Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私的本の情報メモ(2月) 

週半ばから雪と寒さが続いていますね。
朝晩はすべてが凍り付いてつるつるですし昼間もあまり気温が上がらず冷蔵庫の中にいるみたい。
土曜日も一日雪の寒い日になり結局家から一歩も出ていない。
読書が進むのでこういう日もまあ、いいですかね。
1月25日はホットケーキの日であったとTwitterで見かけたのに触発されて、朝はホットケーキを焼いて美味しくいただきました。

さてあと少しで2月ということで新刊購入予定メモメモ。

『オトナの小林くん 4巻』森生まさみ 2月5日

『とりかえ・ばや 13巻』さいとうちほ 2月9日

『京洛の森のアリス』望月麻衣 2月10日

『神様の名前探し 2巻』山本風碧 2月15日

『紅霞後宮物語 第七幕』雪村花菜 2月15日

『神様のごちそう 神在月の宴』石田空 2月22日

『乙嫁語り 10巻』森薫


なんといっても『とりかえ・ばや』の完結巻が……!!
今からどうなってしまうのかそわそわどきどきはらはらです。ハッピーエンドを信じているのですが。
あと『紅霞後宮物語』のがっつり読み応えがある物語の続きが読めるのもとても楽しみです。
望月麻衣さんの新作も気になる~。あと気になっている新作もちらほら。
その前に買ってきた新刊も読まなければ!


この一週間くらいに記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『まるまるの毬』西條 奈加 




親子三代で菓子を商う麹町の「南星屋」は、 売り切れご免の繁盛店。
武家の身分を捨て、職人となった治兵衛を主に、娘のお永と孫のお君が看板娘として切り盛りするこの店には、他人に言えない秘密があった——。


はじめて読む作家さんのお話。
江戸時代のお菓子屋さん一家のものがたりでした。
書店で文庫が平積みされていて、表紙のそぼくであたたかみのあるお菓子のイラストになんとも心惹かれて、ずっと心の隅っこで気になっていた作品でした。
しばらく間をあけて、読了。

読みはじめるまで私、タイトルを『まるまるの「まり」』と勘違いしていたのですが、『まるまるの「いが」』でした。
まるまるのまりみたいな、表紙のお菓子みたいな、まあるくてやわらかであたたかい物語が最後まで続くものと思って読みすすめていきますと、確かに途中で「いが」がありました。
やるせなくて心にしみて痛くて涙するような「いが」なのですが、それでもやっぱり「まるまるのいが」であり、まあるくてやさしい愛に満ちた物語。なんですよね。

派手さはないのですが、お互いを真摯に思いやる家族の愛情の物語、と私は読みました。とても良かった。
清々しくふくふくとした幸福感のたちのぼってくる読後感でした。
お菓子の描写もやはり派手ではないのですがどの場面でもしみじみと味わい深くて魅力的。
読み終えて何日か経るごとに、ひたひたと余韻が心の中にわきあがってきて、これはブログにも少しばかり感想を書き残してゆこうかと。

主人公はお菓子職人の治兵衛さん。年配の男性です。朴訥と職人肌で家族思いのすてきなおじいさま。
最初は少々とっつきにくいかとも思ったのですが、描かれ方が良い感じに人間味あふれているといいますか、迷ったり心の弱い部分も書かれていて、男親のむつかしい心情もあったり、自然と感情移入できました。
お菓子が大好きでお菓子作りしか見えていないところも共感できました(笑)。
治兵衛さんの抱えるものは思っていたよりあまりに大きくて、この秘密がじわじわと物語の流れを変えてゆくことに。

治兵衛さんの娘のお永さん、孫娘のお君ちゃん。
穏やかで父の仕事を幼いころからずっと愛し支えてきたお永さんの、内に抱えた想いのお話『まるまるの毬』、彼女の激しい想いに胸をはっとつかれました。お永さんと治兵衛さんの大人同士の父娘の不器用な思いやりの情がいい。
あと母親に比べると勝気でちょっとわがままなところもあるお君ちゃん、正直最初のうちはお母さんの方が私は好みだったのですが、いやいやごめんなさい。
自分自身の幸せを置いておいても、まず一身に祖父達家族の平穏な暮らしを守り抜くことを望み、迷いなく行動を貫いたお君ちゃん、めっちゃいいこや……泣きました。
この辛く理不尽な経験が、結果的に彼女をここまで大人にしてしまったと思うと、切ないものがあるのですが。
それでもラストのお君ちゃんの姿が、きりりと凛々しく自分一人の足で立っている感じで、何も失っていない、といえるのがまぶしくて、ああ、何とも言えないものがありました。
母や祖父が思っていたより、お君ちゃんは大人でお日様みたいな強さを持っていて、それは彼女が愛情をたくさん与えられまっすぐに育てられてきたからこそのものなんだろうな、と。

随所で一家三人を陰ひなたに支えているのが、治兵衛さんの弟の石海さん。
豪放磊落なお坊さんで、兄弟住む世界を違えてもずっと仲良く菓子を食べつつ支え合っている関係が、なんだかいいな~。と素直に思えました。
各話読んでいって、お侍さんのおうちにも色々あるんだな、と当たり前のようなことを思いました。
治兵衛さん達の実家の人達の常にすっと筋がたっているストイックさ、厳しいのだけど柔軟さも忘れてはいない、深い愛情を底にたたえたありようは、好き。
翠之介君のエピソードもね、微笑ましかったけれど、お家の事情がやるせなかったです。お父さんも辛いな……。
河路様の実直でおごらない好青年っぷり、常識をわきまえてそうなひとなのに年の差身分差を越えて率直に想いを告げる若々しさがまた何とも言えずに素敵でときめきました。
治兵衛さんを招いた折の屋敷の梅の描写が印象的でした。
ふうう。それでもやっぱり切ないなあ。
身分を越えて自由を得たように一見思える治兵衛さんだけれど、それでもしがらみからは逃れきれない姿が、他の何人もの登場人物の姿にも重なり、切ない。

南星屋さんの各地の名物お菓子を日替わりで出してゆくというスタイルも、面白いです。
カスドースが現代に当てはめて考えてみても甘くてハイカラで贅沢の極みという感じで魅力的……。
兄弟の思い出の大鶉というお菓子の名前もいいなと思いました。
最後に治兵衛さんが必死に再現した「橘月」も、単なる希少品ではない手間と心遣いが丹念にかかったお菓子で、紐解いてゆくごとに治兵衛さん自身がかつて受け取っていた愛情もなんだかつたわってくるようで。

他の方の感想にもありましたが確かに『みをつくし料理帖』に少し重なるものがある。
お君ちゃんはちょっとお美緒さんみたい。境遇は違うのだけれど。
良いお話でした。
もし続きがあるなら読んでみたいなあ。
個人的には平戸のお菓子事情まで話を広げた続編をちょっと期待してしまいます。駄目でしょうか……。


この二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 歴史もの

タグ: 西條奈加 

『左京区七夕通東入ル』『左京区恋月橋渡ル』瀧羽 麻子 






京都の文学部四回生の花ちゃんが、七夕の夜に理学部数学科のたっくんこと龍彦君と巡り合いそこからはじまるロマンスあり友情あり京都の学生さんたちの日常青春もの『左京区七夕通東入ル』。
その続編で、龍彦君の寮の友人山根君が雨の下鴨神社で巡り合った「姫」にはじめての恋をする『左京区恋月橋渡ル』。
(おそらく)舞台は京都大学、年季の入った男子寮に暮らす理系男子学生三人組シリーズ(?)。
どちらの作品も数年前に既読だったのですが、年末に読んだ安藤君のお話『左京区桃栗坂上ル』があんまり素敵で良かったので、懐かしさに駆られて、この前作二作品も再読しました。

いやあ、やっぱり瀧羽麻子さんのお話いいなあ~。
ふんわり柔らかでみずみずしいタッチで描かれる大学生たちの日常、恋、友情、研究、京都という街や文化や風習、すべてがすんなりまとまっていて。
とびきりキュートで素敵なお話です。
やはり主人公が違うとお話の雰囲気もがらりと変わるなあと新鮮な気持ちになる一方、時間軸や出来事や主役たちを取り巻く登場人物達は意外と重なりが多くて、読んでいると色々答え合わせしているみたいで、とても面白かったです。
あと出てくる京都の街の名所や年中行事、カフェや古着屋さんやレストランや、ひとつひとつがとっても魅力的!
お店の名前は明記されていないのですが、なんとなくここがモデルなのかな~と思えるカフェもいくつかあったりして、京都のガイドブック片手に徹底的に読み比べて、シリーズ三作も同時に広げて、めっちゃ散らかった状態で幸せな読書にひたっていました(笑)。

以下、とりとめのない再読感想メモを。(ネタバレあまり考えてないのでご注意を。でも三作品完全に独立したお話なので、多分どこから読んでも楽しめるし、知っているからこその楽しみもある、と私は勝手に思ってます。
どのお話もそれぞれの主役以外のストーリー、特にロマンスに関しては、肝心なところはふわっとぼかされているし)

まずは花ちゃん一人称の『七夕通東入ル』。
序盤の七夕とブルーベリー、花柄のワンピースのイメージが、とっても鮮やか。
いちばんふんわりフェミニンな可愛らしいお話。
お洒落で好奇心旺盛で多趣味で落ち着きがあまりない花ちゃんですが、真面目な勉強家だし(そりゃそうだ)男気があるしっかり者で、恋に落ちてしまった彼女の目から眺める世界のみずみずしく美しく魅力的なこと!
彼女の目から見るヤマネくんとアンドウくんはかなり奇天烈ですね。最初のうちは特に。
それでもちゃんと友情を育んでいてそれがちゃんと伝わってくるのが良い。安藤君のタコ焼きはやはりおいしそうです。
数学馬鹿で淡々としていて恋愛ごとには程遠い人生を送ってきたであろうたっくんが、花ちゃんのことをきちんと大切に想っているのが、物語が進むごとにじわりじわりと伝わってくるのが、なんとも心ときめきます。きゅんきゅんです。
ふたりで自転車を取り戻しに行く場面にブルーベリーのタルト、東京への旅行案を練っている場面がお気に入りかなあ。
たっくんさりげなく大胆発言しますよね……。というか龍彦君の引っ越し先は、そこだったのか!わすれてた!究極の人生の選択だった!(笑)
『活字倶楽部』の瀧羽先生のインタビューにもちらりと書いてあったように、花ちゃんは確かに、龍彦君をこちらがわの世界につなぎとめる、大切な存在なんだなあ、と。
あとアリサちゃんが花ちゃんの友人であったというのも忘れてました。そして恋のキューピッドでした。
花ちゃんのバイト先の古着屋さん・ソレイユとオーナーの陽子さんも何とも言えずに魅力的。おしゃれ。
剛くんは不憫でした。もっとももし彼らが実際にいたら私は剛くんタイプの男子には気後れしてしまって絶対に話しかけられないな……。
この三人卒業旅行(?)で高知に行っていたんだな。そういえば『桃栗坂上ル』にもさらーっと書いてありました。

次は山根君視点の『恋月橋渡ル』。
花火を手に深夜の鴨川をひとり駆けまわる姿は想像すると相当異様ですが(笑)、研究一筋奥手な男子学生山根君の、純情な初恋の物語。
花ちゃんのアドバイスを熟読し事前に頑張りすぎてから回ったりちょっと格好悪いこといっぱいしていたとしても、彼の一途さ一生懸命さ真心がひしひしと伝わってきて、なにより相手の「姫」こと美月さんも楽しんでいるのが伝わってきて、読んでいていいな~幸せ感にひたれました。
なんとなく端々から想像できる切ない終わり方でしたが、最後の最後の贈り物が、心憎いですね。
あと山根君視点なだけあって、理系学生さん達の日常、寮生活のリアルな暮らしぶり、安藤君をメインに寮生たちとの交流、そういうのが三作の中でいちばんメインに出てきていて、これも楽しかったです。
寺田君の腰の低さや異様なくらいのていねいな言葉遣いはそういうお家で育ったからこそだったのか、と納得したり。そして彼の進路の悩みも等身大で分かる。
川本君も初登場。鰐のモモちゃんも話のタネにちらっと出てきましたね。
あと安藤君の食い意地のはりっぷりがもう端々から伝わってくるのも、やっぱり食い意地のはった人間である私には共感できることが多々あって、これも楽しい!
もっとも璃子ちゃん視点からの安藤君の方が圧倒的に断然格好いいな。そりゃ当然か(笑)。
まあ確かに、特に果菜ちゃんみたいな女の子にとっては、安藤君みたいなお兄ちゃんはさえないオタクと評されてしまうのも、まあそういうものかな~と思いはしました。
のんびりやでどっしりした安藤君が、まさか半年後くらいに鰐と格闘することになろうとは、色々想像しつつ楽しいです。
そしてあの大文字焼きと七輪パーティーの日こそが、菅沼さんたちの馴れ初めの日だったんだろうか。読み返して気づいた。

読み返してみて、三作とも三人ともが、自転車(スクーター)の二人乗りをする場面があって、なんだか三シーンとも爽快で弾む気持ちが伝わってきて印象的で好きだな。
時間が進むごとに龍彦君と花ちゃんがしっくり馴染んだカップルになっていく様も良いですねえ。
『桃栗坂』のラストで、皆のその後が集大成のようにまとめられていたのが、読み返してみて改めて良かったです。
特に花ちゃんと龍彦君の未来がとてもふたりらしいなあと思い、良かった。

一気に三作を読むと、モデルになっている大学周辺の地理をガイドブックでこれでもかと読みこむので、一層にわか京都知識が深まりました(笑)。
やっぱり女の子らしいカフェと言えば花ちゃんが強いな~。涼真君がセレクトしたカフェと花ちゃんお気に入りのカフェは多分同じなのかな。花ちゃんと涼真君は話が合いそう。そして花ちゃんは璃子ちゃんを妹みたいにとても可愛がってそうだな。
研究や学問に対して皆それぞれ内面で考えて悩んでるんだな~と改めて思ったり。安藤君の方向転換は重みがあったな。
三作読んでどれも好きだけれどいちばんはやはり『左京区桃栗坂上ル』かなあ。幼馴染もの年の差ものが私好みストライクなのと、主人公達が美味しいもの大好きでたくさん食べるキャラなのが、いいんだな。改めて思いました。
私も食後にケーキもちゃんと食べよなと言ってくれるひとのおよめさんになりたい。(←言ってみただけです)
それにしても最初に読んだときは断然花ちゃんの歳と立場に近かったのが、今ではいちばん立場が近いのが川本君と璃子ちゃんの研究室の秘書の羽鳥さんになっていたというのが、改めて時の流れを感じてしみじみしました。これは前も書いたかな。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 日常のお話

タグ: 瀧羽麻子 

12月の読書メーターまとめ 

あけましておめでとうございます。
昨年はこのブログを読んでくださっている皆皆さまにはたいへんお世話になりました。
今年一年も、どうぞよろしくお願いいたします。
今年も無理ない程度にできるだけブログ記事を書いていけるといいな。

さて新年最初の記事は、先月分の読書メーターまとめです。
いつものように追記より。

ブログに書いていない作品で特に良かったもの
小説  『ゆきうさぎのお品書き』『階段坂の魔法使い』
まんが  『朝まで待てません!』『星の港の囚われ人』

なだらかに安心して楽しめる大好きなシリーズ『ゆきうさぎのお品書き』恋愛モードがほんのり入ってきてときめきました!若いっていいですねえ~。おからコロッケもココナッツカレーも美味しそう。
『階段坂の魔法使い』不遇の健気なヒロインが頑張って居場所と仲間を作り上げていく&じれじれロマンスが進行していく私の大好きなスタイルの少女小説!鳥獣郵便のファンタスティックな設定もすてきです。
漫画は『朝まで待てません!』の水落さんとぺー君の社会人カップルが可愛すぎて撃沈……花とゆめらしいラブコメを堪能しました。
ネットで存在を知り少しずつ読んでいた『奇妙なお花屋さん』シリーズも社会人カップルのじれじれほのぼのラブロマンスで甘さも私好み。植物にも癒されるしなによりパックンが可愛くて優秀!続きが出れば読みたいな~。
あと『古書カフェすみれ屋』の影響で読んでみた歌集『パン屋のパンセ』がとても良かった。
このシリーズの巻末に載っていたお料理本リストを片手に図書館で色々借りては読んでみました。
普段アメリカ料理の本ってあまり手に取らないこともありなんだか新鮮でとても楽しかったです。アメリカのサンドイッチのバリエーションってすごい。

年末のベストブック記事をさっそく読んでくだった方がいらして感激です。記事を書き終えて気づけば紅白が終わっていた私の大晦日の夜が報われました!(大げさ)
自分が好きなことを語っているとどんどん盛り上がってきてスイッチが入ってしまうと止まらなくなるんですよねえ。
今年の皆さまの読書に、ほんの少しでもお役に立てることがありましたら、幸いです。

-- 続きを読む --

カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

マイベストブック・2017 

という訳で、2017年も残りわずかですね。
大掃除一応やったにしては雑然とした部屋でパソコンをぱちぱちたたいています。
でもパソコン回りは今回かなり整頓したので気分はだいぶ違います(笑)。

では毎年恒例の、マイベストブックまとめ記事、行ってみたいと思います。
「私が2017年に読んだ本」なのですべてが2017年刊行の本とは限りません。
順番は関係あったりなかったり。
今回は小説、オンライン小説、まんが、別々で。

『下鴨アンティーク』シリーズ(白川紺子)





毎年選んでいますが、今年もやっぱりこれ!
京都下鴨を舞台に、美しくてはんなり優しくて品があってときめき感も満載の、アンティークお着物をめぐる少し不思議な物語。
今年はついに本編完結です。
鹿乃ちゃんと慧さんの関係にも、ついに、答えが。
ああ、本当の本当に良かった。愛おしさと幸福感に胸がきゅうっと詰まりました。
最愛の妹を取られたといじける良鷹お兄ちゃんが不憫でしたが、彼の方にもひとつの決着と出会いが。個人的には腐れ縁の玉子サンドの彼女(←すみません変なネーミングを)になんとか頑張ってほしいところ……。いや、頑張るべきは良鷹の方か。
鹿乃と慧さんと良鷹お兄ちゃんの当番制のお夕食や主に鹿乃ちゃんが作る手作りお菓子など、三人それぞれの性格が出るおいしそうなご飯の描写もたいへん魅力的でした。
本編完結で正直寂しくてしかたがないのですが、春に出るという番外編も楽しみにしています。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズ(望月麻衣)



思い返せば今年の1月上旬に読みはじめて、なにげなく読みはじめたもののだんだん途中でやめられなくなって、その時点での既刊6巻一気読みしてエブリスタ版も一気読みして、はまりにはまったシリーズ。
今年の私はこのホームズさんシリーズ抜きには語れない(笑)。
京都寺町を舞台に、鑑定士の卵・物腰柔らかでしゅっとした美青年ながらかなり奇特な「ホームズさん」こと清貴くんと、彼の祖父の骨董店でアルバイトをすることになった女子高生葵ちゃんのじれじれ年の差ロマンスが、もうとにかく美味しくて、ときめいてごろごろ転がっていました。
今年だけでも新刊二作も読めたし、たっぷり楽しめました♪
なんでもそつなく完璧にこなすホームズさんが葵ちゃんにだけはめろめろで人格が変わってしまうのがおかしいったらないです。
葵ちゃんがまた、ふつうの女子高生なんですが、ホームズさんにそこまで惚れ込まれるのも納得の、本当に良い子なのです。彼女のふところ深さと成長っぷりは目を見張るものがありました。
各話いたるところに仕込まれている骨董品ネタ、京都ネタもとても楽しい。京都に行きたくなります。
というかガイドブックの6.5巻を片手に、本当に京都に行ってしまいました。二回も!
書籍版の初々しいじれじれと、エブリスタ版の甘々、両方楽しめるのも、また美味しいです。
清貴社会人&葵ちゃん女子大生編新シーズンも、続きをとても楽しみにしています。
特に少女小説好きさんにお勧めしたいシリーズ!


『はるかな空の東』(村山早紀)



中学生のころ図書館で出会って魅了された、歌姫と魔法と伝承に彩られた少女の冒険と成長の長編ファンタジー小説、待望の!文庫化!
何年村山早紀先生のご本を読ませていただいていても、いちばんはやっぱりこの作品だった私、数年来ひそかに胸の内にあたためていた夢がかなって大感激です。
ナルもトオヤも、ハヤミさんもミオも、サーヤもユリアも、やっぱりみんなみんな大好きで、中学生の頃から私の心に寄り添い続けた強くて格好いい女性たちでした。
書きおろしの後日談が衝撃的すぎて三度読みしたのもまるで昨日のことのようです。
できることならこの後日談分で本のかたちで読みたかった……と惜しく思いつつも、それでもこの後日談を読むことができて、とても幸せなことです。


『浅草鬼嫁日記』シリーズ(友麻碧)



友麻碧さんの作品、今年も『かくりよの宿飯』『浅草鬼嫁日記』『扉の向こうは、知らない世界でした』三シリーズどれも良かった。
なかでも今年一番私的に盛り上がったのは、こちらの『浅草鬼嫁日記』の三巻目。
真紀ちゃんと馨君の「嘘」のゆらぎからたどる、酒呑童子と茨木童子の出会いからはじまる過去エピソードが秀逸。
千年越しの夫婦の愛の物語に、心臓をぎゅうっとつかまれました。真紀ちゃんのあまりに重たく辛い嘘とそれを受け止めた馨君の愛情に泣きました。
平安時代ネタ、前世ものネタ、そして京都に修学旅行に来ているので何気に京都ネタも、私好みの要素てんこ盛りで、とどめにご飯もおいしそうで、もう楽しいに決まってるじゃないですか!
薄幸の可憐な姫君が大江山でのびのびたくましく変わっていく様もほのぼのしたし、京中に悪名とどろかす鬼なのに茨姫ひとすじで彼女には弱くベタ惚れの一途な酒呑童子も良かったし、もうたまらないです。真紀ちゃんのジャイアニズムの由来がぽろっとあかされるのも、しんみりぐっときました。
かくりよシリーズとのつながりもますます気になる。


『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ(石田リンネ)



ここのところ唯一新刊を追いかけて読んでいた少女小説シリーズがついに完結してしまいました。
文句なしの素晴らしいエンディングでした。
表紙もですがカラーピンナップのイラストも美しい。レティもう格好良すぎる!
レティの騎士達もひとりひとりに見せ場があってそれぞれ大活躍でした。
一番正統派である意味一番目立たないけれど一番いい仕事をしてくれるデュークがやっぱりいいですよね~!
「愛人王」の由来になるはじまりのふたりのやりとり、レティとデュークらしくて、良かった。
ふたりとも真面目な仕事第一人間なので、ちっとも「愛人」というイメージではなく凛と格好いいままなのも良い。
最後の最後で知れっとぐいぐい押していくデュークにときめきました。お幸せに!
そういえば書いていなかった気がしますが、読者プレゼントの小冊子の後日談も甘々で食後のデザートみたいで。ごちそうさまでした。


『エスケヱプ・スピヰド』シリーズ(九岡望)



私的にかなりひさしぶりに読んだがっつりバトルものライトノベルシリーズ。
バトル部分は正直ななめ読み状態だったりもしましたが、全然問題なく面白かったです!迫力としびれる格好良さが伝わってくるのでもうそれでいい!
なんといっても主役ふたりの九曜と叶葉の生真面目努力家コンビが最後まで最高に大好きでした。
ヒロインが「元女中」という設定で読みはじめるのを決意した私なので(笑)。くるくる働き者の健気な女の子の叶葉が大好きで、これからもずっと九曜と一緒に笑っていてほしいな。
鬼虫仲間たちもそれぞれ個性が立っていて読みこむごとに魅力的で、戦う信念があって、くー、格好いい。


『傍観者の恋』(ナツ)



友情と秘め恋からはじまった契約結婚、そこから生まれる真実の愛。
ロマンスも良いけれど、レイチェルとアリシアの女の子同士の友情が、最高!!
不器用な三角関係の愛情に涙ぐみました。自分が悪いとがんじがらめになってゆくヒロインのレイチェルが健気で胸が痛くて、それでも三人確かに幸せだったのだとしみじみ思える。アリシア最愛の彼女が幸せをつかめて本当に良かった。
あきさんのイラストが秀逸です。


『古書カフェすみれ屋と本のソムリエ』シリーズ(里見蘭)



すみれさんが作りだす異国の香りがする美味しいカフェごはん、紙野君セレクトの古本、すみれ屋のお客様が抱える極上の大人のミステリー。
古書カフェすみれ屋さんが魅力的すぎて通いつめたい。フィリーズチーズステーキサンドイッチのランチが食べたーい!じたばた。
何より料理が大好きなすみれさんと古書担当の紙野君の、三十代の大人同士だからこその心地よい距離感とほんのりとした糖分が素敵できゅんきゅんです。
作中で何度も引用される『パン屋のパンセ』の歌が魅力的で、自分でもあれから読みました。クロワッサンの空気の歌がやはりいちばん好き。
実は地元の百貨店のカフェで読んでいたのですが、カフェで読むのにこれほどぴったりな本は、人生初かも!
二巻目も読みましたが個人的には一巻目の内容の方が好みかな~。三巻目が今から楽しみすぎる。(え、出ますよね?)


『左京区桃栗坂上ル』(瀧羽麻子)



年末読書すべりこみベスト本。
璃子ちゃんと安藤君の幼馴染年の差カップルのスローペースなロマンスが、読んでいてなんとも愛おしく幸せな気持ちになれます。
京都の大学の理系学生さん達の研究漬けのゆかいなキャンパスライフも読んでいて魅力的。
作者さんのお話を今まで読んできて『うさぎパン』に並ぶベスト本になりました。


『スロウハイツの神様』(辻村深月)





最後の最後のカタルシスがすごい。やられました。涙がぽろぽろあふれてくる究極の純愛小説。
芸術家の卵たちの創作への情熱や悩みや交流やリアルに迫ってきてとても読み応えがありました。
環とスー、正義と狩野の友情が好きだな~。
図書館に通う孤高の賢い少女と彼女を見守る青年の場面がとてもいとおしい。
ハイツ・オブ・オズのチョコレートケーキが夢のように美味しそうで一生憧れのケーキになりそう。


『灰の見る夢』他Memoriae シリーズ連作(no-seen flower
もう語るまでもないかとも思いましたが、今年もやっぱり大好きな大好きなMemoriaeシリーズでした!!
同人誌『灰の見る夢』は、これまでのお話の中でも少女小説よりなパターンで、まるでふつうのありふれた少女のように祭りのためにおしゃれしたりするティナーシャが、可愛らしくていじましくてじーんときました。
『Fal-reisia』の三巻目を求めて今年も夏コミに突撃したのも良き思い出です。キーファとミリアムがんばった。そしてユディトとレヴィがせつなかった。
あとここで読ませていただいたUMのサイドストーリー『奇跡のような嘘を貴方と』が、これまたもう、オスカーとティナーシャのカップル大好きな私にとっては、最高でした!なによりラストがくもりなくハッピーエンドなのが良い!!
『End of Memory』の連載再開もずっと待っています。


フライディと私』(P Is for Page

オンライン小説枠からは今年はこちらも。
『あしながおじさん』や『赤毛のアン』シリーズといった古き良き少女小説を彷彿とさせる、明るくてのびやかな雰囲気が心地よい、年の差身分差青春ラブストーリー連作。
ちょっと生意気で真っすぐで元気いっぱいの「ロビン」と、笑顔がさわやかでふざけ屋の「フライディ」、ベストカップルかつベストバディの関係が、すっごく好きです!
なにげにヒロインの実家がパン屋というのもポイントでした(笑)。
ふたりの家族のサイドストーリーも愛情深くて心の琴線に触れてくる。
正統派な少女小説好きさんにおススメしたいお話です。


『とりかえ・ばや』シリーズ(さいとうちほ)



さいとうちほ先生バージョン『とりかえばや物語』。
今年一番新刊をそわそわ待ちわびるまんがだった気がします。
『ざ・ちぇんじ!』よりシリアス寄りで何とも言えない色香が漂ううるわしの作品世界がもう、たまらない!!
何より何より沙羅と主上の上手くいきそうでいかないロマンスの行方が気になって気になって仕方がありません。
主上のぐいぐい押しては来るけれど強引なことはしない懐深い愛情が泣ける。
そろそろクライマックス、沙羅には特に本当に幸せになってほしいのです。


まだまだ挙げたい作品が次から次へと出てくるのですが、終わらないので、このあたりで。
今年一年振り返って、「京都もの」めっちゃ読みましたね!
『下鴨アンティーク』も『京都寺町三条のホームズ』シリーズもですし。(ちなみにこの二シリーズ、ヒロインが下鴨に住んでいる女子高校生という共通点が)
まんがでは『恋路花唄』が特に良かったです。椿さん好きすぎる。
あとご飯が美味しいお話も。正義です。

さて来年は、どんな素敵な物語に出会えるのでしょうか。

カテゴリ: 本の話題・おすすめ本など

『左京区桃栗坂上ル』瀧羽 麻子 




父親の仕事の都合で引っ越しばかりだった璃子は、四歳の時、引っ越し先の奈良で、八百屋の娘の果菜と出会う。
仲良くなった璃子と果菜。ふたりのお気に入りの遊びはおままごとで、ときどき付き合ってくれたのが、三歳年上の果菜の兄だった。
璃子が引っ越しで奈良を離れた十年の後も、ご縁はとぎれずつながっていた。果菜、そして京都の大学に進学していた「お兄ちゃん」とふたたび人生が交わる——。


今年最後の読書感想更新は、京都もので締めることにしました。
今年はほんとうにたくさんの京都ものの物語を読んできたなあ。としみじみ振り返って思います。

そんなわけで、瀧羽麻子さんの京都理系男子学生組シリーズ(?)第三弾は、奈良の八百屋の息子・農学部の安藤君のお話でした。
前二作を読んだのがもう数年前で正直色々うろ覚えなのですが、安藤君はそれでもなんとなく覚えてた。
山根君に龍彦君、花ちゃん、寺田君、川本君、読んでいるうちになんとなく思い出してきた。
懐かしい面々に再会した気分。みんな元気そうにその後の人生を歩んでいて良かった!

なんて言いつつも、基本完全独立した物語で、前二作品未読でも全然問題なく読めます。

璃子ちゃんと親友のお兄ちゃん・安藤君が、のんびり二人のペースで絆を育みハッピーエンドにつながるお話の流れがていねいで優しくて、読んでいて心地よくそしてきゅんきゅんでした。
いまどき珍しいくらいの正統派幼馴染ロマンスでした。
瀧羽麻子さんのやわらかくて女性的な筆致で紡がれる、璃子ちゃんと安藤君の幼いころの馴れ初め(?)から、同じ京都の大学で先輩後輩として過ごす研究漬けの日常。ふたりの周りの愛情深く個性的な家族や友人たち。
すべての要素が愛おしくて、読み返すごとにふくふくと幸せ感でいっぱいに。

大人しくて思慮深くて生き物が好きな璃子ちゃんと、子どものころから泰然としてマイペースで研究者肌(おたくというか)な安藤君。
最初は璃子ちゃんが語り手の物語でしたが、次第に安藤君の語りの方がメインになってゆくつくりも、なんだか良かった。
似た者同士で誰から見てもお似合いなふたりが、何年もじれったい関係をつづけてゆくさまの、もどかしくも愛おしいこと!!
璃子ちゃんはあれ、果菜ちゃんとの電話の場面の時点でおそらく自覚していたと思うのですが(あの場面まさに少女漫画チックでとても可愛い)、安藤君の方も、そうとは自覚していなくても、ずっと璃子ちゃんは、とくべつな女の子だったんだと思います。
じわじわ重ねてきた想いが。

なんといっても、鰐に襲われた(と勘違いした)璃子ちゃんを、とっさに守るために飛び出した安藤君、その後の鍋パーティーで友人たちに指摘されてようやく自分の気持ちに気づく安藤君、あの場面が彼ららしくって、とても好きです。
直前まで恋のお話と言うより鰐のモモちゃんをかばい続けていた璃子ちゃんが可愛くてちょっとおかしみがある。

あと幼き日のおままごとで、璃子ちゃんと安藤君がお母さんお父さん役をやっていたのも、カラスに襲われた璃子ちゃんを安藤君が追っ払ってそのあとの璃子ちゃんの台詞も、修学旅行で果菜ちゃんと再会できず涙にくれた璃子ちゃんに安藤君が気づいたのも、幼き日の何もかもが、降り積もってふたりの幸福な思い出に集約されてゆくのも、良いですねえ。ときめきますよねえ。
お互いを呼ぶのが「お兄ちゃん」「璃子ちゃん」で幼き日からずっと変わらないのも、らしい。
璃子ちゃんが大学生になり、安藤君の弱音も受け止め次第に関係がきもち対等になってゆく流れも、いい。

あと璃子ちゃんと果菜ちゃんの、全然違う性格の女の子同士の友情もいいです。私幼馴染ロマンスも好物ですが幼馴染女の子の親友二人も大好物です(笑)。
元気いっぱいであけっぴろげで頼もしい八百屋の看板娘で、お兄ちゃんにはつねに容赦ない果菜ちゃんもまたとびきりかわいらしい女の子です。
璃子ちゃんに恋愛話をことあるごとに勧めているわりに、自分の兄との関係には全く思い至ってなかったあたりも、微笑ましくちょっとおかしかった。
果菜ちゃん、まさか彼とつきあうことになるとは……びっくりしました(笑)。

あと理系学生たちのキャンパスライフものんびり愉快に書かれていて、読んでいてこれまた楽しかったです。
今回のメインは農学部。植物系と動物系とか、微妙な教授同士の争いとか、なんか、わかる(笑)。
前作二作を読んでいた頃は主人公の学生さん達に立場を重ねていたものですが、今の私は、猪俣教授の秘書の羽鳥さんの立場が断然近く、共感を覚えました。なんかこういうところでも時の流れを感じてしみじみしてしまう……。
璃子ちゃんと安藤君の研究室の教授同士が仲が悪くってって、確かにちょっとロミオとジュリエットっぽく、ちょっとロマンティック。
まさかラスト近くにああいう流れになるとは思っていませんでしたが。

璃子の親友になった涼真君とか、性別とか関係なく友情を育んでいるキャンパスライフも、自然な感じで良かったです。
社会人になった花ちゃんと安藤君の会話場面もよかった。花ちゃん大人になったな……。
龍彦君が相変わらずだけど花ちゃんのことをきちんと想っているのが端々で垣間見れてきゅんとしたり。
女の子同士の友情も良かったけれど、寮の男の子同士の友情も、やっぱりとても好きでした!!
後日談の山根君にはこれまた度肝を抜かれました。幸せそうで何よりでした。

璃子ちゃんと安藤君ですが、ふたりともけっこうご飯をよく食べるしケーキもしっかり食べるし、そういう描写も好きでした。
ふたりで出かけていたカフェが素敵でちょっと行ってみたい。
八百屋の息子なだけあり野菜を愛する安藤君の料理も美味しそうなんですよね~。鶏の水炊きに心惹かれる。

あ、あと璃子ちゃんに甘くて心配性なお父さんも印象的でした。娘が結局実家に戻らないことになってひそかにうちひしがれていたんだろうな……。

年末にじわじわ穏やかな幸福感に浸れる良い物語でした。
前作二作も読み返したくなってきました!!


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 日常のお話

タグ: 瀧羽麻子