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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私的本の情報メモ(10月) 

台風が来たりゲリラ豪雨がやってきたり暑さが戻ったりしているうちに、朝夕は気づけばめっきり涼しくなってきました。
コスモスやヒガンバナも満開ですね。
ようやく秋がやってきたのだなあと実感できています。

さて来月分の新刊購入予定メモ。

『おいしいベランダ。1』(コミックス)おかざきおか 10月1日

『恋路花唄。 3』麻生みこと 10月5日

『保健室の影山君 3』天乃忍 10月5日

『花野井くんと恋の病 2』森野萌 10月12日

『かくりよの宿飯九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。』友麻碧 10月15日

『紅霞後宮物語第零幕 三 二人の過誤』雪村花菜 10月15日

『わが家は祇園の拝み屋さん九 星の導きと今昔の都』望月麻衣 10月24日


『恋路花唄』と『かくりよの宿飯』の新刊が、とくに気になりますかね……!!
椿さん頑張れ~内田さんも頑張れ~!!
かくりよの宿飯のタイトルが物語の核心をついてきているっぽいのも気になるところ。
あと石田リンネさんの新刊と阿部暁子さんの新作とその他諸々も読んでみたい。様子見ですかね。
あ、『なんて素敵にジャパネスク』のトリビュート集も!!どんな感じなんだろう。
私が生まれてはじめて読んだコバルト文庫が、後藤星さん挿絵の新装版『なんて素敵にジャパネスク』だったので、色々思い入れがあります。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『腐男子先生!!!!! 2』瀧 ことは 




女子高生腐女子の朱葉と、イケメン生物教師ながら裏の顔は腐男子かつ朱葉の信者・桐生。
なんだかんだいいつつ秘密のオタク活動にいそしむふたり。
朱葉の熱心な後輩フォロワーが現れたり、新学期で二人の関係も変化したり、変わり者の同級生が絡んできたり、なかなか平穏にはいかないふたりの明日は一体——。


この夏のはじめくらいに読みはじめて、見事にすっころんではまりこんだ『腐男子先生!!!!!』、書籍版の二巻目が、発売されました~!!
おめでたいです~!!素晴らしい!!!
一巻目の発売から結構間が空いている感じなので、この二巻目が今になって発売されるのって、昨今の出版状態を鑑みてかなりすごいことなのではと思います。良きかな良きかな。

二巻目の部分、Web版(『腐男子先生!!!!!』を最後まで読んでいる私にはほとんど既読の内容ではあるのですが、全然問題ないですね!
何度読んでもたのしいですこのお話。紙媒体でもう一度ストーリーを追えるのしあわせすぎる。

結城あみのさんの可愛くて格好良くてイメージぴったりのイラストがふんだんに挿入されている、贅沢仕様です。
キャラのちまっとミニサイズのイラストが、特に私、好きなのですよね。
巫女姿の朱葉ちゃんとキング、バレンタインイラストを描く朱葉ちゃん、……諸々、美味しすぎる。
あと先生の格好いい姿がばーん!!とアップされているイラストもやっぱり素敵です。いちばんはカラー表紙ですかね、出張りすぎですよね先生。(というか、一巻目に引き続き表紙にヒロインがいないよ……タイトル的には正しいのでしょうが。笑)

あとがきに書いてあった、Web版とコミックス版と書籍版、全部違うのが、読者的には一番うれしいって、まさにその通りすぎる!!!
今回の書籍版も、Web版とほとんど同じお話かな~と楽しんで読んでいたら、最後の最後で、まさかの糖分増量があり、ときめきのあまり倒れそうでした。読者サービスがすごい。
あと信者なので、アニメイト版の特典ももちろん手に入れましたし、電子書籍版のショートストーリーを読むため電子書籍版も買っちゃいましたよね。後悔は全くしていないです。特に電子書籍版のショートストーリー、桐生先生視点のラブがあって最高でした。ごちそうさまでした。
コミックス版と書籍版の連動特典のオーディオドラマも聴きました。桐生先生の渋くて格好いいお声で繰り広げられる怒涛のオタクトークにあげはちゃんの絶妙の突っ込み、聞けば聞くほどイメージ通りで、これまた最高でした。

というか二巻目が発売されてからWeb版の番外編更新&限定特典ストーリー&その他諸々を読み返しループにはまって未だ抜け出せていません。
いろんな時間軸を行き来しているので混線しつつもやはり楽しくやめられない。


さて、まずは二巻目の感想をちょこちょこっと。

相変わらず毎回ラブになりそうでするっと抜けていく脱力感、でもとっても楽しく仲良さげなふたりのオタクライフ、そして思いがけないところから出てくるラブっぽい要素、そういうときにかぎってオチなし。
……この繰り返しが切れよくテンポよく書かれており、じわじわじわ~っとふたりの距離も縮んでいないようで縮んでいるような、このもどかしさとときめき感。
ちょっと外見はかわっているけれど、まさに王道学園少女小説ラブコメです。きゅんきゅんです。
残念なオタクだけどやっぱり格好よくあげはちゃんを大人の立場で守ってくれる先生いいひとだし、何より賢くてお人好しで優しい朱葉ちゃんが最高のヒロインすぎる。
実際読んでいて、心の中で私がつぶやく感想の半分以上が、あげはちゃんかわいい!!!ですから(笑)。
コミックス二巻のあとがきにあった、先生の残念な部分が朱葉ちゃんとのつきあいによって段々矯正されていく、というのが、正しいんだろうな、やっぱり。
先生の中の、朱葉ちゃんが誰より一番大切で守りたい存在、という気持ちが、読んでいてじわじわ伝わってくるのが、いいんですよねえ。これ。
(この辺は電子書籍版の特典を読んでからさらに味わい深くなりました)

二巻目のストーリーのお気に入りは、巫女さんのコスプレとコラボカフェのお話かな。
キングと秋尾さんは相変わらずインパクトすごすぎる……サクラティーラテ、確かに可愛い。私もきゅんときてしまいました。
コラボカフェのイラストの場面楽しそうでいいな。甘い場面が一旦台無しになったと思ったらまさかの糖分ましまし、いや~何度読んでも楽しいです。
キングの信者夏美ちゃんの場面も微笑ましいです。朱葉ちゃんのオタク友達夏美ちゃんもまた、本当にいいこです。
咲ちゃんと九堂さんの関係も、だいぶ変わっているけれど微笑ましくて良いですよね。
登校拒否している咲ちゃんの家庭訪問した先生と朱葉ちゃんのオタクトークがまさに天の岩戸みたいでちょっとおかしかった。
先生が担任となりふたりの接点も減ってしまい……というところに、ひょんなところからふたりの新しい居場所ができて、メンバーも増えているけれど、ますますふたりとも楽しそうなので、良いのです~。
朱葉ちゃんのピンチに即座にかけつける先生も格好いいのひとこと。
Twitterの使い方がすごすぎる。確かに先生の方がよっぽど怖いストーカーだよな……。
そして都築君、なかなかイメージ通りのチャラいイラスト姿(笑)。

そして最後のカラオケのお話、ぷらす、膝枕。
Web版の膝枕のお話も、もともとお気に入りだっただけに、たまらない!
これは書籍版の三巻目がどういう風に展開していくのか、早くも気になりすぎるー!!
え、出ますよね、もちろん??(笑)

『腐男子先生!!!!!』変わり種ながら、根本は先生と生徒の恋のお話なのですが、いわゆる禁断の、という影の雰囲気が不思議となくて、いつも明るくのびやかに楽し気なところが、このお話の魅力のひとつだとつくづく思うのでした。
先生も朱葉ちゃんも真面目で踏み越えるべきでないところはしっかりわきまえてるしね。そこが安心してラブコメに浸れるポイントかも。
秋尾さんのアドバイスも毎回力強いし。
彼女とのオタクライフを満喫しつつ、彼女の幸せを何より大事にしていて、彼女が卒業したら、という、先生の気の長い愛情が、なんだか、心にしみますね。(ちょっと二巻目部分より先の内容に踏み込んじゃってるかな)

限定特典の感想とWeb版の後日談エピソードの感想もちょこちょこっと書きましたので、これは追記に収納いたします。
時間軸が色々入り乱れて好き勝手に語っているのでネタばれご注意を。




コミックス二巻目も楽しかったです~。
やっぱり『泣かないで、先生』のお話が好き。あげはちゃんの気遣いが初期から最高。


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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 瀧ことは 

『今日も魔女を憎めない 思惑だらけのロイヤルウェディング』時本 紗羽 




小国エスティードには、不老不死の恐ろしい魔女がいる。18歳の絶世の美少女の魔女の名はシエラ。
魔女に恐れをなした国王は、魔女を王子ゼロサムの妻とした。
魔女が王子を呪いで自分と同じ不老不死の身体にしたため、王子は国王となり月日を重ねても18歳の姿のまま。
国王の娘も成長し18歳になったある日、他国の第三王子がエスティードを訪ねてきて——。


コバルト文庫の新作読み切り。
美しく色っぽい表紙イラストと意味深すぎるあらすじと作品設定に惹かれて、手に取ってみました。
絶世の美少女姿の恐ろしい魔女と、魔女に呪われた王様、そして側室腹の王女様、同じ18歳の王室の三人を巡る、おとぎ話風味の少女小説ロマンス。

他の方も書かれている通り、確かにどんな感想を書いても、ネタバレになってしまう……!!
なかなか意外性に富んでいたというか、良き少女小説でした。
あとがきを読んで、作者さんが高校生の頃から温めてきたお話だと知り、納得しました。
なんというか、物語やキャラクターひとりひとりへの、作者さんの愛情を感じる。
少し荒削りなところや不完全なところも読んでいてぽつぽつあるように思うのですが、それもすべてふくめて、作品の魅力なのかなと思えました。

魔女と王様のロマンスは、とはいえ少女小説の王道だと思います。大好物です。
シエラとゼロのふたりのシチュエーションが、すっごく好きでした!!
真面目でがんばりやで愛情深い王女様ハイネも好きです。ハイネって名前の響きが良いと思うの。

コバルト文庫にしてはほんのり大人風味のロマンス。
「ほんのり」なので、いわゆるTL小説が苦手な人でもぎりぎり楽しめる、と思います。
なんだかそういうのも新鮮な感じで読みました。

という訳で、追記以下に、ネタバレ込みの感想を少々書き散らしていこうと思います。
このお話はみなさんおっしゃっているようにネタばれなしで読んだ方がきっと面白いので、未読の方はご注意を。

あ、あと作品設定が少し似ている『Unnamed Memory』という大長編オンライン小説があるのですが、お気に召した方はこちらもどうでしょう……!!
どちらかの作品がどちらかに比べてどうとか言うのでは全くなく、それぞれの重なる部分と違う部分を読み味わって、一層両作品への愛が深まるのでは、と私は勝手に思っています。
こちらは呪いを受けた王子様が、解呪を依頼するため、世界最強の魔女の元を訪ねるところからはじまるものがたりです。




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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 時本紗羽 

『京洛の森のアリスⅡ 自分探しの羅針盤』望月 麻衣 




『京洛の森』で本屋の店長として、新しい暮らしをはじめたありす。
しかしある日想い人の蓮が、突然老人の姿になってしまう。
戸惑うありすは彼を病院に連れてゆくのだが、その帰り道に、元いた世界から迷い込み老人になってしまった女性二人と出会い——。


『京洛の森のアリス』第二弾です!!
一巻目がとても好みなお話だったので、続きが読めて嬉しいです。
庭春樹さんのパステルカラーのファンタジックな表紙イラストがとても素敵で、読む前からワクワクドキドキ楽しくなってきちゃいます。
きれいなピンクのお花もお茶の準備をするナツメも本を読むハチスも、山羊さんも大きな猫さんも、読み終えて改めて眺めると物語のキーポイント。
お着物にふりふりのエプロンのありすもかわいらしい。

一巻目同様、京洛の森の独特の仕組みやファンタジー世界観が、読んでいてたいへん楽しい。
現実世界の京都と重なりもありつつ、現実世界では難しいことが、魔法のようになんなくしゅっとできてしまったりすると、びっくりしちゃいます。値段を気にせず美味しい中華料理をお腹いっぱい食べている場面が楽しかった。(←食い意地が張っている私)
しかし、ある意味理想郷な「京洛の森」ですが、一歩間違えると、めちゃくちゃ怖い世界だな。というのも、改めて。
思えば『ふしぎの国のアリス』だって、そういうお話ですよね。(私は子供の頃アリスの物語が怖くて読み返せなかった)
「自分を偽らない」って、物語として読んでいるだけでも、簡単なようでとてもとても難しいことだと思います。
蓮のこと、そして春香さんと夏美さんのふたりのことでは、色々考えさせられてしまいました。
それでもひたむきに前向きにがんばるありすと蓮、見守るナツメ、彼らの姿に読んでいる私も元気になれるような、基本明るくてのびやかな空気につつまれた、すてきなおはなしでした。
想像の余地がある物語って楽しいですよね~。


以下若干ネタばれあり感想ですので、お気をつけて。


幼い日からの想いを通じ合わせた蓮、そしてふたりを見守りサポートしてくれるナツメとの、「ありす堂」での共同生活、スタート。
蓮とありすの初々しいカップルのやりとりに、読んでいてほのぼの微笑ましくなっていたのですが。
甘い雰囲気に浸りきる前に、連の身に、大事件が。
こんな一見わがままで自分の好きなように生きている感じの蓮でも、そういうことになっちゃうのか~。
いやいや、そうじゃないよな。ありすのことが大切で守りたくてずっとそばにいたかった彼だからこそ、歪みを抱えちゃったんだよな。
想いあってる男女が単純に一緒に暮らせない事態も起こりうるって、なんてシビアな世界なんだ。
と、ちょっと戦慄してしまった。
どっちも心から充足感を得られていれば何の問題もないけれど、あれ、でもどちらかが少しでも心に無理をかかえているとしたら、愛し合っていたとしても別の仕事を持って別に暮らした方が、本当は良いのか……?
……色々ぐるぐる考えてしまいました。

そしてもうひとつ、春香さんと夏美さん、ありす達との、出会いと関わりと。
見事に対照的な道を辿ってゆく二人に、これまた考えさせられました。
春香さん本当にお花屋さんが似合うなあと思いました。生き生きした彼女の姿が拝めて良かった。
夏美さんのスタイルも、京洛の森には合わなかったのだけど、物語として否定はされていなかったのも、良かったと思います。
菖蒲姫のヘルプに呼ばれていったときの夏美さんは、格好良くて有能で良き魔法使いでしたもの。
春香さんと夏美さんの友情、女同士の友情に多かれ少なかれこういうのってありますよねえ。
最終的にはふたりそれぞれ幸せな道を見出してその道に進めそうで、ふたりの友情も損なわれていなくて、良かったです。
ありすの立場からのアドバイスも、むずかしかった!!
彼女の側に大人の落ち着いたナツメさんがいてくれたのがいつでも心強かったなと今回思いました。

連の方も、ありす堂の仕事とは少し距離を置きながら、自分のやりたいことを見出していってくれました。
そっかあ、本を作る人か!!それはいい!!
マダムの物語に遠慮なしにばしばしダメ出しをしている場面がおかしかった。でも彼は物語への愛情もまっすぐにぶつけてゆくものだから、読んでいて気持ちがいいなあ。マダムがほだされる(?)のもわかる。
しかもありすの仕事にも関わりがあるのが、なんというか、読者的にはやっぱり嬉しいわけです。
これならふたりこれから、関わり合って側にいられるということにつながりそうですし。
第一王子としての役割にひとつの決別の答えを出したのも、良かったなと思いました。
柊君、できた弟さんだな……感心してしまいました。

やっぱりこの世界でも、ロマンス小説は女性に好まれるのね、とうんうん頷いて読んでいました。
京洛の森に本が届くシステムがやはり独特で、そういうことか~。面白いです。
私的には、『ジェイン・エア』とか『赤毛のアンシリーズ』とか『落窪物語』とかも推したいなあ。(勝手に考える)
『月の見えない夜に咲く花』も、素敵ですねえ。私も読んでみたくなりました。
そして確かに、どうして今までこの世界では、本屋さんが存在しなかったのだろう?
ふしぎ。
そしていつもおだやかにありすと連を守って側にいてくれるナツメのことも、じわじわとふしぎに思えてくるのです。
いつかもっと謎が解けてほどけてゆくといいな。

アカシア先生のバイオリンと過去の恋物語がまさかそうつながるとは!!
ロマンティックで、月夜にひとりぼっちで見ていた悲しい夢の続きから、ようやく目覚められたような。すてきでした。
現実は小説より優しかった。
マダムのツンデレっぷりが可愛らしく思えました。ふふふ。
あと紅葉さんや牡丹さんたちともちらりと再会できてうれしかったり。
亮平さんも、やっぱり蓮が悔しくなってしまうのも分かる、頼もしくて格好いい人です。男の子は特に憧れちゃうのかな。
お話に出てくるめぐみさんがやはり素敵でした。
あと、山羊さん二人組がかなり印象的でした。『狼と七ひきの子ヤギ』、改めて読むと確かに残酷ですよね……お気に召して良かった。

三巻目もきっと読めますよね??
望月麻衣さんのもうひとつの「京都」を舞台にしたものがたり、楽しませていただきました♪
できれば初々しいカップルにもう少し進展がほしいかも(笑)


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『花だより みをつくし料理帖 特別巻』髙田 郁 




澪が大坂に戻ったのち、文政五年の春から翌年初午にかけての物語。
つる家の店主・種市と店の面々の様子が描かれた表題作、澪のかつての想い人・小野寺数馬とその奥方・乙緒の暮らしぶりが描かれた『涼風あり』含め、四編の番外編を収録。
シリーズ完結後の登場人物のその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ、待望の特別巻。


『みをつくし料理帖』シリーズ完結から四年後、今になってまさかの嬉しいシリーズ特別巻でした。
事前情報などまったくノーチェックでして、Twitterで情報が回ってきたときはびっくり仰天で、五度見ぐらいしてしまった。
シリーズが完結してからもう四年の年月が過ぎていたなんて。それにも驚かされてしまいました。

ということでほぼ四年ぶりにこのシリーズにふれるわけで、正直設定など色々あやふやになっている部分もあり大丈夫かしら……と思いつつも、お話が気になって仕方ないので、復習で既刊を読み返す暇も惜しく、読みはじめてみる。
……いざ読みはじめてみたら、そんなことちっとも気にならなかったです。
みをつくしの主要登場人物達、あのひとやあのひとたちに、久しぶりに再会できて、懐かしさやいとおしさに、読んでいて胸がいっぱいになりました。
ああ、みんながみんな現状くもりなく幸福というわけではなく、特に最後のお話の試練はしんどかったけれど、でもみんな元気で笑顔で生きていて、個性と人の良さと各自の持ち味はそのままで、大切な人と寄り添いあって生きていて、ほんとうによかった。
おかえりなさい!!!
ひとことでいえば、そんな気持ちに。
このシリーズのメインであるお料理ももちろんしっかり楽しめました。この時代の町の普段のお献立がまたたまらなくなつかしい。
贅沢な材料を使う訳でなくても、時間と手間をじっくりかけてていねいに作られるお料理の、美味しそうなこと。読んでいてふくふくと幸せな気分にひたれました。

それでは各話ごとに感想を。
『花だより 愛し浅利佃煮』
種市さんを主役に、シリーズ完結後のつる家で働く人達とその周辺の人々の姿を描いたお話。
このお話がいちばん明るく楽しいお話で、かつにぎやかでいちばん同窓会っぽかったです。
種市さんの澪ちゃんへの並々ならぬ愛情が心にしみいりました。
種市さんの心境を考えると気の毒だったのですが。気落ちしているひとがいればすぐに気づいて労わる周囲の皆が相変わらずでやっぱり心が温かくなりました。
個人的にはふきちゃんと健坊、太一君の成長がやっぱり印象的でうれしかったかな。
そしてりうさんがやっぱり最高でした。彼女のやることなすことが粋で、惚れ惚れしてしまいます。
まさかの種市さんとりうさん、坂村堂さんと清右衛門先生の、澪さんに会いに行こう!!の珍道中。
この時代の庶民の旅の雰囲気も味わえて楽しかったです。
そして種市さんの苦しみも溶けてひと息……というところで、オチにずっこけました。やっぱり気の毒。
種市さんの愛情が込められた浅蜊佃煮の握り飯が非常に美味しそうで、この本を読んでいる間私のお弁当にはかかさず浅蜊の時雨煮が入っていました。とさ。
清右衛門先生みたいな気が短いひねくれた男の人が実際に身近にいたら絶対私は苦手なのですが、でも先生やっぱり嫌いになれないんですよねえ。分かりづらい優しさがつぼにはまってしまいます。

『涼風あり その名は岡太夫』
小松原様こと小野寺数馬氏と、その妻乙緒さんの日常生活のひとこま。
ちょっぴり変わった性格で周囲に誤解されやすそうな乙緒さんですが、何とも言えない独特の味があるお人柄というか、私は読めば読むほど彼女が好きになっていきました。
無表情な母を全力で素直に慕う悠馬くんがまた可愛らしい。
なんというか、飄々としている数馬さんとは、お似合いの夫婦だなと思いました。
言葉足らずですれ違ってしまったけれど、お菓子で心を通わせられて、良かったです。
たしかに「岡太夫」ってややこしい成り立ちのお菓子だな……りつさんの愛情が余韻に残って良かった。
そして早帆さんは相変わらず早帆さんだなと思いました。彼女はむしろ変わらずにいてくれて良かったなと思ってしまった(笑)。
乙緒さんの辛い時に美味しいお菓子を送ってくれるおとうさんも、そのお菓子がちょっと気になる重光さんも、お武家のひともやっぱりみんないいひとだな。ほっとしてしまった。

『秋燕 明日の唐汁』
大坂に戻り生家の淡路橋高麗屋を再建した野江ちゃんのお話。
大坂の地で澪ちゃんと野江ちゃんが仲良く助け合って生きていて、読んでいる私もなんだかとっても幸せです。本当に良かった!!
野江ちゃんと又さんの出会いから始まる二人の絆のお話が、まさか今になって読めるとは。ぐっと胸に来ました。
又さんといえば寡黙だけど心優しい腕の確かな料理人というイメージが真っ先に出てくる私なので、なんだか、圧倒されました。彼が纏っていたそこはかとない凄みの空気にも納得がいったといいますか。
辛く苦しい過去と揺れる女ごころで苦しむ野江ちゃん、そして彼女のすべてを包み込む辰蔵さんの謙虚で大きな愛情に、打たれました。
おからの唐汁とは究極に素朴な料理に思えるけれど、あたたかくて優しい美味しさが伝わってくるようです。

『月の船を漕ぐ 病知らず』
ラストは澪と源斉先生のエピソード。
しかしこのお話が今回一番辛かった。やはり人生辛いことに終わりはなく次から次へとやってくるものだな……。
源斉先生と澪がひたすら真面目に誠実に努力しているからこその苦しみだと分かるので、一層辛い。
旦那さんがお医者様で奥さんがひとつの店の料理人というのは、たしかにものすごく大変だと思いました。
お互いの仕事を理解し尊重して暮らしているふたりがすごい。すごいけれど、たしかにしんどいときには一層しんどい……。
源斉先生にごはんを食べてもらえない澪の苦しみが本当につらかったけれど、お姑さんからもらったお味噌のレシピで、見失っていたものを見出した澪ちゃん、それからの彼女の頑張りと、そんな妻の姿を見てひとつの答えを見つけた源斉先生、良かったな。本当に良かったな。涙が出てきました。
お味噌を作る過程って具体的にあまり分かっていなかったので新鮮でした。思っていたより時間かからず作れるんだな。
そして東西のお味噌の違いで色々創意工夫をめぐらす姿こそ、澪ちゃんという感じがして、ふたりが元気になって、本当に良かった。
澪ちゃんと源斉先生のふたりの間に流れる空気は本当に穏やかで優しくて、そのまんまで夫婦になってるふたりが、ふたりらしくていいなと思ったのでした。
辛い時にお互い支え合い励まし合う澪ちゃんと野江ちゃんの友情も、また、しみじみ尊い。

澪と野江のふたりの人生を変えたかつての大坂の水害、病など、今のご時世特に全く他人事ではなくて、胸にせまってきました。
私ごときでは何のふさわしいことばも見つからずに情けなく歯がゆくてしかたないのですが、今回の新刊を読み、一層、平凡な日常がなんて尊いものなのか、感じ入らずにいられなかったです。
……なんというか、やっぱりうまいこと書けないのだけれど。

りうさんのラストの瓦版も、高田先生自ら描かれたという帯イラストも、最後までとっても素敵で、心が満ちたりました。
みをつくし料理帖シリーズファンの方は、ぜひぜひ今回の特別編も、手に取って読んでみてくださいませ。
おススメです!!


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 歴史もの

タグ: 高田郁 

8月の読書メーターまとめ 

8月が終わりました。暑かった……。
ふと気が付けば日が落ちるのもだいぶ早くなりました。
パン屋やケーキ屋に行けば早くも秋のかぼちゃやさつまいもやりんごのスイーツがちらほら。
誘惑が多くて危険です(笑)。

さて先月分の読書メーターまとめを追記より。

ブログに書いていない作品で特によかったもの
小説  『ヴィシュバ・ノール変異譚 さすらい人の地図の章』『腐女子な妹ですみません』『招かれざる小夜鳴鳥は死を呼ぶ花嫁』
まんが  『7SEEDS』『腐男子先生!!!!!』

とにかく部屋が暑くて家で読むには漫画のほうが手に取りやすかったな。
それもあって、『7SEEDS』全巻読破しました!!
特に最初~中盤まではどこまで読んでもえげつなく辛い展開の連続で、私どうしてこんなにしんどいまんがを読んでいるんだろう……と正直途中で何度も思ったのですが、後半パートから、すべてのチームのみんなが少しずつ枠を超えて心を通わせ共に危機に立ち向かう姿が見えてきて、頼りなかったりとんがったりしていたそれぞれの成長がまばゆくて、ラストにつながる一連のみんなの戦いは、感動的でした。この漫画を最後まで読めて本当によかった。
ナツと花のダブルヒロインの顔合わせが個人的に好きでした。それぞれの長所と短所を補い合える関係なのがいい。花ちゃんもおそらくまるくなった。
あとお気に入りは角又さんとりかこさんのエピソード。泣きました。角又さんがいつも口ずさむ漢詩が染みる。

軽く楽しく読めるラブコメでよかったのが『腐女子な妹ですみません』だったかな。『腐男子先生!!!!!』がとてもつぼにはまったので流れで読んでみましたが、こっちの作品も好きでした。和泉さんの歪みっぷりがなかなかすごい。悠子ちゃんもちまっと可愛くて芯が強くていいこです。
その『腐男子先生!!!!!』のコミカライズ2巻目もとっても好きでした~!!あの「泣かないで、先生」のエピソードが私好きなのです。キングと誠さんのビジュアルが漫画でながめると改めてかなりのインパクト。

少しずつ読んでいる『ヴィシュバ・ノール変異譚』今回のエピソードはかなり好みでした。シリアスモードでマルーシュの寂しさや彼女自身もわからぬ慕わしさに胸がきゅうっとしました。あと予想以上にガディルがしゅんとしおれていてかわいそうになってきました。あんなに異様に強くてマルーシュ以外の誰からも怖がられているのに……。
ここまで読んでもマルーシュやガディルの正体や馴れ初めなどほとんど謎に包まれているのも一層心そそられるといいますか。
久賀理世さんの新作も独特の世界観と両片思いの初々しいカップルが素敵でした!!ねぎししょうこさんの挿絵でなんだか『身代わり伯爵シリーズ』の世界を読んでいてついつい重ね合わせてしまいました(笑)。エルさまと呼ばれるとエルミアーナさまが思い出されてしまう……。幼い日に恋した姫君に対してヘタレなようで実は裏ではしれっと手を回して年月をかけて外堀を完全に埋めていたダリウスがちょっとおかしくてときめきました。

積んである本がとにかくたくさんたくさんあるので、今月もたくさん面白い本を読めるといいな!!


ここ数日の間それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)