好みでした。なんかWeb版の方も気になりますね。読んでみよう。
『マリーマリーマリー』の完結巻のいっぱいの幸福感がとても良くて心満たされました。
『恋と呼ぶには気持ち悪い』高校生&社会人のラブコメ両方楽しめる美味しさがあるな、と三巻まで読んで思いました。主役二人も好きだし妹の理緒ちゃんが良い仕事してる。
『天使がのぞきみ』もとなおこさんの英国ヴィクトリアものやっぱり素敵です♪『英国マザーグース物語』が好きな人に特におススメしたいかも。

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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

『わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁』望月 麻衣 




高校2年生に進級した小春。
京都で不穏な事件が続発する中、事態を重く見た澪人は、小春や朔也達と対策チームを結成し、かつて京都にはりめぐらされた護りの結界を補修しようとする。
一方小春は胸にわだかまる「後悔」の理由を解き明かすため、自らの前世をすべて知ろうとするが——。


『拝み屋さん』シリーズも六巻目。
『ホームズ』シリーズ八巻目を読んで間もないうちにこちらのシリーズも新刊が読めるなんて、とても贅沢ですねえ。
作者さんは刊行ペースが安定してお早くて、読者としては嬉しいです。

ふんわりはんなり女の子らしい和風ファンタジーで、本のボリュームも薄めで、構えずに気楽に読めるのが、このシリーズの魅力のひとつだと個人的には思ってます。
とても読みやすいのですが中身は色々つまっていて読み足りないということもなく充実感ありますし。
今回は特に前世のエピソード&前世から現在にまでつながるロマンスのエピソードがだいぶ明らかになって、盛り上がりもあって、とても面白く読むことができました。
切なさとときめき感満載。
あと平安時代ネタも堅苦しくない程度に描写があって、京都の雅な描写や京都弁も品よく安定していて、こちらもまた楽しい。

友風子さんの表紙が毎回まずとても楽しみなのですが、今回は十二単。美しい……眼福です。
着物の色目と鈴と猫と合わさって素敵です。

さてようやくすべてが繋がった玉椿姫の前世エピソード。
左近衛少将と夫婦になってからの彼女の心の変化と二人の結末が、とても切なく苦かった。
これは確かにふたりとも辛い。ふたりが悪いという訳ではなく、もうめぐりあわせが上手くいかなかったのだとしか……。
特に玉椿姫の後悔が胸にじくじく迫ってきて辛かったです。
水晶をにごらせずに生きるって、ものすごく難しい、のだと思う。
そしてこんな状況でも、ふたりとも相手を恨まずに自分の中に後悔を抱え込んで苦しんでいるので、いじましい。(特に左近衛少将)
玉椿姫のお誕生日を祝えて良かった、というのが、現世での小春のお誕生日祝いの場面にも重なりあわさって、よけいにぐっときました。

同時に少将の前世の記憶もちの澪人さんの本心、小春の告白を拒絶した理由も、ようやく繋がりました。
そういう意味で身を引いていたのか……はたから見ているとじれったいったらないですが、辛い。
小春のお誕生日会や宗次朗さんとの会話とかでもうだいぶ澪人の本心は透けて見えてきてましたが(ふふふ、結局のところ彼もまだ成人したばかりの若者なんですよねえ。私から見ると微笑ましい)、なんといってもラスト近くの和人お兄さんの場面がとても良かった。
和人さんの弟への愛情に読んでいて涙ぐみました。
ようやく引き出された澪人さんのストレートな本音にぐっときつつ。
バイクの二人乗りのエピソードといい、賀茂家の三姉弟の仲の良さが私はしみじみお気に入りです。

ふたり以外に目を向けると、クールビューティー由里子さんが内にとても可愛らしい面を持ってらして、和みました。
コウメちゃんほんとうにかわいいですよね!
愛衣ちゃんと小春の友情もやはりいい。朔也くんがなんだかんだいってよき仲間に落ち着いたようでそこもほっとしました。(澪人さんの複雑な心境が……またうっかりときめいてしまった。笑)
京都に迫る危機の正体、確かにそういうこともあるんだろうな、と。
澪人さん結成のチーム、にわかごしらえと言えばそうかもしれないけれど、配役も理屈もきっちり考えられていてさすがだと思いました。

同時に進行していく小春と和人さんのデート。
物凄く気になるところで物語が終わってもだえました。はやく、続きを!!!

そうそう、杏奈さんあれから元気で活躍しているようで、ほっとしました。
宗次朗さんの愛情の形がとても格好いい。
吉乃さんと宗次朗さんの親子の遠慮ないやりとりもあいかわらず和みます~。

あいかわらず和菓子も影の主役を張っていると言っていいくらい、おいしそう。
やっぱりサブタイトルにもなっている小鈴の落雁がとても斬新でおいしそうです。
涙して水色のくずきりを食べる場面も印象的でした。
志津屋のカルネも小倉山荘のおせんべいも吉乃さんのすきやきも誕生日の抹茶ケーキもみんなおいしそう。


もうすぐ発売の望月麻衣さんの新作もとても楽しみです♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

私的本の情報メモ(10月) 

今日で9月も終わりですねえ。
昼間は日差しがあるものの朝晩はだいぶひんやりしてきました。
きんもくせいの香りが、歩いているとそこかしこから。良い季節です。

さて来月の新刊購入予定メモ。毎回ながら簡易バージョン。

『京都烏丸御池のお祓い本舗』望月麻衣 10月12日

『なんちゃってシンデレラ 王都迷宮編 下町で、看板娘はじめました。』汐邑雛 10月13日

『これは経費で落ちません!3 ~経理部の森若さん~』青木祐子 10月20日

『LIFE SO HAPPY 2』こうち楓 10月20日

『弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース』喜多みどり 10月25日

あと仲村つばきさんのコバルト文庫の新作と阿部暁子さんのオレンジ文庫の新作とその他色々気になるものもありつつ。
森若さんの続きとLIFE SO HAPPYの新刊が、お待ちかね!!という感じでとっても楽しみです。ふふふ。
望月麻衣さんの新作も楽しみ~。
そういえば、『京都寺町三条のホームズ』シリーズ、コミック化もされるようで、清貴君格好いいし葵ちゃん可愛くてしっかり者な感じが良く出ているし、これも楽しみな情報です。
→「もの書き・望月麻衣のひとり言


この一週間、いや二週間くらいにそれぞれの記事にぱちぱち拍手下さったみなさま方、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『フライディと私』シリーズ  

先週あたりから私がずうっと読んできたオンライン小説の感想メモ。

フライディと私
ページのPさん作。
サイト→P Is for Page 

無人島に漂着した十六歳の少女の「私」が出会った「フライディ」と名乗る男性、素性を明かさぬままのサバイバル生活。
その後日談から人間関係が少しずつ広がってゆき紡がれる、架空の国を舞台としたラブコメ連作集。
一応まだ未完なのかな。
基本的に主役が入れ替わってゆく連作短編集で、各お話は数ページぐらいにまとまっていて、少しずつ読んでいくにはぴったり。
それでも途中からもう止まらなくて結局最後までノンストップで読んでいたんですけどね(笑)。

どこか古き良き英米少女小説を彷彿とさせる雰囲気のお話。
『あしながおじさん』とか、赤毛のアンシリーズの『虹の谷のアン』『アンの娘リラ』当たりの雰囲気に似ている。
そして、読んでいてこんなに素直に明るく楽しい気持ちになれるお話って、そうそうないと思います。しみじみとした幸福感でいっぱいに満たされる。
年の差もの&身分差もの大好きな私には、いっそうたまらない。

目次の名前を見ていてはじめは主人公がくるくるいれかわっていくお話かと思っていたのですが、メインカップルは最初から最後まで同じ二人。ロビンとフライディ。
登場人物が増えても最初のこのカップルが断然大好きな私だったので、嬉しかったです。
恋人であると同時に「バディ」(相棒)でもある二人のやり取りの、可愛らしく微笑ましく、そして二人の信頼関係の素敵なこと!
なかでもちょっと生意気でプライドが高くて素直で優しくて、年下のヒロインちゃんの魅力に、読んでいる私もとりつかれてしまった。
(実家の職業がパン屋と言うのも個人的ポイントでした)
いつもふざけたムードメーカーで頭も良くハンサムで女性に人気のあるフライディが彼女にベタ惚れめろめろなのも、すごくよくわかる。
フライディ視点の最初のお話のラストで「明日はテニスの試合だから」とあっさり帰ってしまった彼女に、彼が盛大に肩透かしをくらっている姿がなんだかおかしくて笑ってしまった。
フライディの性格が全然違う四兄弟のそれぞれの恋模様もそれぞれお気に入りです。
心に決めた女性にひたすら一途に愛を捧げ続け待ち続ける姿は四人とも共通していて、確かに兄弟なんだな~と感心したり(笑)。

お隣の国に留学し大学生となった彼女のキャンパスライフも、素敵なお友達に恵まれてとても楽しそうでお気に入り。
ローズもフェイスもフィレンザも皆いい子だな~!
恋人は大好きなものの学生生活は静かに過ごしたいヒロインと、隙あらばいちゃいちゃしたい彼との温度差がまたおかしみあります。
少しずつ大人になってゆく彼女との関係の進展もていねいに描かれていて読んでいてとってもときめきました。

このお話は(主に名前)どこまでネタばれ感想を書いていいものか悩む……。あまり多くは語りませんが、古き良き王道少女小説がお好きな方には、一押しです♪
格好いい王子様やうるわしのお姫様も盛りだくさんです。皆それぞれ曲者かもしれませんが(笑)。

そういえば瞳や髪の色の描写がまるでないのも気づいてみれば面白かったです。
サイトの方のアンケートの回答も楽しく読ませていただきました。

ちなみにこのお話を読みはじめたきっかけは、Twitterのタイムラインで見かけて読んでみた短編『ヴァイオラ』。
ヴァイオラとカンファーの信頼に満ちた関係とやり取りも良いし、彼らの書物整理&修理という仕事ぶりがまたていねいに描かれていてそういうのが好きな私にはまたたまらなかったです。
弟君も今回の件は反省しつつ幸せになってほしいですね。

ロビンの実家のパンが美味しそうで食べてみたい。
「ウーマン・フライディ」作のベルベットケーキも!

カテゴリ: オンライン小説

タグ: ページのP 

『京都寺町三条のホームズ8 見習い鑑定士の奮闘』望月 麻衣 




高校を卒業して無事に京都府立大に合格した葵。
清貴も京大大学院を修了し、ようやく二人の仲も縮まるかも、という矢先、なんと清貴はオーナーの意向で、社会勉強のために京都の街の外に修行に出る生活になってしまう。
最初の修行先は、八幡市にある松花堂美術館。
親友の香織と一緒にこっそり清貴の様子を見に出かけた葵だったが、そこで思わぬ事件が待ち受けていて——。


待望の『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新刊!!わーい、嬉しすぎる~!!
刊行ペースが安定してお早いのでファンとしてはとてもありがたく幸せです。
そして今回からは、葵ちゃん大学生&清貴君社会人編スタートです!
まずは表紙イラストの大人っぽくきれいになった葵ちゃんに撃沈……上手く帯で隠れていますが、シックなスカートからのぞくおみ足が美しいです(笑)。
(けして短いわけではなく上品でつつましいスカート丈と葵ちゃんの姿勢であるところがミソだと思う)
ホームズさんの方はこちらは安定してネクタイ姿が決まってます。前巻に引き続き自分の彼女の美しさにふふんと得意げな感じ(笑)。
そしてこれも毎度のことながら、ふたりの背景の石清水八幡宮(ですよね?)のイラストの完成度も高くてうなってしまいます。
青空に赤と緑が映えていて爽やかで素敵。
事前に情報を得ていた通り、登場人物紹介の葵ちゃんも、大学進学にあわせて大人っぽくきれいになっていて、どきどきしました。

さて今回の各エピソード、私は一応エブリスタ版の方ですべて既読だったり。
ですがこのシリーズは、書籍版になるとエブリスタ版のエピソードの順番が入れ代わり加筆修正もしっかり入り本としての完成度は格段にアップするので、読み比べるのがまた二重に楽しいんですよねえ。
清貴君と葵ちゃんの関係性も全然違うので、読んでいて新鮮!清貴君の初々しさの微笑ましいこと。

修行に出てもまあ予想通りというか、清貴君はどこで何をやらせてもそつなくスマートなのですが、葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるほどめろめろで気弱で、ギャップにますます磨きがかっているかんじがしました(笑)。
葵ちゃんはやっぱり安定して可愛くて努力家で大好きだし、あと今回は彼女の親友の香織ちゃんの出番が多くて何気にとても嬉しかったです。

各話ごとにネタばれありの感想を~。


『プロローグ』
オーナーの突然の「命令」には私もとてもびっくり&離れ離れになる二人に残念な気持ちになりましたが、確かに一理ある。
葵ちゃんよりも清貴君の方が離れ離れになることにダメージを受けているようで、悪いのだけれどなんだかちょっとおかしいというか(笑)。でも確かに、大学に入り世界が格段に広がるに違いない彼女のそばにいられないのが不安な気持ちもとても分かる。
そしてかつて実際に遠距離恋愛に失敗したことがある葵ちゃんの若干の不安が杞憂で終わりますように!いや、ほんとに。

『一生に一度は』
恥ずかしながら松花堂昭乗のことも石清水八幡宮のこともほとんど知らなかったもので、勉強させていただけて良かったです。(ホームズさんの講演はさすがの分かりやすさ)
石清水八幡宮って、はるか昔国語の教科書に出てきた仁和寺のお坊さんのお話のあれか!なるほど!(ようやくつながった)
竜宮城のイメージとは素敵。松花堂美術館のお庭や学芸員さん達の仕事ぶり、葵ちゃんと香織ちゃんが乗っていたプレミアムカー、相変わらずしっかりていねいに描きこまれていて、またひとつ京都でぜひとも行ってみたいところが増えました。あ、松花堂弁当ももちろん食べてみたい。
こっそり様子見に来ていたつもりだった葵ちゃんに一目散に向かっていき嬉しさにはしゃいでいる清貴君のギャップに、周囲が呆然となっている場面のおかしいこと!(笑)まあ考えてみれば変装くらいで彼の目が葵ちゃんの姿を逃すはずもないか……。
そして小日向さんのずけずけ加減と彼の失礼さにぷりぷりしている香織ちゃん、あのあたりの会話も好きでした。
書籍版になって秋人さんの出番が増えてる!ホームズさんと秋人さんの(自称)親友同士の男子トークも笑えました。
過去のことを話したら葵ちゃんに嫌われるかも……としおしお弱気なホームズさんにさくっと突っ込む秋人さんが見事でした。
(でも葵ちゃんが本当に素晴らしい女性であることは全面的に同意します。この歳でこんなに素敵な女の子はそうそういない)

『小さなホームズ』
上田さん視点の過去話。
オーナーと店長に加えて、上田さんは清貴君の「三人目のお父さん」ポジションだったんだなあと、胸があつくなりました。
大人びてませていて幼くして天才だったホームズさんを無邪気な子供に戻してあげられた上田さんって何気にとてもすごい。
個人的に作家になったばかりの店長が清貴君の鑑定眼に助けられそこにどうしようもない嫉妬を込めていた場面が印象的でした。まだ店長も今より若かったんだな。そして上田さんは確かに店長の友人だったんだな。
そして現在に戻って、清貴君と葵ちゃんに二人きりの場をさりげに提供して去っていた上田さんの気配りが絶妙でした。

『聖母の涙』
炊き込みご飯とポテトコロッケのエピソードがようやく!(笑)
クリスマスに教会にゴスペルに、離れ離れだった恋人たちの巻の最後を締めくくるにふさわしいエピソードがここに入ってくるとはお上手です。
清貴君の修行先はニューヨークも!そこでも重宝がられている彼がやっぱりすごい。
「ともにクリスマスを過ごしたい人がいますので」とさらりと言える清貴君にもときめきました。
マリア様の血の涙とはなんてぶっそうな、と思いましたが、特別な意味があるものだったんですね。
本当に「雨降って地固まる」な事件の着地でほっとしました。ジンギスカンか、なるほど。何気に江川さんのあっけらかんとした明るさが皆の救いだったんじゃないかなとか思いました。
ここにきての清貴君の過去の告白。
真実よりも葵ちゃんの想像の清貴君の方が何気にひどくってちょっと笑えました。
そして葵ちゃんの方の過去の懺悔がここで語られたのも良い感じだったと思います。
自分が犯した失敗も隠さず告白してすべてお互い受け止めあえる清貴君と葵ちゃんは本当にベストカップルだなあ。
単純にラブラブというよりは、精神面でぐっと二人の結びつきが深まったような、素敵な聖夜のエピソードでした。
自転車のリメイクと指輪のプレゼントがどちらもホームズさんらしい。(しかしクリスマスのプレゼントがいらないと言われたホームズさん内心ショックだっただろうな。苦笑)
あとホームズさんのお土産のファットウィッチベーカリーのブラウニー食べてみたい!ネットで調べてみたらとても可愛らしい包装のブラウニーですね。

『宮下香織の困惑』
ええっ、香織ちゃん、そっちにいくのか!
そっちの道は正直かなり厳しいような……。
と、エブリスタ版で読んだときに、思わず声に出して叫んでしまった(笑)。
精神年齢が高い香織ちゃんが店長に惹かれる気持ちは分からないでもないですからねえ。ううむ。
小日向さんもきっといい人なのでしょうが、現時点では香織ちゃんにふさわしい人か、つかみ切れていないからな~。(←なんて上から目線な私)

『エピローグ』
今回は円生が全く出てこないと思っていたら、締めは彼が主役をさらっていってしまった(笑)。
ホームズさんと円生のライバル同士のやりとりは、真剣にぴりぴり緊張感が漂ってきて、うん、怖いです。
しかし格好いいな円生。これから同じ土俵に立つがゆえに一層ホームズさんの手強いライバルになってゆきそう。
ライバルと言えば、ニューヨークで再会した史郎さんも、あのひと円生以上に不気味だな……。どう転がっていくのやら。

今回もとても楽しく読みました。満足♪
続きが今から待ちきれないです。
欲を言えば、葵ちゃん自身が今までより成長し活躍する見せ場があるお話を、もっと読みたいかなあ。
そして葵ちゃんと香織ちゃんのキャンパスライフをもっとたくさん読んでみたい。(植物園のカフェも気になりました)
あと上田さんエピソードが出てきたので今度は美恵子さんのエピソードも読んでみたいな。
十月に発売されるという新作も、あともうすぐ発売の拝み屋さんの新刊も、楽しみです♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣